カーテンコールは続く
愛したソシャゲに死なれたことはありますか?私はある。
個人的な観点だが、さまざまな「物語」において最も不幸なことは何かと問われた時の答えは「ピリオドが打たれないこと」だと思っている。
作品世界が宙ぶらりんの浮いた状態のままでいるよりも、例えジ●ンプの打ち切り漫画あるある展開でも一応の着地を見せてくれた方がまだマシだ。作り手が考えたラストシーンがどんなものか披露されないままの作品というのは、いつまでも点睛を欠いたままの画竜だと思うのだ。
しかし、ソーシャルゲームのサービス終了においては、時としてメインシナリオが未完のままとなってしまうことも多い。実のところ私のこよなく愛したソシャゲにも運営会社の倒産という理由でメインシナリオが未完のままでサ終してしまったものがある。後日クラウドファウンディングを経て何とかシナリオだけは読ませてもらえることになった時は滂沱したものだ。
(ちなみにここ、前半と後半でリンク違うのでぜひ両方踏んでいただきたい)
一方、サービス終了が決まった瞬間から、物語のエンディングまでをいかにドラマチックに演出するかに全力を傾けたアプリゲームもあった。それが「ワールドエンドヒーローズ」、通称ワヒロだ。
ワヒロには2020年コロナ禍の真っ只中で出会った。当時の社会情勢で自宅待機の合間にハマりにハマったその約2週間後にサ終を発表されるという悲しい目にも遭った。
ただし、新参者の私ですら驚くほど、サ終が決まってからのワヒロの本気はすごかった。
2024年の今ではそこまで斬新ではないが、ワヒロには当時のソーシャルゲームでは稀な、シナリオ上におけるプレイアブルキャラのキャラロストがあった。これどうなるんだと震える傍ら、サ終の告知と同時にメインシナリオも簡潔に向かって舵を切る。
否が応でも盛り上がるシナリオ!さらなるキャラロスト!どうなるんだこれ!震えるユーザー!一方でロストしたキャラも登場する平和なイベントストーリー!本当にどうなってんだ!
感情が乱高下する傍ら、もうスケジュール的にこれが最後だろうな……というタイミングで新規イベントが発表され、目をひん剥くことになる。告知されたのは、シナリオ上でロストしたキャラがメインを張るイベントだったのだ。
そこからのワヒロ運営によるシナリオ構成と演出はもう本当にすごかった。ソーシャルゲームのリアルタイム性をフル活用して、イベストとメインシナリオの双方で伏線を仕掛け合い、怒涛のように回収しながら“完結”へと突き進んでいく。驚くことにメインシナリオの完結後、キャラストーリーの更新による新たな仕掛けもあった。
最終的にはカーテンコール的なイベントを経てサービス終了の日を迎えるその日まで、尻窄みな印象は一切ユーザーに与えず、トップギアの眩しさと熱さを持ち続けたまま幕を降ろした。
もちろん寂しさや無念はあった。しかし一方で、サービス終了に際してあれだけ「走り切った」という晴れやかさにも似た気持ちになれたことは、貴重な体験だったと思うのだ。
ところで、ここまでお読み頂いた方の中は「そんなにすごい演出のソシャゲ、遊んでみたかったな……」と思われた方もいらっしゃることだろう。
安心してください。ワールドエンドヒーローズはなんと! オフライン版が!あるのです!サービス稼働していた当時よりは機能は削られてしまったけれど、それでも稼働当時のシナリオは全部読める。ありがたい。
個人的なストーリーの読み進め方はこんな感じ。
1.メインストーリーを2章まで
2.キャラ毎の「サイドストーリー」を2話まで(カドストもついでに読んじゃっていいかも)
3.2018年〜2019年までのイベスト
4.3章〜4章のメインストーリー
5.2020年のイベスト
6.メインストーリーを最後まで
7.サイドストーリーの3話以降を読む(その際「白星第一学園」のメンバーを最後にする)
指示が多い!申し訳ない!でも本当にこの読み方が多分一番リアタイに近い感覚を味わえると思うので!
とはいえワヒロのサ終、オフライン版の稼働からも4年が経つ。iOSではともかく、Androidではバージョンによっては新規DLができないという話もちらほら聞く。
晴れやかなサービス終了を追体験したい方、どうか間に合ううちにオフライン版ワールドエンドヒーローズをDLしてくれ。共にこの素晴らしい作品をサ終にしたスクエニの損切り社質を恨もう。そして今でもワヒロを愛していることを発信してくださるスタッフさんたちを讃えよう。
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