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妖凛の年末年始推し活
何となく日の浅い凛にすら、師走に入ってからの他の妖達の動きが忙しないのが伝わって来ていた。
凛は相変わらず妖の仕事内容や関わるべき境界線の学び、自分達のテリトリー、その他覚える事がいっぱいなのと、一日一度の麒麟ウォッチングで一日があっという間に過ぎていた。
この前の麒麟さんの朝食、マジ尊かったな~。
しっかし、あれを経験してしまうと欲望を抑えられないってもんよね。
うーむ( ¯ᒡ̱¯ )
クリスマス時期は何だか忙しいらしくてとても声はかけられそうも無い。
でも、どうやら年始は神様達が忙しいのもあって、妖達もちょっと休めるとの噂を小耳に挟む。
凛はこれだ!と、PCでニヤニヤ1枚のデザインを仕上げて麒麟ウォッチングへと出掛けた。
麒麟は人の往来に紛れて居たのだが、凛を察知して使われていないビルの一室にサクッと飛び、凛も後を追いかけた。
凛ちゃ~ん
おじさん追いかけて何が楽しいのか相変わらず分かんないんだけど、どしたー?
麒麟はタバコに火を着けながら聞く。
凛はすかさず1枚の紙を麒麟に渡した。
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……麒麟は笑いを堪える事が出来なかった。
お前、暇なのかょ~!
何こんなん作ってるわけ?ウケるな~ゲラゲラ。
凛は真っ赤になりながらやっちまった感に逃げ出したくもやらかした手前動けなくなっていた。
麒麟はそんな凛を見ながらふとお正月らしい事なんてここ何十年、いや数える事が不明な位な状態だと気付いた。
凛はマメなわけね。
んで、お前作れるわけ?
凛は食べるのが大好きなのでおちゃのこさいさいです!と、得意気に目を見て伝えた。
麒麟は2本目のタバコに火をつけながら携帯片手に電話を始めた。
ねーさーん、年始暇っすかね?
久しぶりに皆でお正月ってやつやりません?
酒は俺が用意するのと、ストーカーが料理は用意しますんで。
はい、あと、適当に声掛けてめでたいことしましょうょー。
そんな感じで麒麟は電話を切る。
凛はねーさんってあのお酒の人だ!
私の事、受け入れてくれるかしらと心臓バクバクだった。
麒麟はそんな事お構い無しに、ねーさんが久しぶりのお節になるから今の時代のやつをめっちゃめでたい感じで頼むょー。
量はどの位作れそう?
俺、筑前煮とエビチリとローストビーフ食いたいから、それは作って行くからあとのは頼んで良き?
と、麒麟は凛に伝える。
そして凛からの紙に電話番号を書き込んだ。
後で俺に連絡入れてね。
その紙無くさないでよね~と、笑うと麒麟は消えていた。
凛は電話番号知っちゃった!
電話番号知っちゃった!
麒麟さんの電話番号だー!
誰にも見せられない様な小躍りしてから、用紙をファイルに入れて自分の指紋なんて散々着いているのにこれ以上はアカン!とでも言う様に大切にバッグへ入れた。
凛はそう言えば生きてる時もお正月がこんなに楽しみだったのなんて、お年玉が貰える時代以来な気がする、そんな事をふと想った。
今日はもう自宅直帰だし、せっかくだから日本中のお節を調べて下準備をしよう!と、決め込んだ。
凛は自宅で寝る前に今日の麒麟の笑顔を印刷して日記帳に貼り付ける。
自分のこの印象印刷には初めは驚いたが、今では愛のなせる技とすら誇らしかった。
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