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妖凛のクリスマス作戦
イルミネーションが街を覆い、金曜日の夜は零時近くてもカップルやドライブをする車、忘年会で出来上がった人達で溢れかえって居た。
凛は珍しく麒麟に会えなかった為に帰宅してからクリスマスケーキをストレス解消法とでも言う用に焼き上げデコレーションした。
しかし、出来上がった時間は既に深夜。
この時間に流石に麒麟の自宅へ凸するだけの思い切りは無かった。
ふと凛はおでん屋の源さんは明け方迄お店を開いている事を思い出す。
源さんとのサシ飲み、いや、凛は実は呑めない為、サシ食べは初めてだがケーキも持って行って、その場の人を巻き込んでしまおう!と、調子に乗る事に決めた。
妖と成ってからあまり冷えとかを極度に感じ無くなっていた凛はサンタクロースのコスプレに着替えると源さんのお店へとルンルンで向かった。
源さんを酔っ払わせて麒麟の色んな話を聞き出そうでは無いかと言う魂胆見え見えな凛だった。
ケーキが崩れない程度にスキップしながら凛は源さんのお店へ到着した。
源さんは開口一番に麒麟は今日居ないけどお嬢ちゃんどしたんだい?と、不思議そうに一杯やりながら笑顔で凛に話しかけた。
凛はここ座って良いですか?と、さり気なく麒麟の指定席の隣に腰を下ろした。
源さんはなんとなく意図は掴みつつも凛からのストーキング話は麒麟からも聞いていた為、何事も無かったかのように何食べる?と、凛へ話しかける。
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凛は牛すじ、大根、卵に厚揚げ、取り敢えず3つずつお願いします!と、頼みあとコーラも!と威勢よく源さんへ伝えると、沢山食べる女の子は俺嫌いじゃないぜ~と、源さんはニカッと笑いながらよそっていった。
凛がおでんをほぼ網羅し、源さんもいい塩梅で麒麟の事を口に滑り出している時、凛はある気配に気付いた。
それは大好き愛しの麒麟の気配。
勿論喋り続ける源さんは気付いてはまだ居ない。
凛は源さんの話をにこやかに聞きつつ全集中力を使ってレーダーの様に麒麟を探した。
そして、分からん……と、しょぼくれた気分の瞬間に麒麟は指定席の場所に凛はとうとうここにまで現れる様になっちゃった訳~?と、ケラケラ笑いながら座った。
そして、お前食う奴だとは思ってたけどまた随分源さんに貢献してんね~と、更に笑う。
凛はまさかの麒麟登場に山のような食べ終えた串の量を消す方法は無いものかと思考回路ハチャメチャと成って居た。
そして目ざとく麒麟は凛の隣の席に置かれたケーキの箱に目をやった。
凛~それ何〜?
もしかして美味しい甘いやつ~?
凛はあ、はい!召し上がりますか?
と、串等を一気に肘で退かして麒麟の前にケーキを出して置いた。
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源さんが先ず、可愛いねぇ〜下の切株みたいなの迄お洒落じゃな~い!
凛ちゃんがもしかして作って着てくれたの?と、口を開く。
続いて麒麟も随分美味そうじゃん!
5個有るからジャンケンして負けた人が1個ね!と、子どもの様に嬉しそうな笑顔で言った。
凛はもう今日天に召されてもいいと思い、今の現状に鼻血が出ない事だけを祈ってジャンケンに参加した。
ジャンケンは何と麒麟が負けた。
凛は必死に麒麟さんが2個食べて下さい~と、懇願したが勝負は勝負!と、麒麟は言った。
けれど麒麟も一個のケーキを口にした時に気持ちが揺らいだ。
凛~やっぱ一口ちょーだい?
と、麒麟は口をパカッと凛に向けて開く。
凛は自分の使ったお箸が麒麟の口に入る事を関節キス所では無いと、頭から火山が大爆発状態だったが、遠慮なく麒麟の舌へそっとケーキを乗せた。
凛はあ~もう死んでもいい。
神様仏様妖の皆様、あざまーす!
と、心の中で盛大に叫んだ。
その後も3人で何やかんや源さんのおでんが底を付きそうになる迄、楽しい時間は過ぎた。
明け方の烏が鳴き始めた頃、そろそろお開きにしますかね~と、成った。
麒麟は源さんの屋台の撤収を手伝ってから帰るから凛には先に帰るよう伝えた。
凛が今日はとても楽しかったです。
有難う御座いました。
と、また90度のお辞儀をすると、麒麟は来年はイチゴのケーキがいいな~!
今日のもチョコ味最高だったけど。
俺、イチゴのケーキ好きなのよね~と、ほろ酔いかげんに凛へにこりと伝えた。
凛はまた来年も麒麟と過ごせる約束が出来た事が堪らなく嬉しかった。
凛は麒麟に承知しました!手によりをかけてお持ち致します!来年をお待ちしております!と、茹でダコみたいな顔で宣言した。
源さんと麒麟は顔を見合わせてまたゲラゲラ笑いながら、楽しみに待ってるよーと、消えて行った。
凛はこんなにも妖人生が幸せで良いのかと心臓が口から飛び出そうなくらい喜びで胸がいっぱいだった。
来年のクリスマス迄に今よりは役立てる妖となって、そんでもってほっぺた落ちるイチゴのケーキを作れる用になろうと朝焼けを見ながら帰路についた。
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