「ダイバージェント」セルフライナーノーツ 〜人魚編〜
M6 人魚
EP最後の曲。
本作のアートワークを担当したmisayo yonai氏の人魚の絵画にインスピレーションを受けて作りました。
英題は「Merman」、つまり男性の人魚です。
イメージとしては中年人魚。
(あくまでも私のイメージであってyonai氏の作品とは無関係な設定ですのでご承知おきを)
これまで歌ってきた出来事や感情を、この人魚というペルソナに全部背負ってもらおう、というコンセプトで作曲をスタートさせました。
色々悩みやトラウマの尽きない、深い海に怯える人魚です。
コード進行は私の曲には珍しく(変則)カノン進行。
サビは4516進行。
4516進行は私が勝手に「許され進行」と呼んでいるのですが、タメてタメて、引っ張って引っ張って、ここぞという時に用いるとものすごい「許され感」を醸し出して気持ち良いのです。
この「許され進行」の使い手には(the)bedsのフジタタカノブ氏がおります。
私自信、彼の曲には大きく影響を受けていて、この度参考にさせてもらった次第です。
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(↑このアルバムの「砂は舞う」を聴いてほしいです)
本当は1曲目にするつもりだったのですが、制作の途中で曲順を入れ替えました。
「許され感」の演出に必要な「タメ」がラスト曲にする事でより効果的に働いて、物語の終わりをうまく演出できたと思います。
曲構成はAメロ→サビ→間奏→サビというコンパクトなものです。
間奏の部分にも2番として歌を入れようと思ったのですが、蛇足な気がしてやめにしました。
「風の絵の具」と同様、ギターにはDAW Cassetteによるカセットテープ効果を加えています。
ギターのループフレーズのコンプレッション感とピッチ揺れが心地良いです。
リズムトラックについては、今作お馴染みのvolcaシリーズを使わずにソフト音源で打ち込みました。
太鼓ものはKORG GadgetのTokyoを使っています。
ソフト音源でもKORGにお世話になるという。
いかにもアナログドラムマシンな音で好きなプラグインです。
サビの3声コーラスはベタながら綺麗に聴こえるので、やってみて正解でした。
アウトロのギターは1曲目「まどろみながら行くのだ」のシンセループと同じフレーズ。
バックに聴こえる波の音は伊東の海岸にてiPhoneで録音しました。
作品の冒頭にもうっすら登場していた「小さな夢を」という短いフレーズを繰り返して作品の幕は降ります。
かくして、くたびれた中年人魚は色々な気持ちに折り合いをつけ、小さな舟で沖へ漕ぎ出し、真っ暗な海の底へ向かって飛び込んでいったのであります。
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ではでは。
オケラ2号
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