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ケーキの切れない非行少年たち
医療少年院(障害がある犯罪犯した子どもが入る少年院)で勤務している精神科医の宮口幸治さんが書いた本。2020年ベストセラーとなったらしい。
(漫画もでていたのか知らんかった…)
題名と表紙からして「めちゃくちゃ自分勝手でサイコパスな俺様的な人間が残酷な犯罪を犯すって本なんかな?」とゾワゾワいたが全然違うくてもっとゾワゾワした
反省以前の状態
殺人や強姦で逮捕された未成年の子ども(非行少年)はそもそも見えている世界が違う。
✔️障害があって見たり聞いたり想像する力が弱い
→勉強ができない、友達と上手に会話できない、
相手の表情を正しく理解できない
✔️身体の使い方や力加減が不器用
→運動や体育ができない、
ちょっとした喧嘩でも力加減ができずに傷害事件になる
こういうことでイジメられたり親から虐待を受けたり挫折体験が度重なって、どんどん人格がねじ曲がっていくのだと。
殺人事件を起こした非行少年に自分についてどう思いますか?てきいたら「僕は優しい人です」って本気で答えたらしい(怖い…)
ただこうやって書いたらほんまにサイコパスって感じやけど、
それぞれに身体や心や認知の障害があって、必要な支援が受けられず生きづらさとなってて、いろんな複雑な要因が絡んでることをこの本読んで知った
支援が届かない軽度知的障害
知的障害はIQとかいろんな検査で診断されていたけど、そのIQの設定値やと障害と該当される人が多すぎて福祉が成り立たんくなるから、もうちょっと厳しい設定にしたところ、従来なら「知的障害」と診断されていた人が「異常なし」と診断されることに(これらの人を軽度知的障害と呼ぶ)。
そうすると、障害があって生きにくいのに診断では異常なしやから、勉強ができんかったりコミュニケーション下手であっても「個人の努力不足」とされて余計生きにくくなっていって、社会に適応できず非行に走る。実際に、医療少年院に入ってる人で軽度知的障害を持つ少年は多い。
認知機能の土台をつくり再犯を防ぐ
少年院に入るとあかん考え方とか感情は矯正されて自分の罪を反省していくわけやけど、障害があっても十分なケアがされなかった非行少年はそもそも認知機能が歪んでるから、まずは適切な認知機能を身につけていく教育が必要。
同じ絵を探したり、お手本の図形を真似してかいたり(本書ではもっと楽しい説明が載ってる)
認知機能の教育といっても、パズルやゲームの形式でトレーニングするから、子どもにとっても楽しいし、もしできなくてもそこまで心に傷を負うことがないからとてもいいらしい。
犯罪者を減らすための鍵となるのが“小学校”
犯罪者を減らすためにアプローチするのに1番効果的な場所が小学校。
✔️子どもが毎日通い、長時間過ごす
✔️障害や生きづらさを出し始めるのは小学2年生から
✔️中学生以降になると学校に行かなかったり非行に走り手をつけられなくなる
非行少年たちで共通してみられるのが、
集団行動ができない・嘘をつく・じっと座っていられない・漢字が書けず計算ができない・忘れ物が多いなどなど
こういう特徴の子どもって結構私の周りの生徒でもいたと思う(当時)
そういう小さなサインに気づいて先生同士や専門職やらいろんな人たちが子どもをみてケアしていくのが大事なんだなあと思う
でも実際は小学校の先生ってめちゃめちゃ激務で朝から晩まで忙しくて
そういうケアにまで手を出せないのではと思う
だから小学校はもっと担任の先生だけじゃなくてソーシャルワーカーとかが常駐したりもっと手厚くなってほしい