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除草剤なしで草の生えない田んぼの話
田んぼの稲穂は日ごとに垂れ、稲刈りを間近に控えています。
今日は、除草剤なしで草の生えない田んぼが現れた、というお話。
今年は大小6つの田んぼを作っていますが、一番広い田んぼで、田植え以降、除草剤なしにも関わらず、まったく草が生えないという事件が起きました。
6月8日 田植え。2日後の10日、島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」の生徒さんたちが助っ人で来てくれて、補植。
「田車を押したい」という息子と一緒に、端から2〜3列、田車を押したのは6月20日。泥が柔らかくてうまく押せないのと、そもそも草が生えていないので、また草の姿が見えたら押すことに。
それから2ヶ月半。結局、一度も田んぼの中に入らないまま、稲の間には1本の草の姿を見ることなく、稲刈りまで来てしまいました。
なぜ草が生えなかったのか?イトミミズ?アレロパシー?
狙いどおり草が生えなかった、なら万々歳なのですが、なぜ生えなかったのか、ハッキリとした理由はわかりません。
これかも、と思うのは、イトミミズ説とアレロパシー説です。
イトミミズ説
この写真にあるクレーターのようなもの、穴にイトミミズがいて、頭を田んぼのなかに突っ込んで土を食べ、糞を撒き散らす。それが堆積して、ほかの微生物も働いてトロトロの層を作り、雑草の種を埋めて発芽しにくくするそうです。
イトミミズ。食べた泥が透けて見えます。
ごはんとうんこの境界が、あいまい。
アレロパシー説
アレロパシーは、ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称。邦訳では「他感作用」という。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソバをまくと、ほかの草が生えにくいことは知っていたのですが、イネにもアレロパシーがあるらしい。品種によっても、差があるようです。田んぼの全面で草が生えていないことから、イトミミズ説よりも、自分の中では、こっちの方が有力です。あるいは、アレロパシーが働く環境にイトミミズが関係してるとか。検索すると、いろんな論文が出てきますが、はっきりしたことは、やっぱりよくわからない。
草が生えない田んぼが増えたら・・・希望しかない
町内のあちこちで始まっている家庭水田。草とりの苦労を減らすことができれば、米づくりのハードルはグッと下がり、やってみたい、という世帯は増えるはず。慣行栽培の農家さんも、そんなら除草剤いらんわ、みたいなことになるかもしれません。
現状の草対策としては、まわりの田んぼよりも早めに水を入れたり、苗を大きく育てて植え、深く水を張ったり・・・それでも、条件よって草の生える田んぼ、生えない田んぼがあるので、どれも決定打ではなさそう。これから家庭水田をやってる方達と知見を共有し、情報を集め、海士の風土に合った技術をみんなで確立していきたいと思っています。
農業としての稲作に目を向けると、状況はなかなか厳しいようで・・更なる米価下落のニュースが。需要がどんどん減っている中、米が余れば値段が下がるから、全体としての豊作を恐れるなんて、悲しい。
家庭水田が広まると、1つの田んぼあたりの収穫量は化学肥料を使った慣行栽培に比べて減りますが、結果として、市場全体の供給量を引き下げることで、価格の安定につながるんじゃなかろうか、などと思っています。
この田んぼ、ご興味ある方がいたら、どうぞ、のぞいてみてください。稲刈りまでは、あと2週間ちょっと。田んぼの隅でワサワサと茂るマコモが目印です。