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沖縄電力の電気料金値上げについてPart2(燃料費は上がり続けると考えておこう)

沖縄電力の規制料金の値上げを受けた記事の第2弾になります。
今回は既に色々なところで語り尽くされているので、短めに書きたいと思いますが、「なぜ沖縄でも燃料費が上がり続けているのか?」です。

「沖縄だから燃料費が上がっている」なんてことはない。

沖縄だけ燃料価格が上がっているということはありません。。。
当然ですね。こんな当たり前のことから始めて申し訳ありません。。。
当たり前をまとめるので、さらっと読んでいただけたらと思います。

まずは沖縄の状況を見てみましょう

沖縄電力の電源構成を把握すべし

まずは沖縄の状況を見てみたいと思います。
ソースは前回同様、沖縄電力のプレスリリースからになります。

沖縄電力の電力構成(料金変更申請ベース)

この図を見ると、石炭が圧倒的に大きな割合を占めています。
ただ、LNGの量も増加しており、今後もLNGの割合を増やす方針であることが表明されています。(LNGはCO2排出量も少ないことも影響)
つまりは、石炭とLNGの価格が電気を作り出す費用に影響を及ぼすということです。

電気を作る費用のほとんどは燃料費という現実

また、どれだけ燃料費が電気料金に影響を与えているかというと、電気を作る費用の約4割が燃料費となっています。つまりは、燃料費が今回のように急激に上がってしまうと、他の費用を頑張って抑えても焼け石に水な状況になることが分かります。

原価構成について

念の為この図を見て「再生可能エネルギーを全然使っていないじゃないか!」という声も聞こえてきそうなので、あくまで沖縄電力が作りだす電気の構成です。
再生可能エネルギーのほとんどは沖縄電力以外で作られているのを、沖縄電力が一旦購入して届けている仕組みになります。(一部では直接消費したり、沖縄電力が購入しないケースもあり。)
ちなみに、こちらが沖縄電力が売っている電気の電源構成。
(再エネは7%ほどあります)

沖縄電力の電源構成

ということで、どれだけ化石燃料の影響が大きいか、お分かりいただけたかと思います。

ウクライナ危機前から価格上昇は始まっていた

この点が見落とされがちですが、そもそも石炭を含む化石燃料の価格は2022年2月のウクライナ危機勃発前から上昇が始まっていました。

日経新聞より
ちなみに沖縄電力が輸入している石炭は豪州がほとんど

そこにウクライナ危機の発生により拍車がかかった形が今です。
ではそれがどう影響したのかというと、、、、色々と省略しますが、
ウクライナ危機により脱炭素のために石炭を使うことをやめていたヨーロッパが天然ガスを調達できなくなり、石炭を急に使い出したことと、そもそも石炭開発が鈍化していたた供給量が追いついていないことで、石炭の価格がグッと上がったと言われています。
こちらの日経記事がわかりやすいのでご参照ください。

今後の見通しは?

ここで気になるのは、「今後燃料価格が下がるのかどうか?」ですね。
まず価格を押し上げている化石燃料の需要増加は落ち着くと予想されています。

IEA World Energy Outlookより

この図を見てわかるように、2022年をピークに落ち着く予想があります。

しかしながら安心はできません。
化石燃料の開発を抑えていた脱炭素の流れは変わらないので、今後も開発投資は抑制されることも考えられますし、需要が下がっても価格が下がらないように生産国が原産に踏み切る可能性も十分にあります。

実際にOPECは最近減産の決定を行い、アメリカから批判されていたりしました。

また燃料費ではないですが、カーボンプライシングの議論も岸田首相は積極的に進める方針を打ち出したため、化石燃料を使うことそのもののコストも上がることが予想されます。

今後の見通しは正直分からない!!

これが結論です!
化石燃料は100%輸入なので、沖縄でコントロールできることなんてごくごくわずかです。
そこに頼っている以上、覚悟を持って臨まないといけません。

燃料価格は上がり続けると考えておくべき

とはいえ、今後のことを考える時、インフラのような生活に大きく関わることはあまり楽観的に捉えることは危険です。
既述の通り、今後も価格を押し上げる要因があることが厳然と存在している以上は、燃料価格は上がり続けると想定することが必要です。
そして、今後このように見通しの立てられないエネルギーとどう向き合っていくのか。
よりコントロールできるエネルギーをどう生み出していくべきなのか。。。
そのような課題に対する議論を加速させなければなりません。

エネルギーの選択を主体的に地域が行う時代

再生可能エネルギーはまだまだ課題も多くありますが、少なくとも現時点では今後10年以上の価格見通しを立てることができます。
より長期的な視点に立つと、再エネを導入しすぎることも問題という意見もありますが、現時点で見通しが立てられない電源に過度に依存している状況を変えていくには絶好のチャンスだと思います!

このようにエネルギーと世界の情勢の関係を把握した上で、自分の使うエネルギーを地域で主体的に決めていくことが求められる時代になっているのです。沖縄のエネルギーのあり方は、沖縄電力に押しつけていてはいけません。
私たち一人ひとりがエネルギーの当事者であることが、今回の値上げでよくわかったと思います。

次回は、この当事者感を生み出している値上げの影響を見てみたいと思います。

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