妖凛のクリスマスの朝
金曜日から土曜日の朝迄しこたま食べ、麒麟との事も有り、日曜日の休日の凛は胸いっぱいで独りでケンタッキーをウーバーして自宅に引きこもり、思い出してはキャーキャー言いながらベッドへダイブして居た。
そして明日はまた麒麟ウォッチングが有るからと、ストーキングの時にもいつ出会えても良いように!と、念入りに全身の保湿をして眠りに着いた。
朝5時過ぎ、凛は麒麟の気配で目が覚めた。
とうとう妄想レーダーが働いたかとも思ったが、間違いなく大好き愛しの麒麟の残り香が感じられる。
凛は何処だ!何かあるぞ!
と、寝ぼけ眼をピシャリと目覚めさせてお風呂場から何から見て回った。
収穫は無し。
おっかしいなぁ……その時、笑い声とコトリと言う音が玄関から聞こえ、凛は猛ダッシュした。
そこには既に麒麟の姿は無かったのだが、𝑀𝑒𝑟𝑟𝑦 𝐶ℎ𝑟𝑖𝑠𝑡𝑚𝑎𝑠と書かれた手のひらに収まる箱がドアノブにリボンで括り付けられていた。
凛はキョロキョロ見渡したが麒麟の気配は無い。
しかし、これは紛うことなき麒麟からのプレゼントに違い無かった。
何故なら𝑀𝑒𝑟𝑟𝑦 𝐶ℎ𝑟𝑖𝑠𝑡𝑚𝑎𝑠の横に画伯的な𓃱キリンね絵が描かれていたからだった。
朝の気温は-2°。
この冷え込む朝に麒麟が自宅へサンタクロースの様に尋ねて来てくれた事が何より嬉しかった。
玄関で凛はまた90度のお辞儀をぺこりとして部屋に入る。
中身はアイシングクッキーのクリスマスオーナメントだった。
凛はこの細やかさに麒麟のお菓子作りの才能と言うか腕の良さ迄見せつけられ、麒麟がこれを自分の為に夜な夜な作ってくれたのかと思うと胸いっぱいになって、ホロりと涙を拭った。
そしてお正月のおせち料理、手を抜くなんてとんでもない!丹精込めて取り掛かるぞ!と、気合いが入った。
アイシングクッキーはまだほんのり焼きたての香りがした。
凛は飾ろうかとも思ったのだが、箱と紐は麒麟コレクションとしてストーカーらしく残す事にして、クッキーはミルクティーと一緒に朝ご飯とする事にした。
幸せな幸せなクリスマスの朝。
凛は一口ずつ大切に大切にクッキーを口に運んだ。