ゾコーバ

今さらながら、新型コロナ治療薬の「ゾコーバ」のお話です。

このブログを読んでいただいている方なら、仮に新型コロナに感染したとしてもこんな薬飲まないとは思いますが一応ご紹介します。
ゾコーバになんて興味ないでしょうけどいろいろおもしろいですから。
ゾコーバは、北海道大学と塩野義製薬の共同研究から作られた国産初の新型コロナ治療薬です。

併用禁忌・併用注意が多い薬として有名です。

下記がそれらの薬剤になります。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/drug_interaction?japic_code=00070668

よく使われる血圧の薬だとか、血をサラサラにする薬だとか、高齢者に推奨されている睡眠薬だとか、結構一般的な薬がずら~っと並んでます。
あまりにも多すぎて、ゾコーバを処方する気にもなりません。普通は。
そこまで細かくチェックするのも大変ですから、きっとチェックしないで処方していた医者も多くいるでしょうね。
そんなときは薬剤師さんがしっかりフォローしてくれているとは思いますが。

そして「催奇形性」のリスクがあるため、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」は禁忌となっています。
これまたテキトーに処方されており、厚労省が改めて注意喚起しました
以前も注意喚起しているのに、まだ処方する医者がいるようです。

新型コロナ治療薬「ゾコーバ」「ラゲブリオ」、妊娠可能性の女性は慎重に…厚労省が医師に注意喚起

そもそも催奇形性という毒性のある薬なんて飲みたくないですけどね。自分は(妊娠はしませんが…)。

また新型コロナの恐怖・混乱に乗じて、非常に薬価が高い薬でもあります。
5日間の内服で5万円です。

そこで、珍しく中医協においてまともな判断がくだされました。

コロナ薬ゾコーバ、価格引き下げへ 「費用対効果が悪い」

「価格に見合うほど効果がない」ということなんですね。
記事にもありますが、そもそもゾコーバは、「重症化するリスクがない軽症から中等症の患者に対する飲み薬」とされ、「発熱やせきなどの症状を偽薬(プラセボ)に対して1日早く改善させる効果がある」とされています。
もちろん新型コロナ感染症は元気な人であってもただの風邪で終わらないこともあります。
しかし一般的には重症化リスクのない人なんて、数日耐えれば回復します。
「発熱やせきなどの症状」がたった1日早く改善させるだけの効果しかないのですね。

そんな薬のために国は200万人分(薬価換算で1000億円分)のゾコーバを購入したのです。
そして、結局上記の様に併用禁忌・注意の薬が多いためあまり使われず、「9割弱の約177万人分は未使用となっている」そうなのです。
金額にして885億円分です。
885億円分の薬が使われず眠っているということなのですね。
買い取ってくれた国には頭が上がりませんね。
ただただ塩野義がボロ儲けです。
能登などの復興に使えって。

塩野義はさぞかし政治献金とか熱心にしているのだろうなぁと調べてみたら、こんなニュースがすぐにヒットしました。
大分前の情報ではありますが、今も実態は変わらないでしょう。

製薬業界、9000万円献金 05年 安倍官房長官ら自民20人超に

ここに出てくる「製薬産業政治連盟」を調べてみると、こんな収支報告書が出てきました(数年前のものです)。
https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20221125/3121300035.pdf

製薬産業政治連盟は「PMセミナー」という名の政治資金パーティーを定期的に開き、各製薬企業から安くない金額を毎回納めさせています。
その額、令和3年度だけで約6千万円です。

そしてそれを政治家のパーティー券購入に充てているのですね。
つまり各製薬会社から集めたお金を、政治家にばらまいているのです。
上記PDFの12ページ目から政治家のパーティー券購入の詳細な明細が記載されています。

岸田文雄だとか麻生太郎だとか甘利明だとか有名どころの名前がそのまま出ているのもありますね。
「三原じゅん子を励ます会」なんてものもある。
そして、一回の金額が突出して多かったものが「藤井もとゆき君と語る会」
「藤井もとゆき君」って誰?ですが、調べてみると参議院議員で「薬剤師」の人らしいです。
なるほど、こういう国会議員を使って製薬企業に有利な政策を進めてもらおうとしているのですね。
カネもらったら何もしないわけにはいきませんしね~。

何十万だか何百万だか何千万だか知りませんが、政治家に金ばら撒いて、それで認可に手心加えてくれたり、1,000億円もの薬を買ってくれたら安いものです
もちろん見えないカネも動いているでしょうかね。
見えないカネを含め、1億円をばら撒いても安い投資です。
官僚にいたっては、とてもおいしい天下りポストを用意してあげているのですね。

結局割を食っているのは国民です。
1,000億円という国民の税金がシオノギに渡ったのですから。
しかも885億円分の薬は手つかずで、期限を迎えようとしている。
併用禁忌が多くて現場では使いづらいことなんて最初っからわかっているのに、こんなに国が買い取るのがおかしいのです。
誰が考えてもわかることなのに、そういうおかしなことが堂々と行われるのが今の日本です。

税金がどうなろうと、国民生活がどうなろうと、自分たちだけがおいしい思いをすればそれでいい、ということがよくわかりますね。
このゾコーバのことだけを見るだけでも、製薬企業、政治家、官僚の体質が丸わかりです。

さて、肝心な「ゾコーバ」という薬の評価についてです。

一般社団法人医薬ビジランスセンターから発行されている「薬のチェック」という冊子に記載があります。
ゾコーバに関する記事は無料で読めます。

エンシトレルビル(ゾコーバ錠 )

ここにはっきりとこう書かれています。
『改善効果に全く根拠がなく、害はある。使ってはいけません。』

これを読んでいただければわかりますが、認可に際しても怪しいところがあったのですね。

『第2相までの結果で二度審査されましたが、緊急承認制度で甘くなった条件「効能・効果が推定できる」をもクリアできず「継続審議(事実上の承認不可)」となっていました。ところが、
その後の第3相試験結果で承認されました。
なぜ最初の2回の審査で承認されず、3回目の審査で承認されたのか、2回目の問題は解決したのか、臨床試験の結果の開示は不十分ですが…』

と書かれていますね。
当初は緊急承認制度で認可基準がゆるゆるだったのにもかかわらず、臨床試験でクリアできていなかったそうなのです。

それがなぜ認可されたのかというと、簡単に言えば「薬の評価項目を勝手に変更しまくった」からになります。
都合の良いデータになるように評価項目を勝手に変更していたのです。

ちなみに当初認可されなかったときも都合の良いデータだけを解析していたことがバレていたのですね。
上記資料にはこのように書いてあります。

『試験計画にない項目を都合よく事後解析することは、臨床試験の結果の「いいとこどり」です。審査報告書でも手続き不備が指摘され、承認されませんでした。』

それを第3相試験でもまた繰り返し行い、しかも『第3相試験の最大の問題は、試験開始前のプラセボ群とゾコーバ群に偏りがないとの証明が未だにない』ようなのです。
プラセボ群とゾコーバ群が同じような条件の被験者であることが重要なのですが、それに関するデータがないそうなのですね。
それじゃいくらでも結果のデータをコントロール・偽装できますね。

臨床試験でいろいろちょろまかして、それでも効果を実証できず認可されなかった薬が「ゾコーバ」なのです。
そして繰り返しちょろまかして、なぜか認可された薬が「ゾコーバ」なのです。
それで効果のほどはわずか(たぶん無い)。
怪しさしかありません。

そんな薬でも登場したときは結局はメディアが大々的に報道していましたよね。
「国産初」とかウケのいい言葉を強調しながら。
政治家・官僚・製薬企業・メディアはみ~んなグルです。

『改善効果に全く根拠がなく、害はある。使ってはいけません。』

それに尽きますね。

そんなゾコーバですが、先日クリニックにこんなパンフレットが郵送されてきました。

写真の主が誰かなんてバレバレですし、そもそも隠す必要はまったくないのですが一応「目隠し」しときました。
ちゃんと公表されている臨床研究ですし。
https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs051230184

目隠しすると犯罪者のようですがね。わざと目隠しした…わけではありません。たぶん。手が勝手に動いただけです。顔はほくそ笑んでいたかもしれませんが。
WEB説明会登録の二次元バーコードや、問い合わせ先の詳細も隠しておきました。

これ、「コロナ後遺症に対するゾコーバの効果を検証するための研究に参加してください」って案内です。
コロナにすら効果が怪しいのに、後遺症にだって効く分けねーだろと思うのですがね。
どうせまた「一定の効果がある」みたいなデータを作り出すのでしょうか。

というか、研究に参加して欲しい患者さんの条件が「COVID-19重症度分類が軽症の方」って…。
そんなんで有意義な結果とか導き出せるのかね。
そもそも軽症の人はこんな高価なゾコーバなんて飲む必要はないです。
催奇形性の恐れがある薬なんて。
害がたくさんある薬なのです。

不必要にこういう薬を飲ませて研究するのって、倫理的にどうなのでしょうか。

非常に腹立たしいです。

そして1枚目の一番下のところに注目して欲しいのですけど、こんなことが書かれています。

『患者さまが研究に参加された場合、貴院へ1例ごと研究協力金をお支払いさせていただきます。
また、参加いただいた患者さまには謝礼をお支払いさせていただきます。』

またカネだよ。
カネで釣ろうとしているよ。
効果よりも(というか効果期待できない)害が大きい薬を飲ませる医者なんてどこにいるのでしょうか?
まぁ悲しいことにそこら辺にゴロゴロいるでしょうけど。

無知な患者さんも
「あぁ、テレビにいっぱい出ていたあの先生ね。有名な先生だし、だったら安心だわ。」
と思って参加してしまうのでしょうね。
それを狙って、あんなふうに目立つように顔写真を載せているのでしょう。
臨床研究やるとき、その首謀者、いやいや研究責任者代表があんなふうに顔を出して患者集めするなんて見たことないですよ。
まぁ首謀者はシオノギでしょうが、この医師には多額の謝礼が渡っていることでしょう。
あるいはこの医師がいる研究室に多額の研究費が渡っていることでしょう。

※上記で紹介した公開されている臨床研究の情報のところに「研究資金等の提供組織名称」として「塩野義製薬株式会社」としっかりと書いてありました。

このパンフレット、うちにまで届くということは、全国の医院に送られているということでしょうね。
この郵送代だけでいくらかかっているのでしょうか。
印刷代も含めて。
必死さがひしひしと伝わってきます。
というかそれだけの費用をかけても元が取れる公算があるのでしょう

併用禁忌も多い、催奇形性もある、そんな薬でよくもまぁ臨床研究なんてやろうと思いますね。
そもそも後遺症を怖がって、軽症なのにリスクを冒してまで怪しい薬を飲む人が一体どれだけいるのでしょうか。
まぁ、「怪しい」部分は「ごにょごにょごにょ」ってごまかして案内するのでしょうけど。
軽症の患者さんだけ集めて、そんなの軽症で終わることが多いでしょうし、後遺症の効果に差が出るとは思いませんけどね。
ある意味どういう結果を出してくるのか楽しみでもあります。

しかし医療機関にも1例ごと研究協力金が支払われるなんて、それ目当てに患者さんを差し出す医者もいるんでしょうね。
恐ろしいですわ。

臨床研究に参加するしないは患者さんの気持ちを尊重すべきことではありますが…。
メディアは「報道しない自由もある」なんてふざけたこと言っていますけど、自分にも「ふざけた臨床研究情報を患者さんに伝えない自由もある」と思っています。

一体医療機関にはいくら研究協力金が入るのでしょうか。
月~金の日中、夜に随時開催されているというWEB説明会に参加してみようかしらん。
しかしマンツーマンの説明会だったらやだしなぁ。
事前にクリニック名と名前入れて日程を決めるらしいですけど、このブログを事前にチェックされちゃったらなぁ。
とか思いながら恐る恐る、二次元バーコードを読み取って進んでみました。

すると日程ごとに参加人数の数もわかってしまうのですが、ちらほらいるんですね
患者さんを差し出そうとしている医者がいるようです。

複数人数のところに申し込んでみようかなとも思いましたが、こういうことに興味のあるクリニックだと思われて今後しつこい案内がきても嫌だし、そもそもアホなことに時間を費やすことがもったいないのでやっぱり潜入調査はやめます。

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