「ダイバージェント」セルフライナーノーツ 〜総括編〜
EP「ダイバージェント」のセルフライナーノーツを恥を忍んで執筆してみます。
第1回の今回は作品の総括編です。
また各曲の解説は別途やりたいなと思っております。
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2014年の夏、東京を去り地元静岡へ帰った。
さらば音楽の世界。
彼女を連れて静岡へ帰った。
彼女は奥さんになった。
地元の企業へ就職した。
でも休みの日にはTASCAMの8トラックMTRでたくさん曲を録音していた。
また転職した。
子供が生まれた。
ローンを背負って家を買った。
10円ハゲができた。
でもビートルズのコピーは真面目にやった。
コーラスを全パート真似したりした。
やっぱり音楽は楽しかった。
macにLogicをインストールした。
エレクトロニカ的なものを色々作った。
volca sampleを買った。
押し入れの奥からElectribeを引っ張り出した。
見様見真似のテクノはとても楽しかった。
潰れていた近所のライブハウスが復活したのに気づいた。
やっぱりギターも弾きたかった。
やっぱり歌も歌いたかった。
volca sampleのビートに合わせて歌った。
いろんな人に出会った。
昔のバンド仲間とも再会できた。
今までの音楽をきちんとまとめようと思った。
今までのことを詰め込んだアルバムを作りたいと思った。
今回のEPは2019年の冬から2020年の初夏にかけて製作されました。しかし収録曲の中には20代前半の時分にバンドで歌っていた曲や、何年か前に作った曲もあって、これまでの活動を振り返るような内容になっております。
基本的に弾き語りスタイルで作曲した歌に、サンプラーやドラムマシン(KORGのvolca sample、volca beats、Electribeなど)でビートをつけ、ベースやシンセなどその他の音を重ねた作品です。
音の大まかなコンセプトとしては残響多めのドリーミーなサウンドや、製作時にハマっていたLo-Fiヒップホップの質感を取り入れようと心がけて音作りを行いました。また途中でシンガーソングライターの土橋悠宇氏のレコーディングにベーシストとして参加した事も今作での音に大きな影響を与えました。(アルバム「Sain'o O」はこちらでお楽しみいただけます。私は5、6、8、9曲目でベースを弾きました)
製作スタート時、1曲目の「まどろみながら行くのだ」を除いて、他の曲は既に歌詞もメロディもコード進行も出来上がっていました。ただ録音は1曲ずつ完成させずに、同時進行的に進めました。ベーシックトラックを一通り完成させて、そのあと一気に歌を録って、一気にミックスを行おうという寸法です。この方法によって全体のサウンドにある程度統一感が生まれたのではないかと思っています。(とても疲れました)
当初10曲入りのフルアルバムを予定していたのですが、9曲分のベーシックトラックを録り終えた頃に色々思うところがありまして、6曲入りEPにゴールを変更しました。4曲を削って最後に「まどろみながら行くのだ」を書き下ろした結果、収録曲同士の流れが綺麗に繋がったので、良い選択だった考えています。
全体としてなんとなくストーリー仕立てなイメージで曲を並べています。
要約すると「現状に苦しんでいるのだけれど、次の一歩が前に出ない。なんとか前に進んだのだけれど、進んだ先にも苦しみが待っている。忙殺される。10円ハゲもできる。でもブレずに頑張ってると見えてくるものもあって、いろんな出会いもあって、過去の苦しみを落ち着いて振り返る事もできるようになる。取り巻く環境はどんどん変化していくし、その中で沢山の選択肢に直面する。その時には俯瞰で見る事なんてできないのだけれど、そこでキチンともがく事が大事なのではないか」となります。
非常に個人的な内容となっております。表現活動とは、人間の業と恥部を晒すことなのでございます。
Divergent [形容詞]
分岐する、散開する、末広がりの
(weblio英和和英辞典より)
末広がりの富士山麓からお届け致しました。
またどこかで歌詞を公開したいと思います。
ではでは。
オケラ2号
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