#20 てんしょく
てんしょく(天職)ってなんだろう。
わたしは「仕事とプライベートのどちらも充実させられるワーク・ライフ・バランスを意識した職場」だと思う。
従業員にとって形式的に毎週水曜日をノー残業デーとすることや取得可能な休暇日数が増えることはさほど重要ではなく、実際に定時で帰れたり休暇を取得できるかが重要だ。そのためには全社的に業務の効率化が行われることや職場の雰囲気が大事になってくるだろう。仕事に縛られない時間があるからこそプライベート時間を楽しめる。
とはいえ、わたしにとっての天職は起業しない限り世の中に存在しないと思う。きっとあなたにとってもそうだろう。
わたしは新卒で入った会社から結果的にてんしょく(転職)したが、決して職場が嫌いだったわけではない。だが、何かしらペーペー社員ではすぐに解決できない不満があった。例えば、わたしの前の職場ではペーパーレス化、押印省略などを行ってはいたものの、根本的な仕事内容はあまり変わらずノー残業デーがあってないようなものだった(休暇はちゃんと取れた)。下手に電子化しても使うシステムが増える分操作やパスワードを覚えないといけないし、デジタルデバイドが加速する。システムごとに別の会社に委託すると、各システムで互換性がないものとなってしまいうるが、かといって同じ会社にいくつもシステムを作らせるのもちょっと違う気がする。難しい。4月から働く新しい職場では、使っているシステムの操作方法を新たに覚えないといけなかったし、車を運転して通勤しなくてよくなった反面、満員電車に長い間揺れていないといけなくなった。
どこに所属していても、どこからともなく押し寄せる不満からは逃げられない。だからこそ仕事と割り切って働き続けるか、起業していちから自分で職場環境を構築していくほかないと考える。
転職するとふと前職の良さに気がついたり、逆に今の職場に良さを感じたりするが、引越することも同じだ。転職を機に関東に戻ったわたしはこれまで知らなかった東京の側面に触れて刺激を貰っている。米軍基地のあるF市、市役所が畑に囲まれているA市、標高が比較的高く駅前がレトロなO市、新幹線車両が突然街中の公園に現れるA市、居住者の多いベットタウンで駅ナカではスパゲッティ、駅ソバで家系ラーメンを食べて帰ったH市、駅前の商店街を多くの若者が歩いており人だかりや人通りの多いM市。これらも62区市町村ある東京のほんの一部の側面だが、引越をすることで故郷の魅力にはじめて気がついたりする。
話が少しそれてしまったが、わたしはいまの職場で仕事を続けていくつもりだ。人生の方向性を左右する仕事・職場を定めることは怖くもあるが、前職のとある課長のひとこと「逃げ癖がつくとどこにいっても上手くいかないぞ」を胸に人生に花を咲かせられるようなキャリアを築いていきたい。