見出し画像

6年半在籍したヤフーからZ venture capitalに転籍しました

Z venture capitalの大久保です。

2021年10月1日をもって、2015年4月(新卒)から6年半在籍したヤフー株式会社を卒業し、Z venture capitalに転籍することにしました。これまでヤフーでは、2年半をヤフーショッピング、4年をZ venture capital(旧YJキャピタル)にて、キャリアを積み重ねてきました。お世話になった先輩方には感謝しかありません。

この転籍にあたり、これまで当たり前にZVCで担ってきた “コマース領域が専門”の「キャピタリスト」という職業について、正面から向き合うことになりました。

キャリアの話はとても個人的な話ではありますが、「なぜコマースなのか?」「なぜキャピタリストなのか?」と悩み考えたプロセスを言語化することで、キャリアに悩む方々の参考になるのではないかと思いました。今回は、現時点の“思い”をnoteに記したいと思います。

(注)パーソナルな話がメインです

「気象学」から「MOT(技術経営専攻)」へ:シリコンバレーで感じた“時代のうねり”

今思うと「なぜヤフーに入社したの?」と友人にも驚かれるような、不思議な学生時代を過ごしていました。

学部時代は、持続可能な世界をテクノロジーでつくることを目指す「国際開発工学科」に身を置きつつ、研究室ではゲリラ豪雨を研究していました。

子供心に「天気の仕組みってどうなっているんだろう?」というシンプルな問いを追求した結果、迷うことなく「気象学」を選んでいました。

大学院では、「自然現象の仕組みを学んだので、次は、かねてから興味があった“ビジネス”という人工現象の仕組みを知りたい!」と、これもまた純粋な好奇心を持ってMOT(技術経営専攻)に進学しました。

私が通った東工大(東京工業大学)は一般に理系に強いといわれており、多くの同級生がメーカー等の研究職に就職していきました。一方、私が選んだのはヤフー。しかも、営業職での入社です。

思い返してみれば、就職先にヤフーを選択するに至ったのは、MOT在学中に旅行半分で参加したシリコンバレーでのインターンシップの影響が大きかったのだと思います。

画像1

Plug and Playの施設訪問時撮影(2013年)

インターンでは商社で働きながら、ヤフー、Google、テスラといったグローバルIT企業のオフィス、また大手ベンチャーキャピタルのPlug and Playを訪問する機会がありました。

テクノロジーで世界のビジネスシーンを一変させたIT企業の雰囲気を感じ、自分もこの世界に身を投じねば、と直感的に思ったのを覚えています。今振り返ってみると、この経験が私のキャリアに大きく影響を与えたのだと感じます。

ヤフー入社:Eコマースを通じて“インターネット革命”に触れる

ヤフーには、新卒で入社しました。希望して配属されたのはヤフーショッピングです。

ちょうど、ソフトバンク創業者の孫正義さんも熱く語った「eコマース革命」が進行中で、いつもの好奇心から「面白そうだ」と思ったことが主な理由です。

営業職として入社した私は、全国の出店者とひたすらお話して、ビジネス成長を支援する業務に従事しました。主に、家具、ペット、日用品、花、家電、DIYといったお家周りの商材を担当していたこともあり、担当先の商品を買う毎に家がモノで溢れて溺れそうになる日々を送っていました。

担当先は、上場企業から個人店舗の方まで多彩で、誰もが参加できるインターネットのパワーを改めて体感しました。出店者の方にも恵まれ、担当先がヤフーショッピング大賞やベストストアを受賞したときは自分のことのように嬉しかったことを覚えています。

画像3

楽しかった思い出(2015年12月撮影)
ヤフー社員がサンタになって子供にプレゼントを届ける企画
https://about.yahoo.co.jp/info/blog/20151225/yahoosantaclaus.html

また営業業務とは別に、「サービスEC」の立ち上げにも携わり、形のあるモノだけではなく、無形のサービスなどあらゆる商材を販売できるEコマース化のポテンシャルを感じる機会にもなりました。

その後、営業部から広告企画に異動し、Eコマース×広告でいくつかのプロダクトのディレクションを担当しました。大型イベントの企画、管理ダッシュボードの立ち上げなど、期間は短かったものの、とても充実した時間でした。

YJキャピタル参画:「何者でもない自分に“情報発信する価値”はあるか?」

ヤフーショッピングのあとに、縁あって参画したのがYJキャピタル(現ZVC)です。

入社初日に「ダウンタウンになれ!」とBOSSの堀新一郎さんに言われたのは、今でも強烈に残っています。要は、VCのキャピタリストは、会社ではなく個人の看板でお仕事を取りに行く必要がある、という趣旨です。これまでとは、まったく違う世界だと感じました。

「まずは“個人の発信力”を高めなくては……」と、SNSでの発信をしたことがなかった私は、さっそくツイッターのアカウントを開設しました。その記念すべき1ツイート目を引用します。(ちなみに、その後「ライブコマースがくる」と4年も言い続けることになります)

VCのキャピタリストを続けるにあたり、いちばんの悩みとなったのは「何者でもない自分が、はたして情報発信する価値があるのか?」ということです。

大学では気象学、大学院ではMOT(技術経営専攻)を選択し、新卒でヤフーに入社しましたが、取り立てて特別なキャリアを経てきたわけではありません。他メンバーにない“強み”を自覚しているわけではなく、思いのほか「ダウンタウンになれ」という言葉が重みを持ちました。

あらためて考えたのが「なぜコマース領域のキャピタリストを目指すのか?」です。

ヤフーショッピング出身だから……といえば、それまでですが、それ以上に私はコマースに強いこだわりがあるという自分の気持ちに気づいていました。日々悩みながら、ブログや、メルマガ等いろいろ試行錯誤するなかで、あるとき思い当たりました。

あらゆる事象やモノゴトの“原理原則”に対して、自分は強いこだわりがあるのではないか?

コマースには次のような意味があります。

財やサービスなどの商品を所有している人または存在している場所と、必要としている人または必要としている場所を結びつけることにより、利益を得る産業または経済活動。

私の解釈では、コマースは“価値交換”というビジネスにおける原理原則を最も体現した人工現象です。そして、気象学のルーツは古代ギリシャのアリストテレスの著書『気象論(Meteorologica)』にあり、生活に関わる自然現象のなかで原理原則にあたる存在です。ここに“私”という存在の一貫性を感じました。

そして、MOT(技術経営専攻)はテクノロジーをどうマネジメントするのかを学ぶ学科であり、インターネットという技術がコマースに新たな革新をもたらしていることに通じます。実際にそれを体感したのは、ヤフーショッピング在籍時でした。

振り返ると点と点が繋がり、まさに"Connecting the dots(Steve Jobs)”により今の"私"があると思います。

他人に「すごい」と言われ、「えっ? なんで?」とギャップを感じたときが転機になる

これまでの経験やキャリアが、“あらゆるモノゴトの原理原則に対する強いこだわり”という中心でつながっていることを理解したことから、大きな気づきが一つありました。

私は「キャピタリストは忙しいのに、休むことなく最新コマース情報を発信していて、すごいですね」と言われることがあります。しかし、もちろん情報発信はリサーチや考察の時間がかかるので大変なことではありますが、苦にしたことはありません。おそらく、コマースの仕組みを調べることが人よりもずっと楽しいのだと思います。

「えっ?こんなことで“すごい”って言われるの?」と、自分が思っていることと、他人に言われたこととの間にギャップがあったとき、それがヒントになるかもしれません。

自分が苦労することなくできていることが、人にとっては「すごい」ことなのか! そのことに気づいてから、私は初めて何者でもない自分から、自信を持って「キャピタリスト」と名乗ることができるようになった気がしました。

現在もコマースチャンネルでは、毎週メルマガを発行しています。

noteでは、お会いする人にnote読みました、と時々言われるようになりました。

Twitterは、コツコツの発信を続けて7000人超の方々にフォローいただけるようになりました。

画像2

投資活動でも、キャピタリストとして多様な領域のスタートアップに出資させていただきました。

一部投資先 時間順)THECOOVirtusizeベルフェイスwant.jpshippioココンドキドキグルーヴワークスGraciaモノカブValtJapan

時間経過とともに出資先もどんどん成長していき、最初の投資先であったTHECOO平良真人さんとは、まさかの“Forbesデビュー”をご一緒させていただきました。(家宝になっています)

「何者でもない自分」に悩んでいた、あの頃と比べると、自分でも驚くほど積極的になれています。コマースを中心に情報発信を重ね、今では有り難くも、(株)いつもの望月さんとのラジオ、ECのミカタさんとのコラボなどの機会をいただくなど、今も“コマース道”を探求しています。

ヤフーを退社し、ZVCに転籍:コマース領域でいちばん信頼されるキャピタリストになる

そして、今回、CEOの堀さんnoteにもあるように、Z venture capitalは新たなスタートを切ることになりました。

もちろん「ヤフーに戻る」という選択肢もありましたが、“コマース領域のキャピタリスト”という職業を選ぶことに迷いはなく、Z venture capitalへの転籍を決断しました。素晴らしい起業家、キャピタリストの方々といっしょに働かせていただく中で、すでにVCのキャピタリストとしてキャリアを積み重ねたいという思いが強くなっていたからです。

転籍により、何かが大きく変わるわけではありません。ただ、VCのキャピタリストを選んだからには、より一層さまざまなことに挑戦していきたいという思いを新たにしました。ことコマースにおいては、いちばん信頼されるVCのキャピタリストになりたいと決意しました。

最後に、孫正義さんの言葉を引用したいと思います。

「Vision Capitalist」に近づけるよう、今日からまた頑張っていきます!

終わりに

ここまで読んでいただき、大変にありがとうございました。キャリアに悩む方々の参考になればと一念発起し、恥ずかしい気持ちもあり普段は書かないようなパーソナルな話を書かせていただきましたが、みなさんにとって何らかのヒントになっていれば嬉しいです。

キャピタリストという職業柄、たくさんの方々とお話することが仕事の一つです。コマースに興味がある起業家はもちろん、キャピタリスト志望の方々からのご連絡はいつでもウェルカムです。ぜひ、TwitterのDMなどでご連絡ください。お話できることを楽しみにしております!

そしてコマースにご関心のある方はメルマガ登録もお願いします📧



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?