日米友好のシンボル・ポトマックの桜 5
シッドモアさんは旅行家業文筆家、またプロの写真家として、当時すでに首府ワシントンの社交界の華でした。のちに、写真誌として有名なナショナル・ジオグラフィック社の最初の女性取締役にもなった人です。
彼女は明治10年代に2度日本にやって来て、足かけ3年間滞在しました。
その後も、横浜の米国領事館に勤務していた兄のジョージを何度も訪ねていて、著作の1つ『Jinrikisha Days in Japan』(和訳本『日本・人力車旅情』)の第8章「東京フラワー・フェスィバル」には、東京の花見風景の詳細な描写があります。明治初期、上野の花見客は礼儀正しく、それに比べて墨(隅)田川東岸に沿った向島は祭り一色で、露店の3軒に1軒は酒場、客は飲んだり踊ったり大変賑やかだった。と書いている彼女の方も、いかにも楽しそうです。
出典:著者 石田三雄 発行:NPO法人近代史日本の創造史懇話会