施設選び・とある驚きの施設

高齢者介護の現場では、「自宅で最期まで看るのが理想」みたいな風潮になっちゃっていますけど、決してそんなことはありません

人と話すのが好きな人であれば、自宅で一人でいるよりは施設の方が合っていることもあります。
実際に施設に入ってから生き生きと元気になった方もいます
デイサービスなどを利用しても、残りの時間を自宅でつきっきり一緒にいれないことも多いでしょう。
その点施設ならスタッフさんが常駐していますから安心です。

そこでよく質問されるのが
「どこの施設がおすすめですか?」
というもの。

これがまた難しいです。
結局「人」が重要ですから。

良いスタッフさんがいればそこは良い施設です。
特に施設長とかホーム長とか、トップの方の考え方も重要ですね。

それに良いスタッフさんがいたとしても、スタッフさんが入れ替わってしまうこともあります。
それに大抵良いスタッフさんはすぐに辞めてしまう。

ですから「どこどこの施設はずっと良い」とも言えないのです。

これまでいろいろな施設と関わってきましたが、やはりトップの方は重要です。

そんな一例を紹介ます。
90代女性で現在施設に入居されている方がいます。
その方はもう10年以上の付き合いになります。

この2月、その施設のホーム長がかわりました。
それからというもの、なんだかスタッフさんたちがやる気のないような感じになったのですね。
入居者の方にあまり親身にならなくなったというか。

そして、自分の担当患者さんが、不穏になる時間が増えてきて内服調整していたのですけど、突然そのホーム長が「精神科に受診させたい」と言い出したのです。
どうもN病院という精神科病院の副院長と知り合いだからというのです。
「知り合いだから」という理由に腑が落ちなかったものの、不穏もすっきりしていなかったし、情報提供書を作成しました。
というか、そのときのホーム長の話し方がいかにも、その患者さんが面倒くさそうで入院させたいような言い方だったのです。
ちょ~怪しかったです。
ちなみに患者さんは入院させるほどのレベルでは決してありませんでした。

そこでご家族に「精神科受診するときは必ず付き添ってください」と提言しました。
そうしたら家族の方は「えっ?ホーム長に付き添わなくていいと言われたのですが…」とのこと。

おかしいですね。というかめちゃくちゃ怪しいですね~
事情を話し「無駄な入院をさせられるかもしれないから」と説明し、ご家族も「わかりました。必ず付き添います。」となったのでした。

しかし、受診当日、なぜか診察には患者さんとホーム長だけが入り、ご家族は中に入れてもらえなかったとのこと。
めちゃくちゃ怪しいですね。
困った症状などを医師に細かく伝えるために、患者さんを外して診察室に入るのならわかるのですが、キーパーソンのご家族を外す意味がわかりません。
密室で何が話し合われたのでしょうか。
知り合いの院長先生と何を話したのでしょうか。

結局自分が警戒していることに気づいたのかわかりませんが入院にはなりませんでした。
精神科薬が処方されたのですが、結局不穏症状は一向によくならず、逆にどんどんひどくなる始末
それに応じて薬もどんどん増やされ、ドロドロの状態になってしまいました。

以前は自分の診察時も寝ていることは多かったですが(午前中)、それでも声をかければ目を開け会話することができました。
それなのに薬漬けになってからは声かけにも目を開けません。

そして不穏状態で動くこともあるようで、転倒ばかり繰り返すようになりました。

結局施設で見切れなくなったのか、ご家族はホーム長に、同じグループ会社で経営している他の施設への転居を勧められたそうです。

ご家族の希望としては、転居しても引き続きうちのクリニックでフォローしてもらいたかったようです。
しかしそのホーム長からは、
「新しい施設では提携のクリニックに変更してください」
と言われたそう。

ご家族も何もわかりませんから渋々承知したのでした。

というかそのホーム長はいまだに提携のクリニックに誘導するところが時代遅れです。

日本の医療保険制度の特徴として「フリーアクセス」というものがあります。
これは、
「何の制限も受けずにどこの医療機関でも、どの医師にも自由に診てもらえて医療サービス(治療)が受けられる。」
というものです。

つまりどこの病院を受診するかは患者さんやご家族の希望が第一であり、他の人に受診先を指示されるものではありません。
これは訪問診療にも当てはまるものであり、施設と契約しているのだかわかりませんが、特定のクリニックに制限される筋合いはないのです。

実は「フリーアクセス」にかかわる法律はないですし罰則規定もありませんが、特定のクリニックだけに誘導する行為は、裏で金品の授受等があるのではないかと勘ぐられても仕方ありません
以前にも高齢者施設と訪問診療クリニックの癒着が大々的に報道されたこともありました。

今や「どこの訪問診療クリニックでもいいですよ」と言ってくれる施設が増えてきていますが、いまだにこのように特定のクリニックじゃないとダメというところもあるようです。
こんなことを言うのは、患者さんやご家族本位でケアをしていない証拠です。
自分の都合、会社の都合しか考えていません。

ですから、良い施設選びの簡単な見極め方法としては、まず最初に
「訪問診療クリニックはどこでも良いですか?」
と質問をすることですね。

ただ特養と老健に関しては決まった医師になりますのであしからず。

ちなみに、フリーアクセスの件、ちゃんと確固とした根拠がほしいと思い、「札幌市保健福祉局高齢保健福祉部介護保険課施設指導係(長いっ!)」というところに今回の一件を伝え尋ねてみました。

するとこんな回答が来ました。
『ご認識の通り、通院はご本人様やご家族様の意向によるものであるため、施設が特定のクリニックを指定することはできませんし、そのような権限はありません。』

「通院」と書かれてはいますが、受診行為であれば通院も訪問診療も一緒です。
つまり施設側が訪問診療クリニックを指定することはできなく、患者さん・ご家族の意向が第一ということです。

今回患者さんが急激に不穏が強くなっていたのも、ホーム長が替わってスタッフさんの雰囲気も変わってから余計にひどくなった感じがするのです。
スタッフさんの関わり方で、患者さんの精神状態は本当にかわります。
そんな例をたくさん見てきました。

ちなみに今回のこのとんちんかんなことばかりやっている介護施設、あのビッグモーターとズブズブの関係があるあの損害保険会社グループが運営しているところです。先日金融庁が立ち入り検査したところの系列です。
○んぽケアです。
あっ卑猥な言葉を想像してしまいますね。
そ○ぽケアです。
あっ名前バレちゃいますね。

車の保険の方とは関係がないかもしれませんが、企業体質というものはグループ全体に波及するものなのかもしれません。
こんなことやっているから「だから○○は」と言われてしまうのです。
でかけりゃいい、有名ならいい、というわけでは決してありません。

自分たちの都合ばかり優先し、入居者本位でおこなわれない介護は本当に悲惨です。
今回のように余計な受診をさせられたり、手に余ったら同じグループ間で回されたり。そしてどんな関係かわかりませんが、患者さん・ご家族の意向を無視して特定のクリニックに誘導したり。

で、この話には続きがあります。
完全に入居者を食い物にしか考えていないことがわかっちゃいました。

その前に、介護保険福祉課に問い合わせしたあと、○んぽ系の転居先予定の施設長から慌てて連絡がありました。
「ご家族から貴院での診療継続の希望がございましたのでお願いします。」
とのこと。

「はっ!?何を今さら。」
という感じですね。

すでに、どんな関係かわかりませんが、○んぽと仲良しこよしの新しい訪問診療先に情報提供書まで書いて送ってしまっています。
(こういう仕事は早くこなしちゃうタイプです)

すんなり「はいわかりました」と返事するのもしゃくだし、とりあえず「情報提供書もすでに送ってしまっているので考えさせてください」と言って電話を切りました。
覚えていないけど、多分イヤミも言っていたでしょう。

で、この返事をする前に事態が急展開を迎えることになります。
その続きと、入居者を食い物にしていた件は次回のブログで。

無駄に医療機関の食いものにされないように、自分でできるケアなど役にたちそうな情報を大公開していきます。