日米友好のシンボル・ポトマックの桜 10
桜はチェリーではない?
少し脇道に入ります。天才瀧廉太郎が明治33(1900)年に作曲した『花』の詩(武島羽衣作)の最初に唄われる ♪ながめは何にたとうべき♪ という景観の隅田川の長堤に咲いていたのは、わざわざ説明しなくても桜以外にはありえませんでした。
瀧はその翌年ドイツ・ライプチッヒへ音楽留学しましたが、すぐに肺を冒され帰国後夭逝しましたが、死の2年前、1901(明治34)年に作った名曲「荒城の月」の詩は、土井晩翠が次のように書き出しています。 ♪春高楼の花の宴 めぐる盃かげさして 千代の松が枝わけいでし むかしの光いまいずこ ♪
春ですが、梅の花をイメージする人はまずありません。
明治時代の最高学府の一つであった旧制第一高等学校の第12回記念祭寮歌(1902年作)の歌い出しは ♪嗚呼玉杯に花うけて 緑酒に月の影やどし♪ です。
出典:著者 石田三雄 発行:NPO法人近代史日本の創造史懇話会