
IT最新技術に興味がないならSEはやめとけ
システムエンジニアの仕事を10年以上続けたものの諸般の事情でやめてしまった私が、今回書きたいことは、「IT最新技術やプログラミングに興味がない人は、システムエンジニアに向いていない」という話です。当たり前のようにも聞こえますが、過去の自分を含めて、自己分析がきちんとできず、なんとなくだらだらと好きでもない仕事を続けている人は多いものです。もし、私がこれから書くことがあなたにあてはまるなら、システムエンジニア(以下、SEと書きます)への就職・転職は控えておいた方が無難です。
※本記事はあくまで、私の経験談です。参考程度に読んでいただければと思います。
実際、私はSEの仕事を10年以上続けましたが向いていませんでした。そして、もっと面白いと思えること、好きなことをやりたい気持ちがあったのに、なんとなく自分の気持ちに嘘をつきながらSEを続けていたような気がします。
「向いていない」ということの判断を自分でするのは実はとても難しいです。なので私も随分時間がかかったのだと思います。
私の学生時代、SE時代の考え方、経験を反面教師にして、ぜひあなたにとってベストな就職先を選択してください。
それなりに勉強は好き。でも数学とプログラミングの出来はイマイチな学生時代。
まず最初に私の学生時代の話です。
私は勉強することがそれなりに好きなタイプの人間で、学生時代は優等生タイプだったと思います。
通知表で表すと、相対評価で
国語5 数学3 社会5 理科5 英語4
というような成績を取っていました。
数学は苦手でしたがそれ以外は標準よりいい点がとれる、という感じです。
とはいえ、今思えば好成績だった社会・理科は暗記力が重要でただ暗記が得意なやつだったのだと今は感じています。それと本を読むのは好きだったので国語も好成績なことが多かったですね。英語に関しても中学や高校のテストは暗記力と読解力でこなせますので悪い成績ではありませんでした。
まあ、それなりの学力をもって大学受験に挑むわけですが、大学では情報学科へ進むことになります。数学が苦手な時点で理系は無謀な感じもしますが、時は2000年代前半。ITがとんでもなく流行り出した時代です。新しいこと、面白いことができるんじゃないか?という程度の気持ちで、自然と選んだのが情報学科だったのです。なんとか数学以外の得意科目を武器に、理系としての受験を乗り越えた私は情報学科の一員として大学生活をスタートさせました。
情報学科ではプログラミングやそれを使った実験が主な学習・研究の対象になります。最初は簡単なプログラムを書いたりホームページを作ったりの授業だったのでついていけたのですが、2年生以降のプログラミング実験や研究はかなり難しく、徐々についていけなくなってしまいました。
プログラミングや情報学の世界は数学との親和性が高く、数学が苦手な自分は、ここでも苦手意識を持ってしまったのかもしれません。
結局、私はプログラミングや情報の世界にハマれず、それらが得意な友達のレポートをコピーしたり、答えを教えてもらったりすることでなんとかしのいでいきます。大学というところは友人同士でレポートをコピーさせてあげたり、その代わりにご飯をおごったりなどが日常茶飯事なので、特に危機感を覚えることなく周りの友人らの力を借りながら過ごしました。
そんな私みたいなのほほんとした学生がいるかたわらで、「情報学が好き。プログラミングが好き。これで食ってく。」と決めている友人がいました。情報学科なんで当たり前ですが、そんなやつらは昼も夜も研究室にこもって論文を読んだり、実際にコードを書いたり。寝ても覚めても面白そうにプログラミングで何かを作っていました。そんな意識の高い学生らからは、日々、かなりの差をつけられていたと思います。
この時点でプログラミングや情報学が苦手なことに危機感を持てば、別の道を選べたりして、まだよかったのです。しかし、暗記もの科目は大学でも得意だったし、レポートはプログラミングが得意な友人のコピペを提出していたので、全体としての大学の成績は悪くなく、特に劣等感もないまま、「ある程度なんでもやればできるんじゃない?」という根拠のない自信だけがありました。今思えば、ただのアホです。
そして就職活動。これといってやりたいことがない。でも、人とは違う自分でいたい。ということで、あえて大手は狙わず、できて数年のベンチャー気質漂う小さなシステム会社に就職しました。
なぜにプログラミング苦手な人間がシステム会社に入ったのか?
とお思いになるかと思いますが、私の周りの「そんなにプログラミングの実力がない楽しい仲間たち」のほとんどが、普通にシステム会社を受けていたので、私も自然な流れでシステム会社を受けました。
こうしてはなばなしくSEとしてのキャリアをスタートさせたのです。
最新技術、技術ニュースを追わないSEの誕生
プログラミングや情報学、IT最新技術が特に好きでもない私は、社会人になってもプログラミングやシステム開発についての自己研鑽をほとんどしませんでした。
しかし、新人時代に求められるのは簡単なコーディング。まがりなりにも大学で情報学を学んだ私にとってはとても簡単に感じました。ここで「SEとして、なんとか仕事はやっていけそうだ」と思い込んでしまいました。この勘違い野郎に、お前向いてないぞ、と言ってやりたいですがもう10年以上前の話です。
そして、私は社会人3年目ごろにとある業界の基幹システムと出会います。そのプロジェクトはバージョンアップを繰り返しながら何十年も続いているアプリケーションを保守したり改修したりするプロジェクトでした。そのプロジェクトのなかで私はSEとしての大半の時間を過ごすことになります。技術力よりも業務知識、業界知識が問われるシステムだったので、長くいればいるほどシステムへの理解が順調に進み、3年程度でプロジェクト内でもそれなりに有識者扱いされるようになります。これも私の「なんとかSEやれてるじゃん!」という気持ちに拍車をかけました。
しかし、ここからが問題です。長年一つのシステムに携わったことで、さすがの私も、なんか他のことやりたいなー、他のもっと面白いシステムないかなー、と考え始めます。
特定のシステムの仕様には詳しい。でもそれ以外のことは知らない。
そんなやつが他のプロジェクトで使えると思いますか?答えはノーです。
プログラミングが好きな人は、仕事が休みでもずーっとカタカタやって何か作ってたりしてます。それに引き換え、私は仕事でわからないことを業務時間中にググる程度。
そんなこんなで10年を超える時間が過ぎたとき、プログラミングが好きでIT最新技術を追いかけ続けた人と私のSEとしての実力、素養の差は歴然でした。
…
その後、私は希望がかない、自分が未経験のシステムに携わりますが、結局これまでの経験を全く活かせず苦しい思いをすることになりました。まあ当然ですね。
仕様も知らなければ、使われている技術も知らない。
これまでは、慣れた仕事だったからなんとかやれていただけで、SEとしての実力がついていないことに気付かされました。
好きでもない、興味もないプログラミングやSEという仕事をやり続けた結果がこれです。
最終的にはもうシステムの世界でたたかっていくのは無理だなと感じるに至りました。
いや、なんとかしがみついて慣れるまで少しずつ簡単な仕事をふってもらえれば、まあ続けていくことはできたでしょう。
もしくは顧客対応や折衝業務はそれなりにできたので営業に転身するなどの手もあったかもしれません。
ですが、やっぱりSEの世界で好きなことをやってる人たちと対等に対峙していくにはIT最新技術やプログラミングの勉強がかかせません。
それならば、いっそまだ30代の若いうちに、自分が好きな分野に進んでみよう。と考えSEを辞めることにしたのです。
自分の特性や好きなことを見極めて仕事を選ぼう!
っと、ここまで書いた内容では、
こいつシステム開発の勉強を全然せんし、そんなんでSEとかできるわけないやろ!
とお叱りがきそうですが、システムの勉強よりも趣味の勉強をしてる方が楽しかったので、システムの勉強をしなかったという面もあります。
趣味の一つに英語があるのですが、英語の勉強はまったく苦にならないので、いくらでもやれます。TOEICでは800点台中盤のスコアで英語で日常会話くらいはできるようになりました。
自分の好きなことを仕事にするのはやめろ。嫌いになっちゃうよ。
とはよく言われることですが、SEの中にはプログラミングやIT最新技術が好きでSEをやってる人たちがごまんといます。もちろんそんな人たちでも好きじゃないことをやらなければならない場面や、辛いと感じる場面はたくさんあるでしょう。
それならばプログラミングやIT最新技術がそれほど好きじゃない人が、その世界でたたかっていくのは、もっともっと大変ってことになります。好きでやってる人たちと比べてより厳しいことになりますよね。
好きなこと、得意なことなら、仕事としての大変さもなんとか我慢できる。そして続けていくことができる。
これが今の私の見解です。
なので、私は自分が得意な方向、好きだと思える分野へ進んでみようと決意しました。具体的にはこうやって、自分の経験や知見を記事に書いて発信したり、あとは物販などの小さな事業をやっていこうと思っています。稼ぎは少なくアルバイトをしながらになりますが、苦手なSEをやるよりも、精神的にとても楽になりました。
就職や転職前のみなさんは、自分の好きなこと、興味のあることは何か?いま一度問い直してください。
決して「仕事なんてどうせきついんだしなにやったって同じ。」とは思わず、しっかり自分の特性を見極めて、仕事を選んでください。
この記事がこれから仕事を選ぶみなさんの、何かの指針になれば幸いです。