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「第1回こどもにまつわる課題についてみんなで考える集い」を開催

こんにちは。「沖縄みらい地図アクション」コンソーシアムの一員である一般社団法人デザインイノベーションおきなわ(DIO)です。


11月26日、那覇市のSAKURA innobase Okinawaで、「第1回こどもにまつわる課題についてみんなで考える集い」を開催しました。
「沖縄みらい地図アクション」は、県全域で「こどもの貧困」に関する問題解決を目指す機運が高まる中、課題の全体像を把握し、長期的な視野で本質的な解決策を模索する取り組みとして始動しました。
本記事では、イベント当日の様子、共有された視点やアイデアなどについてお届けします。

分野横断的に関係者が集結! 異なる視点が交わる場に

このイベントには、行政機関や教育現場、地域団体、企業、さらには法曹界やメディアまで、さまざまな分野から18人の参加者が集まりました。平井雅氏のファシリテーションのもと、ケイスリー株式会社のメンバーが進行役や記録係を担いました。

冒頭、参加者がそれぞれの専門性や関心を盛り込みながら自己紹介。単なる自己紹介にとどまらず、個々の取り組みや視点、課題意識を共有することで、参加者間の連携の第一歩となる重要な役割を果たしました。

「行政としてできることには限界があるが、だからこそ地域や民間との連携が必要だと感じている」 「学校現場では、一人ひとりの支援に十分な時間を割けない状況がある」 「NPOとして、こどもたちに寄り添うだけでなく、大人たちの意識改革が求められている」という言葉も生まれ、課題の多様性と向き合う意志の強さで、すぐに会場は熱気を帯びました。

可視化された課題の「地図」を基に議論

このイベントでは、こどもの貧困に関する課題の「地図」を起点にディスカッションが行われました。この地図は、ケイスリーが行った30組45人へのインタビューを基に、課題とその要因を「システム思考」と呼ばれる手法を活用して見える化したものです。物事を部分的に見るのではなく、全体のつながりや関係性を見て、問題の原因や根本的な解決策を探ろうという方法です。原因や影響がどのようにつながり、相互に作用しているのか、「ループ図」という図で示しています

「こどもの貧困」の背景には収入格差、教育機会の不平等、家庭環境の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

例えば、地図の中で描かれていたのは次のような関係性です。
・不安定・低収入労働の増加→労働意欲の低下→キャリアアップの機会の減少→不安定・低収入労働
・保護者の心・時間の余裕がなくなる→こどもとの良好な関係が低下→保護者の心・時間の余裕がますますなくなる

これは一例かつ製作途中のものですが、それぞれ単一の問題に取り組むだけでなく、課題全体を多角的に捉える必要性が示されました。

グループディスカッションで紡がれた気づきと提案

イベントでは、参加者が4つのグループに分かれ、それぞれの視点から「地図」を読み解き、議論を深めていきました。

1. 地域と教育現場・福祉現場の連携
教育と福祉の連携は以前から課題として認識されているものです。グループセッションからは「最近は不登校への支援ニーズが多く、午前中から支援が必要な子が増えている」などの意見も出ました。そんな中でも地域のコミュニティが主体となり、防災活動など学校を継続的に巻き込む仕組みをつくり、うまく連携している例も共有され、地域とのつながり、地域コミュニティの活性化は連携を進める鍵となる可能性があるなど、議論が重ねられました。
2. 若年妊産婦への支援
地図に描かれている若年妊産婦の課題ついて、自身の体験や最近のこどもたちの傾向から見えてくる課題感を共有したり、解決に向けて必要なことや事例を共有し合ったり、お互いの理解を深める場となりました。
3. 支援する人を支える仕組み
学校内でも気軽に交流できる会議の場やスペースを定期的に設けることで、お互いが「助けて」と言いやすい環境をつくっている例も共有されました。対話型の研修やワークショップを行うことやコミュニケーションの場をつくること、「支援する人を支援する」存在や場所の必要性と有効性も語られました。

10年後の未来像を描く時間

最後のセッションでは、「10年後、あなたの周りのこどもたちが、どんなことを言いながら、どんなことをやっているのがあなたの理想ですか?」という問いをそれぞれが話すワークを実施。漠然とした問いでしたが、「助けてと言える」「シンプルな日常を楽しむ」「やりたいことができる」「支援を受けた経験を生かして、今度は支援する側になる」など、大きくは4つの意見に集約されました。これだけ多様で普段接点のない方々が集まったにもかかわらず、全員がこどもたちに願うことは概ね共通していることが分かり、そのことを共有できたこと自体も、このイベントの意義があったと考えています。

未来への道を描く「沖縄みらい地図アクション」の挑戦

イベントを終えた後も、参加者たちはその場に残り、それぞれ話が尽きない様子。「現場で取り組んでいる人と話す機会がなかったので参考になった」「いろいろな分野の方と話せてそれぞれの課題感や大変さを知ることができた」「今日のように本音で話し合える機会がもっと欲しい」「顔と名前が一致するのがうれしい」「出会えて話せたことがうれしい」という声が多く聞かれました。
また、「新しいことが起きる予感がする」「少しでも良くしていこう、という想いを新たにした」と、より良い未来への希望や想いを語る姿も印象的でした。

「沖縄みらい地図アクション」は、このような対話の場をつくり、継続しながら、課題解決に向けた具体的なアクションを模索していきます。ドラフト段階の地図を、今後はこうして集まったメンバーとともにさらに“進化(深化)”させ、沖縄全体での協働を促進するための基盤として活用していきたいと考えています。

10年後、沖縄のこどもたちが輝く未来を歩むために、私たち一人ひとりがこの問題にどのようにかかわっていくべきか。「沖縄みらい地図アクション」は、その問いに向き合う全ての人に希望と課題を同時に提示する取り組みとして、今後も歩みを進めていきます。

【プロジェクトチームの概要】
株式会社うむさんラボ
本社:沖縄県浦添市内間四丁目5番25号
代表者:代表取締役 比屋根 隆
HP:https://umusunlab.co.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/umusunlab
Instagram:https://www.instagram.com/umusun_lab/

ケイスリー株式会社
所在地:沖縄県中頭郡読谷村長浜187番地
代表者:代表取締役社長 幸地 正樹
HP:https://www.k-three.org/

一般社団法人デザインイノベーションおきなわ
所在地:沖縄県那覇市久茂地1-1-1 9F
代表者:代表理事 神里 僚子
HP:https://www.dio.okinawa.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/designinnovationokinawa/

【プロジェクトチームの役割分担】
うむさんラボ:全体とりまとめと本事業関連イベント開催(2025年2月)
ケイスリー:「沖縄みらい地図」づくり(インタビュー実施、ワークショップ開催)
デザインイノベーションおきなわ:クリエイティブ・デザイン

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