【ヤマハGPAP】ライブ収録の終わりの始まり
自己紹介
皆様お疲れ様です、沖田純之介の自己紹介は以下になります。
ライブを保存する仕事
メジャーアーティストの音楽ライブツアーは、最終日や会場が都内の時に「収録」という録画録音が入る時があります。(都内と書きましたがライブDVDの売り上げが伸びていた2000年代は、お客さんの反応が良いから大阪や地方収録が多かったですが現在は予算の関係で都内で行います。)
この録画録音は会場側の設備でするものではなく、外部業者が持ち込んだ機材と人材で行います。収録準備は1年前から行い、会場の搬入口の確認とか機材スペースを押さえるとか、ケーブル配線で防火扉が閉まらないから消防法確認とかご飯の手配などなど、専門業者でないと段取りが理解できません。
会場での機材準備は数日前から行い、カメラや録音機のセッティング、ケーブル配線、オーディエンスマイクを天井からぶら下げるとか、かなりの準備と人間が必要です。会場規模によりますが、音周りでは10人、映像周りでは40人位の合計50人位で、ライブを保存する仕事をしてます。
歴史
この産業は自分が業界に入った30年前には既にありまして、当時の音声中継車にはSonyPCM3348が載ってました。PCM3348は1990年代の機材ですからその頃には確立していた仕事だと予測します。
録音業者SCIさんのHPによると、1990年に1号車完成とあるので、やはりその頃からの仕事なのだと思われます。
機材と予算のコンパクト化
年々機材は進化し小さくなっていきます。それに伴い音声中継車も小さく済み、さらには予算も低下していきました。人数も減っていきますので現在は幕張メッセ位の会場ならば、音周りは5人で済む感じです。
この年々コンパクトになっていく機材と予算に危険度を感じ、弊社はライブ録音から撤退しております。機材は全て売却できましたが殆どが転売業者経由でアジア圏に旅立っていきました。
5Gから6Gになると
現在の世の中の電波環境は5Gですが、これが6Gになった時に色々革命が起こります。超高速多接続や超カバレッジ拡張と言われますが、予測だと会場でマルチチャンネル音や映像データーをそのまま6Gで飛ばし、会社で6Gで受けてマルチチャンネルのまま録画録音するという事が出来る。現場に行かなくて済むだろうなと思っておりました。
GPAP登場
そんな中、YamahaからGPAP(General Purpose Audio Protocol)の発表があり日経新聞にも掲載されておりました。詳しくはHPを見て頂きたいのですが簡単に言うと、「ライブ会場の照明、映像、カメラ、音等のライブ体験を全てデーター化しWAVファイル1つに保管出来て、ライブを真空パックする」というもので業界がひっくり返る技術です。業者はGPAPのインターフェイスを用意して収録するだけです。もちろんカメラは数10台、音もマイクやヘッドアンプが必要になりますが、人と機材がより減らせる事になりました。このインターフェイスが出たら数年で移行が完了しそうです。
これで6Gになれば、確実にデーターが飛ばせるでしょうね。
GPAPとの仕事
GPAPでの仕事の進め方の予測は、GPAPで作ったWavファイルをDAWに入れてミックスをする。ヤマハだとヌエンドやキューベースが良いのでしょうね。しかし業界標準を考えると音声トラックのみを抜き出してProToolsにインポートしてミックスをする。という流れになりそうです。
GPAP登場で期待する事
「GPAPのシステムが安く済むなら」が条件ではありますが、ライブ作品を作る数が増えるのではと思います。新聞記事にあったのは映画館でのライブビューイングが増えているとのことですが、先日弊社でミックスした作品も数週間後に映画館上映があります。この様な事が数多くされると予測します。ライブ会場に行かなくても、リアルタイムで劇場に送る事も既に出来ているので、全国の映画館の活性化にも繋がりそうです。
また60年代のジャズはライブツアーで新曲を発表し、ツアーを回りながら完成度を上げていき、最終日にライブレコーディングする。という流れがありました。そんなことも可能になりますね。
まとめ
GPAPはライブの全てのデーターを保管出来る。ライブミックスを数多くしてきた弊社には追い風でありますので、非常に期待しておりますが
これは終わりの始まりでもあります。でもこの波に乗り遅れない様にしていきたいですね!
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