見出し画像

⑫もはやこれはカルチャーだ。もじイメージgraphic展(21_21 SIGHT/赤坂)

デザインを勉強し出して興味を持った分野がいくつかある。
ひとつは印刷物。
ひとつは文字。
もうひとつはグラフィックだ。


日本語という言語文化

自分のイメージや考えていることを言葉、文字にするのが多いが、そこに絵が加わるとどうだろうか。
昨今、PC上で制作されたグラフィックデザインが普及し、様々な現代アートとして街なかに溶け込んでいる。日本のグラフィックなんか面白いもので、日本語だけで平仮名、カタカナ、漢字と3種類の文字が存在する。それらを組み合わせると唯一無二の、”日本独自”なグラフィックデザインが完成される。

縦横自在な文字にふりがなのルビと独特の表現方法。
なんとも不思議な文化であろうか。海外は英語など、一貫して法則性のある、だれでも習得できる文字を公用語とするが日本語は違う。海外の人が在日して就労するにも”日本語検定”というものを習得しないと正社員雇用が厳しい、と学生時代の留学生が言っていた。
日本人でも難しい日本語だが、留学生のほうがかなり知っていたりする。(現代では使わないような、”きれいすぎる日本語”が多い)

街なかにある看板に目をやると、面白いことに日本語、英語、新大久保など行くとハングル文字がごちゃ混ぜになっているではないか。
オシャレな筆記体の英語の店名ロゴに限らず、レトロな昔ながらの食堂の文字、広告、電光掲示板…意識してみると非常にごった返した文字の羅列が並ぶ。
文字言語を組み合わせてひとつのグラフィックが編み出され掲示されていくのだから、凄いことなんじゃないかなと感じとる。

印刷グラフィックが伝えるカルチャー

今でも欠かせない、紙類。ここ10年でかなり扱いが変わりつつあるなかでいまだに紙の存在というのは大きなものだろうと思う。
昨年の夏に行った、水道橋の印刷博物館しかり、印刷の技術の渡来、進化というのは凄い文明だ。はんこのようなものからローラー、インクを噴霧させて印刷するなどなんとも巧妙なテクニック。

私自身も紙類が好きな方。特に書籍はいまだ電子より紙派。
あとデザインを勉強し始めて昔の1970~1999年代に至るまでの巨大な広告に興味がある。汐留のアドミュージアムに行ってからより一層面白いと感じるようになった。
昔から自動車やビール、家電の広告は割と好きな方であったが、どれもこれもなんだか惹かれるものがあった。
それは果たして写真のような絵なのか、雰囲気なのか、キャッチコピーなのか、どれを主体として惹かれているのかは分からなかった。
が、共通しているのは「面白い」という感覚だ。

漫画の単行本グラフィック

私は同人活動をしている中で、1月末に6冊目の同人本を発行した。
毎回毎回表紙のデザインやタイトルデザインに頭を悩ませながら制作している。
もじイメージ展で色々な漫画が展示されており、なんというかとにかく面白かった。
私の中で一番初めに買った漫画は少女漫画だった。ちゃお(小学館)で連載していた漫画だった。そのあとりぼん(集英社)とか。印象としてはちゃおの漫画は表紙一面にイラストがドンッと印刷されててキラキラしてていかにも女児ウケしそうな感じの賑やかさ。
しかしりぼんの漫画は全く違く、統一されたタイトルのフォントと、枠内に描かれたイラスト。シンプルながらも、なんだか大人びた印象を感じた。
最近の単行本はみんなイラストが前面にあって、いろんなフォントで表現されてるのが多いが、昔は少女向け、女性向け、と読者層に合わせてデザインに締めがあったように思う。

単行本のデザインって顔だと思う。どんな話のものか、印象付ける重要な顔だ。面白そうなら手に取るし、裏表紙のあらすじにも目を通す。

改めて単行本デザインの面白さに気づいた瞬間だ。

デジタルとの融合で編み出される文字グラフィック

スマートフォン、タブレットがひとり1台持つ当たり前の世の中になった。
広告もデジタルサイネージや3Dなども増え、よりリアルなグラフィックが可能になった。
手軽に映し出す手のひらサイズの板っぺちから得られる情報はまさしく印刷のカルチャーから発展したものだと思う。

文字と絵で織りなすグラフィックもあるだろう。
特にいらすとや、なんかは話題の事象を即絵に起こして配信している。フリーイラストとはいえどかなり説得力のあるグラフィックのひとつだと言えよう。
これも一種のデジタルと融合された文字グラフィックだ。

日本語が編み出す”オシャレ”

近年、ハイソなブランドでも英文表記より日本語を使われる傾向がある。
なんてことのない、日本語が、なんだかオシャレというか、エモいと思うのだ。不思議な感覚である。

白い背景に、さらりとした”ピエール・エルメ”のカタカナが神々しい。

特に、海外の人から絶大な支持を得ている日本語の文字。自動車であればいわゆる意味が分からず使う「ガバガバ日本語」をドアやガラスに貼るものをよく見る。個人的には”ハムサンド”と書かれたフロントガラスの自動車にはツボだった。海外の人からしたらこれが「クール」なのだ。

最近流行りのレトロ”風”のデザインもなんだか「クール」だ。

文字グラフィックが説得力につながる

グラフィックって風刺のようなものを表す時もあるんだなと感じている。
目についたのは統一地方選挙のポスター。これらは一般公募で制作されたものらしく、どことなく、説得力のあるものが多い。

選挙の意味から自分はこう思っている、そういえばこうだよね、ああだったよね、など選挙の大切さがなんなのか気づかされる。

何気に行くようなものではないだろう選挙にいかに興味を持たせるかのもポスターの役割だろうか。近年若年層の投票率が悪いと聞くので面白い取り組みなのではないかと感じた。

これはカルチャーだ

世界でも類稀な言語・日本語を扱う我々は自由度が非常に高いと感じる。
単体でも、組み合わせても、あらゆる表現が可能であり、無限の可能性を秘めている。
日本での文字、グラフィック文化は十人十色以上のカルチャーを編み出した。

何気なく見ているものも、何気なく使っているものも、カルチャーとして読み解くと面白い視点が生み出されるものだ。

あと1か月程企画展を開催しているので是非足を運んでみてはいかがだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?