私は何者か、番外編 a dozen 短歌 31
ゆふぐれをゆらりゆっくりゆく光冥王星の図書館過ぎて
その光通り過ぎてもまだ見える二人並んで図書館の裏
弾かれてそこにいるのか冥王星書架の裏側キルトに包まれ
カレンダー捲り如月十一日シーツの海で人魚が泳ぐ
菜の花が沖ゆく船の吃水線擽っている長閑無邪気よ
美容室の椅子に座ってうたた寝の閏年てふ辻褄合わせ
裸木の哲学者めく真夜中を闇のどこにも溶けない闇か
門閉じて扉を閉じて唇も閉じてこころも閉じろと言うか
オリオンの斜めに侍る春の宵ハッとしたんだ我目を覚せ
眠るならひとりでどうぞせっかくの二十四時間地球儀まわす
北極星君を探しているんだよ北極星に照らされながら
サラダ菜をちぎり皿に森つくるわたしの帰る場所を探して