【コマースチャンネル】コレクティブ商材の証券化PF/EC向けキャッシュフロー改善サービス/従業員間ギフトPF/ヘッドレスコマース/ECサイバーセキュリティ
先週のEC/OMO/マケプレ領域の注目資金調達ニュースをお届けします(日本でも投資したいなぁと思う企業をpickしてます。関連領域で起業している方/準備中の方ぜひ、ご連絡ください!!)
①コレクティブ商材の証券化PF「Collectable」
設立年:2020/米国
調達金額:5.5Mドル(Series A)
主要投資家:Jeff Perlman, Joseph Pompliano, Bain Capital Ventures, Anthony Pompliano, Amplo
事業概要:
スポーツ関連のプレミアム商品の取引所を運営しています。特徴は株式市場を参考にしている点です。例えば、一枚のマイケル・ジョーダンのユニフォームが所有権として2.4万株式に分割され一口$10程度から購入可能になっていたりします。他にも、板取引やIPO、時価総額といった概念も商品ごとに存在しており、まさに、株式市場における"会社"が"プレミアム商品"にそのまま置き換わっているPFを提供しています。適法性の観点ではSECからも認証を受けており問題ないとのこと(目論見書も数百ページ)。マネタイズはIPO時の手数料と、セカンダリーの取引に応じた手数料(買い手、売り手から1%づつ)となっています。2020年9月のローンチ以降、100商品以上がIPOし、3.5万人のユーザーが参加をしているそうです。今週は、トレカのライブコマースPF「whatnot」も大型調達しており本領域は引き続き注目されてます。
一言コメント:
先週調達のRallyと同様のビジネスモデルですが、面白いですね!コレクティブPFで有名なStockX等とは異なり、モノの所有権を分割し取引しているため、モノの移動自体は発生せずオペレーションコストは低そう。2次流通が活性化すればかなりの利益率になることが見込まれます。国ごとに法律が異なるので、日本ならではの同様の事業が出てくることに期待大!
記事リンク:
https://www.finsmes.com/2021/05/collectable-raises-additional-5-5m-in-series-a-funding.html
②EC向けキャッシュフロー改善サービス「Wayflyer」
設立年:2019/アイルランド
調達金額:76Mドル(Series A)
主要投資家:Zinal Growth, DST Global, QED Investors, Speedinvest, Left Lane Capital
事業概要:
EC事業者向けキャッシュフロー改善サービスを提供しています。特徴としては売上ベースでの返済が可能になっている点です。先立って資金を調達し($10k~$20M)売上が立ってから、売上高の数%を日割りで返済していく仕組みとなっています(返済総額は元本+手数料率)。従来の借り入れと異なり、売上高に応じた返済という柔軟な返済ができる点が評価されています。対象となる企業は”半年以上事業を運営”しており”月売上が$20k以上”の会社となっております。審査は数時間で完了し、1~3日後には入金するスピードも特徴となっています(EC売上管理システム、マーケ分析ツール、銀行口座等と連携して審査)。2020年にローンチしたwayflyerは21年3月には$36M資金提供した実績になっているそうです。先週のsettle、uncappedなどを始めとしたキャッシュフロー改善会社が注目を浴びています。
一言コメント:
EC事業の成長に伴いキャッシュフロー改善盛り上がってますね!一口にキャッシュフロー改善といっても”売上ベース返済”のwayflyerと、先週紹介した”取引先への支払いを後伸ばし”にできるSettle、”revenue for nasdaq"を掲げるPipeを始め多数の切り口が存在してますね。日本ならでは切り口のスタートアップに期待です!
記事リンク:
https://techcrunch.com/2021/05/27/irelands-wayflyer-raises-76m-series-a-to-provide-revenue-based-financing-to-e-commerce-merchants
③従業員間ギフトPF「Snappy」
設立年:2015/米国
調達金額:70Mドル(Series C)
主要投資家:GGV Capital, 83North, Hearst Ventures, Saban Capital Group, Saban Ventures
事業概要:
法人向けに従業員同士がギフトを贈りあえるPFを提供しています。従業員同士でプレゼントをする際に簡単にe-giftを送れるPFです。また、管理者は、ダッシュボード上でギフトのやり取りを確認することが可能となります。従業員同士でギフトを通じて感謝を贈り合うことで、従業員の幸福度・エンゲージメントが向上するという研究もあり、従業員満足度を向上したい企業が中心となってsnappyを導入しています。UberやMicrosoftを始めとした1000社に及ぶクライアントが利用しており、ここ半年で100万ものギフトがPFで送られておりYOY800%成長をしているとか。米国では法人ユースのギフト市場が$125B、個人ユースのギフト市場が$375Bに及ぶ巨大市場であり、先週の&openを初めとしてギフト市場が注目を浴びています。
一言コメント:
従業員満足度を向上させるための”ギフト”というのは面白いです!コロナでリモートワークが普及しているからこそエンゲージメントを高めるプロダクトのニーズは増しているのでしょうね。ギフトECというとBtoCをイメージしてしまいますが、今回の”従業員幸福度向上のためのギフト”、先週紹介した&openのような”顧客CRMとしてのギフト”といった多様な切り口は面白いです。法人に提供することで、コホートも良好になりそうな構造が巧みですね!
記事リンク:
https://www.finsmes.com/2021/05/snappy-raises-70m-in-funding.html
④ヘッドレスコマース「Commerce Layer」
設立年:2017/イタリア
調達金額:16Mドル(Series B)
主要投資家:SV Angel, Benchmark, Coatue, Mango Capital, NVInvestments
事業概要:
ヘッドレスコマースのインフラ(APIライブラリー)を提供しています。ヘッドレスコマースでは、ECサイトを構築する際に、バックエンドとフロントエンドを分離して開発することで、柔軟性をもった開発ができます。これにより、サイトの読み込み速度のアップによるユーザー体験の向上、ホスティングコストの削減等が期待できるとのことです。またフロントエンドが分離されていることで様々なタッチポイント(SNS、音声、XR、メッセンジャー)で柔軟なEC機能実装が可能となります(下図)。Commerce Layerでは、モバイル、ウェアラブルや音声app、POS、サブスクリプションやマケプレ構築等の開発が可能となっており、今回の資金調達により開発ライブラリーを拡大していきます。マネタイズは、注文あたり$0.9の従量課金と、エンタプライズプランがあります。当該領域には多数のスタートアップが参入しており、Chord、Spryker、Fabric、Shogun、Pipe17、Nacelle、Swell、Saleorなどが調達してます。
一言コメント:
多様なデバイスの普及によりタッチポイントの多様性は加速していき、比較的容易にカスタマイズ性の高い開発ができる環境のニーズが高まのは不可逆だと思うので楽しみな領域です!
記事リンク:
https://techcrunch.com/2021/05/26/italys-commerce-layer-raises-16m-led-by-coatue-for-its-headless-commerce-platform/
⑤ECサイバーセキュリティ「Forter」
設立年:2013/米国
調達金額:300Mドル(Series F)
主要投資家:Salesforce Ventures, Tiger Global Management, Scale Venture Partners, Bessemer Venture Partners, March Capital
事業概要:
EC企業向けに不正行為を検知・防止するソリューションを提供しています。具体的にはIDベースで消費者のトランザクションを分析し、クレジットカード詐欺、アカウントの乗っ取り、返品における不正行為等を特定し阻止するソリューションです。既存手段と比較し誤検知を75%削減し、不正による損失やコストを60%削減しています。network of trustという概念を重視しており、あるEC企業で不正検知したら、そのデータを他導入企業の検知にも活かすといったかたちで、ネットワークが拡大するほど、不正検知能力も向上していく仕組みを作っています。既に、InstacartやPricelineなど350もの大企業が導入しており、今年日本進出も果たしています。同じくEC企業向け不正検知SaaSで今週資金調達したDataDomeもあるように、EC市場拡大に伴い、サイバーセキュリティの領域も注目を浴びています。
一言コメント:
サイバーセキュリティ領域全般が注目領域の中で、ECのようなトランザクション系に特化した企業も成長しています。本領域はグローバル企業が日本国内でも強い印象がありますが、日本発、トランザクション系サイバーセキュリティ企業の登場に期待です!
記事リンク:
https://techcrunch.com/2021/05/25/forter-raises-300m-on-a-3b-valuation-for-a-platform-to-combat-e-commerce-fraud/
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