見出し画像

ボイチェン界の新定番!?Graillon3の使い方を解説!

どうも!バ美肉の翁です!
2024年10月、突如Graillon2がバージョンアップされ、新たに『Graillon3』が公開されました!!

Graillon2は元々ボーカルのピッチ補正用のVSTプラグインなのですが、バ美肉界隈では主に男声を女声に変えるボイスチェンジャーとして、これまで多くのバ美肉おじさん達に親しまれてきました。

バ美肉界の圧倒的2トップである魔王マグ●ナちゃんと兎●まりちゃんが使用していることでも有名ですよね。

※二人は過去の配信・ショート動画でGraillon2をメインで使用していることを公表しています。ただし、あくまで過去の情報であるため、今現在もGraillon2を使用しているかは不明です。


そんなGraillon2の新バージョンということで、Graillon3は今後Graillon2に代わってボイチェン界の新たな定番プラグインになる可能性が高いです。

そこで今回は、Graillon3の特徴や使い方、Graillon2との違いについて、筆者が調べてわかった情報をまとめました!

現在ボイチェンを使っている方やこれからボイチェンしてみたい方はぜひ参考にしてください!

●Graillon3の特徴と使い方

・導入方法

ではさっそくGraillon3を使ってみましょう。
公式HPからDLすることができます。

無料版(Free Edition)と有料版(Full Edition)がありますが、ボイチェンに必要な機能は無料版でもすべて制限なく使えるので、ボイチェンが目的なら有料版を買う必要はありません。

また、Graillon3はVSTプラグインのため、使うにはDAWと呼ばれる音楽制作ソフトが必要です。好きなDAWを用意しましょう。ちなみに筆者はReaperを使っています。

Graillon3をDAW上で起動した時の見た目はこんな感じです。

Graillon3のUI

Graillon2もそうでしたが、オシャレで可愛らしい見た目ですよね!

この会社ってプラグインもHPも全部ピンク色なんですけど、そんなにピンクが好きなんでしょうか…?

一見するとツマミが多くて難しそうに見えますが、ボイチェンに必要なのは下の画像の線で囲った部分(=PITCH-SHIFTとPITCH ENGINE)だけなので安心して下さい。

PITCH-SHIFTとPITCH ENGINE(黄緑の線で囲った部分)

それ以外の部分は基本的に触らなくて大丈夫です。

・最初にやること

はじめてGraillon3を起動したら、まず最初にしなければならない事があります。それはCORRECTIONの左上の電源マークをクリックしてCORRECTIONをOFFにすることです。

CORRECTION

というのも、このCORRECTIONは主に歌声をケロケロボイスに加工する際に使うもので、話声をボイチェンする際には不必要…というかむしろ邪魔なのですが、Graillon3ではなぜかここがデフォルトでONになっています。

そのため起動時に忘れずにOFFにしましょう。

X (旧Twitter)で「Graillon3は声がケロケロしちゃって使い物にならない!」って言ってる人をちらほら見かけますが、それはおそらくCORRECTIONをOFFにしていないのが原因です。

まあ、この部分はGraillon2では最初からOFFになっていたので、見落としてしまうのもよくわかります…

・PITCH-SHIFT

PITCH-SHIFT

ボイチェンの核となるのがこのPITCH-SHIFTです。

大小のツマミをクリックしたまま上下に動かすことで、ピッチ(≒声の高さ)フォルマント(≒声の質)をそれぞれ+12〜-12の範囲で上下することができます。

Graillon2からの変更点として、Graillon2ではフォルマントを単体で上下させられなかったのですが、Graillon3ではフォルマントを単体で動かせるようになりました!

一応、Graillon2ではフォルマントシフトの代わりにPreserve Formantsという「ピッチシフトで一緒に上がったフォルマントを戻す機能」があったのですが、この機能ではフォルマントをピッチより大きくできない等、できる調整に制限がありました。

もちろんGraillon3ではそんな制限はないので、調整の自由度が大きく上がったと言えるでしょう!

ちなみに、Graillon2にあったフォルマントを戻す機能はGraillon3にもついています。Formantsの文字の下の〇〇%というところをクリックしたまま上下に動かすことで、フォルマントシフトを弱めることができます。

ただGraillon3ではフォルマントの値を直接操作できるので、基本的に使う場面はないかと思います。

それと、ここからは少しだけマニアックな話になるんですけど、ピッチシフターは大きくフォルマント連動型独立型の2つに分けられます。

これらの違いを簡単に説明すると、連動型ではピッチを上げると同じだけフォルマントも勝手に上がるのに対して、独立型ではピッチを上げるとフォルマントを維持したままピッチだけが上がります

有名どころを挙げると、バ美声とGraillon2は連動型恋声は独立型ですね。

ではGraillon3はどちらなのかというと、なんと連動型と独立型を切り替えられるという珍しい仕様となっています。

左:FormantsがOFFの状態 右:FormantsがONの状態

左の画像のようにFormantsがOFFになっている状態では連動型、つまりピッチと同じだけフォルマントも勝手に上がるようになっており、逆に右の画像のようにFormantsがONになっている状態では独立型、すなわちピッチとフォルマントがそれぞれ独立して動くようになっています。

※FormantsのON/OFFは「Formants」の文字の左の電源マークをクリックすることで切り替えられます。

そのため、FormantsをOFFにしてピッチ+4.00にした時の音とFormantsをONにしてピッチ+4.00&フォルマント+4.00にした時の音は同じ音になります。

珍しい仕様のため最初は少し戸惑うかもしれませんが、一度仕組みを理解してしまえば簡単です!

ちなみにこれは余談なのですが、ピッチやフォルマントの数字を+4.00などのキリのいい数字にしないと気持ちが悪い!という人はCtrlを押しながらツマミを操作すると0.01ずつ調整できます。お試しあれ。

・PITCH ENGINE

PITCH ENGINE

Graillon3から新しく追加されたのがこのPITCH ENGINEです。ここではなんと3種類のピッチエンジンを切り替えることができます。

ピッチエンジンというのは、ソフトがピッチを変換する際のアルゴリズムのことです(たぶん)。

ピッチを変換する際のソフト内部のアルゴリズムはソフトごとに異なっています。ピッチ変換量が同じでもソフトによって音が違うのはこのためです。

つまり3種類のピッチエンジンを切り替えられるということは、実質3種類のボイチェンソフトが内蔵されているようなものだと言えます。

Graillon3で使えるピッチエンジンは以下の3種類です。

 G2:Graillon2と同じエンジン
 G3:Graillon2をベースにした新エンジン
 I1:InnerPitchをベースにした新エンジン

Graillon3にはGraillon2のエンジンがそのまま搭載されているので、G2を選択するだけで理論上Graillon2とまったく同じ音を出すことができます。なので「Graillon2の音が好きだから、あえて3ではなく2を使い続ける!」みたいなことをする必要はありません。

ちなみにI1の元になっているInnerPitchというのは、Graillonを作った会社が出している別のソフトです。


そして、筆者がこれら3種類のエンジンで実際にボイチェンしてみた結果は以下の通りです。

う~~~~~~~ん……

まずI1に関しては、エフェクトがかかったような感じになってしまうため、個人的にはボイチェンに使うにはあんまり向いてないと思います。

そして肝心のG3ですが…

G2(Graillon2)との違いがわからない!!!


強いて言えば、ほんの少しだけG3の方が音に広がりがあり、反対にG2の方が音がクリアな印象を受けました。でもほとんど誤差の範囲だと思います。

公式のユーザーガイドによると

G3 Improves pitch detection, especially detection of high notes that would be impossible in Graillon 2. Better preservation of personality and better PTM. Pitch-shifting is a bit improved.(原文)
G3:ピッチ検出、特にGraillon 2では不可能だった高音の検出を改善。個性の保持とPTMの向上。ピッチシフトが少し改善された。(DeepLで翻訳)

https://www.auburnsounds.com/downloads/Graillon%203%20User's%20Guide.pdf

とあるので、あくまで高音時のピッチ検出の改善PTM(有料版の機能)の性能向上がアップデートのメインだとすると、通常のボイチェンの使い方では違いが感じられないのもある意味当然かもしれません。

せっかくG2とG3でエンジンを切り替えられるのに、違いが思っていたよりも微々たる差だったのは少し残念ですが、元々Graillon2の時点で変換の質は最高クラスでしたし、調整の幅が広がっただけでも喜ぶべきでしょう。

筆者の声ではあまり違いが実感できませんでしたが、声質によっては違いが出る可能性もあるので、気になる人はぜひ自分の声で試してみて下さい!

・その他の機能

基本的には先ほど説明したPITCH-SHIFTとPITCH ENGINEだけで問題なくボイチェンできるのですが、一応それ以外の新要素にも軽く触れておきます。

Graillon3のUI

ここまでに紹介した以外の追加要素としては、ステレオリンク、プリアンプ、コーラス、コンプレッサー、ゲートが内蔵されたのと、Graillon2では有料版限定だったビットクラッシャー(QuantizeとReduce)が無料版でも使えるようになりました。また、Graillon2から引き続きローカットもできます。

とはいえ、この中でボイチェンに使えるのはコンプレッサーゲートローカットくらいでしょうか。

ただ個人的には、この辺の機能って他のフリープラグインで優秀なものがたくさんあるので、わざわざGraillon3でやらなくていいんじゃないかな~と思ってしまいます。

それぞれの細かいの説明が公式のユーザーガイド公式HPのブログに書いてあるので、詳しく知りたい人は読んでみましょう。全部英語ですが。

https://www.auburnsounds.com/downloads/Graillon%203%20User's%20Guide.pdf

ちなみに私は今はゲートだけ使っています。

・レイテンシ(遅延)

ネットで「Graillon3になって遅延が減った気がする!」という口コミを見かけたのですが、Graillon3のレイテンシはピッチエンジンに関わらずGraillon2と同じ24.4 msです。※公式がXのポストで公表しています。

24.4 msというレイテンシは間違いなく低遅延の部類ではあるものの気になる人はけっこう気になる遅延なので、少しでも遅延が減ってくれたら嬉しかったんですがこればっかりは仕方ないですね。

どうしても遅延が気になる人はGFormPitchproofなどの無遅延のボイチェンがオススメです。

●Graillon2との比較

ここまでGraillon3の特徴と使い方について説明してきましたが、ここで改めてGraillon2との違いを整理してみましょう。

Graillon2とGraillon3の比較

こうして整理してみると、Graillon2にしかできないことは特にないということがわかります。今後不具合等がない限り、Graillon3はGraillon2の完全上位互換であると言っていいでしょう。

●まとめ

Graillon3は良くも悪くもGraillon2の正統進化系といった感じで、単体でのフォルマントシフトができるようになったりコンプ・ゲートが内蔵されたりと使い勝手の良さがパワーアップしています。

それに加えて、Graillon3は新しいピッチエンジンとGraillon2のエンジンを切り替え可能で設定次第ではGraillon2と同じ音を出すこともできるため、Graillon3はGraillon2の完全上位互換だと言えます。

そのため、これからボイチェンを始める人別のソフトから移行する人はGraillon2ではなくGraillon3を使うのが良いでしょう。

一方で、Graillon3の新エンジンは通常のボイチェンの使い方ではGraillon2との違いがほとんど無いため、現在すでにGraillon2を使っている人にとっては正直Graillon3にするメリットは薄いです。その場合は無理にGraillon2から乗り換える必要はないかもしれません。

とはいえ、現在ボイチェンの定番プラグインであるGraillon2の上位互換である時点で、Graillon3が今後ボイチェンの新定番になることは確実でしょう。

Graillon3に興味を持った方はぜひ、この記事を参考に試してみて下さい!

いいなと思ったら応援しよう!