No.957 もう、1か月が経ちました。
その昔、学級担任や授業担当をしながらでしたが、定期考査中の時間を見計らって、渉外係として地方の中学校に出向いて学校案内をすることがありました。
ある年、速見郡、豊後高田市、宇佐市、国東市内の中学校をほぼ一日かけて訪問し、学校のPRをさせていただきました。自家用車で移動中に、ラジオのスイッチを入れたら、「半夏生」のことを話していました。
夏至から11日目の7月2日から七夕あたりの頃までを「ハンゲショウ」と言い、特にこの2日には毒気が降るので、井戸に蓋をして井戸水を飲まないとか、酒肉やこの日に採った野菜を食べないとか、地荒神を祀ってお供え物をする等々の俗習があるというような話をしていました。
「半夏生」はドクダミ科の多年草だそうです。開花期に葉の一部が白くなり、半分白化粧をしたような見た目になることから名付けられたとも言われます。「その半夏生の白い葉が伸びる頃になると、梅雨明けが近くなります。」とも解説者は語っていました。
今年の半夏生の日に、畏友が「タコの天ぷら」を持参してくれました。
「半夏生の日にタコを食べると良いって言うでしょ?」
と笑顔で話してくれましたが、この齢になって、そんなことも知りませんでした。
興味深く思ったのでネットで調べたら、「近畿地方の一部地域のこと」としながらも、
「稲の根がタコの足のように四方八方にしっかりと根付くように」
という願いが込められている行事食だとありました。洒落が利いていて好きです。
「半夏生の、うーたの里は、ご自宅から近いんじゃありませんか?」
古典講座のお仲間の一人から、そんな声を掛けられました。大分市横尾の休耕田を開墾した「うーたの里」で群生したハンゲショウが見られるのだそうです。「うーたの里」とは初耳でしたが、「太田の里」がその名の由来で、里人の呼び名のようです。
大分県のレッドデータブックでは「絶滅危惧II類(VU)」に分類されている植物だそうですが、「うーたの会」は2011(平成23)年に設立され、企業、団体、個人、合わせて31会員が名を連ねているといいます。ネットには、その圧巻の画像も見ることが出来ました。
わが家からは5kmほどの場所にある里のようです。農家の次男坊に生を受けた私です。来年は、ぜひとも訪れて、稲の根が一層張ってくれるように願って来ようと思います。
※画像は、クリエイター・フレネルさんの、タイトル「半夏生が、涼し気に満開」の1葉をかたじけなくしました。清々しい色に、爽やかな風を感じます。お礼申し上げます。