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閏日の宴(シナリオにするほどでもない、🐈⬛と🦉のオマケのはなし)
「賢者と猫と閏日の宴」
そのおわりの直後の一幕をほんのすこし
↓こちらを読んでいることが前提のお話です。
黒猫
「賢者さま、賢者さま。あの……私は本当にこの場にいても良いのでしょうか」
フクロウ
「はて。何か、駄目な理由がありましょうか」
黒猫
「だって……。この楽しげな調べの割にみなさん静かで、なんというか、キチっとしすぎているといいますか。宴といえば、私はどんちゃん騒ぎのお祭り騒ぎなものかと、てっきり……」
フクロウ
「これだけの頭数が揃う宴ですからねぇ。会の始まりはこんなものでしょう」
黒猫
「見渡すかぎりの豪華なテントに、たくさんのご馳走、それからどこからか流れる素敵な音楽、上品に談笑している、位の高そうな方々……。私、絶対に場違いです」
フクロウ
「場違いだと萎縮せず、堂々としていれば良いのですよ。
場に圧倒されて卑屈にならないで。宴を楽しみましょうと言ったではありませんか。
それにかしこまって見えるのも最初のうちだけです。一日の最後には、あなたの言うどんちゃん騒ぎのお祭り騒ぎが見られることでしょう」
黒猫
「うぅ……わかりました。宴は楽しまねばいけないですもんね!
……て、あれ? 賢者様?」
黒猫
<小声で>
「ああ、挨拶まわりをしてる立派な鳥さんたちに捕まっちゃってる! どうしよう……。えっと、賢者様のそばにいた方がいいのかな、それとも遠慮したほうが……」
黒猫
<小声で>
「うわーん。賢者様ぁ! こんな時のお作法なんて習ってないですよぉ!」
フクロウ
「クロさん、クロさん。さあこっちに」
黒猫
「え? あ……はい!!」
フクロウ
「皆さんにご紹介致します。私の一番弟子の魔法使いです。どうぞ、見かけた折には温かく見守ってやってください」
黒猫
「ここここんにちは! よ、よろしくお願いします!」
フクロウ
「私が弟子を取るような質(たち)だったかって?
ほほほ。後世のことを考える歳になったということでしょうな。見どころのある若者ですよ」
黒猫
「けんじゃさま……!」
フクロウ
「さあ、また“ご挨拶”に捕まる前に、ご馳走にありつきましょう」
黒猫
「はい、もうお腹ぺこぺこです!」
おしまい?
※ちょっとだけ解説
クロは黒猫の名前ではありません。愛称的なものです。黒猫に名前はありません。あったとしても呼ばれません。名前は相手に魔法をかける上で重要です。つまり自分にとっては弱点です。
「けんじゃさま……!」と言ってる黒猫はおめめキラキラでめちゃくちゃに嬉しがってます。“一番弟子”で“魔法使い”だと正式に紹介されたからです。
クロさんと気楽に呼ばれたことにも喜んでいます。
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