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【令和元年度版】EC市場調査 ダイジェスト版

Z Venture Capital 大久保です。EC領域全般投資しております。お気軽にご連絡ください。コマースメルマガも宜しければぜひご登録ください。

今回は、令和2年7月に発表された経産省による「電子商取引に関する市場調査」についてダイジェスト版を記事化します。本レポートは毎年発刊されており、EC領域に携わるものとしては、目を通しておきたいレポートです!!以下、主要な図表をもとにダイジェスト版をお送りします。

EC市場調査 ダイジェスト版

 まずは、世界のEC市場です。図表7-4を見るとわかるように、世界のBoC-EC市場は今なお拡大を続けています。その規模約450兆円、EC化率にして16%と見込まれており、今後も成長し続けると予想されてます。

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 次に国別のEC市場です。図表7-5にあるように、国別でいうと中国が圧倒的規模であり、日本は4番手となっています。人口が半分の韓国と同じ規模のEC市場規模というのは興味深いです。人口を鑑みるとインドの伸びはこれから凄まじそうですね。

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 次は日本のEC市場です。図表4-4では日本のEC市場の推移を表してます。日本は19兆円、EC化率6.7%となっています。先述した世界のEC化率16%と比較しても伸びしろがまだまだありますね!これは、日本の小売店鋪が優秀であることの裏返しとも言えるかもしれないですね。

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 BtoC市場19.3兆円の中身を見ると、物販系が10兆円(構成比52%)、旅行・飲食のようなサービス系が7兆円(構成比37%)と大きくなってます。いずれも伸び率8%前後とまだまだ成長市場です!

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 特にデバイス別でいうとスマートフォン比率が年々増加しており42%に達しています。

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 EC市場最大構成比の物販系10兆円のカテゴリー比率が図表4-17です。アパレル、食品、家電、ホームファッション、書籍/DVDの5領域が1兆円を超えるEC市場規模となってます。

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図表4-16で規模/成長率/EC化率がカテゴリーごとにまとまってます。
成長率ランキングでは
 1位:家電 +10.7%
 2位:ホームファッション(家具、雑貨) +8.3%
 3位:書籍/映像・音楽ソフト +7.8%
EC化率ランキングでは
 1位:事務用品 41%
 2位:書籍/映像・音楽ソフト 34%
 3位:家電 32%
となってます。
一方で、EC化率が低い食品(2.9%)、自動車(2.9%)はこれからの伸びしろが期待できます。実施、海外ではこの領域のEC化が急速に進んでいる印象です。アパレルにはZoZoが存在しますが、それ以外のカテゴリーではガリバーが未だ不在です。○○版のZoZoのようなサービスが出てこないかといつも期待してます。このあたりの話はブログ「【保存版】世界のEC上場企業50社まとめ」で触れています。

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 物販に次ぐ構成比のサービス系EC市場の内訳が図表4-20です。旅行予約サービスが3.8兆円と最大です。成長率に関しては、美容系の+26%成長を筆頭として、物販系と比較しても成長速度が早いのが特徴です。

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 物販、サービス系に次ぐ構成比であるデジタル系分野の内訳が図表4-22です。こちらも、音楽系、動画系のサブスクが急速に普及していることもあり、成長著しいカテゴリが多いです。

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 ここまではB2Cがメインでしたが、オークション、フリマ、ハンドメイドを始めとしたCtoC市場も9.5%成長と伸びています。ヤフオク、メルカリ、ラクマで1.6兆円程度あると言われているので寡占市場ですね。物販系BtoC-EC市場が10兆円と言うことを考えると、17%程度の市場がリユース市場になっていることとなりそうです。

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 以下、国内のECサイトのGMVランキングとなっております。これを見ても、インターネットサービスは寡占化しやすいことが改めてわかります。


番外編~全般

  番外編として、印象に残った図表について簡単にご紹介!

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 中国は輸入のほうが、輸出より圧倒的に多い!wishや、アリエクスプレスのような、中国の安価製品が世界中の激安コマースのトレンドの発信源だと思っていたので、from中国to世界が少ないのは意外だった。

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サプライチェーンの可視化がわかりやすい。世界中で卸/仕入れのデジタル化が普及しているなどのトレントもあるので、上図の俯瞰図でまだデジタル化されていない領域を探しに行くのは起業アイデア探しでは面白そう!

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日本のEC化率が低い要因が店舗網の充実にあるのではという仮説のデータ。確かに、小売1店鋪あたりの人口という観点で見ると日本は小売の集約度合いが高いのだ!国土の広さ、店鋪の大きさ等の話はあるが、面白い。

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 インターネット予約をEC化率とよぶなら、美容室領域は46%のEC化率とかなり高い。個人的には、リクルート系に次ぐ、この領域のプラットフォーマーの誕生に期待したい。

番外編~中国

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 中国のEC市場が250兆円程度(日本は物販で10兆円)とバカでかい。EC化率も40%程度(日本は7%程度)とすごい。しかも今後も伸び続ける見込み。

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アリババが55%のシェアと圧倒的な寡占市場。爆発的な成長をしているpinduoduoしてまだシェア7%なのか、という印象。

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インフルエンサーコマースは他ブログ「ソーシャルコマース5分類」で取り上げた日本でも注目の領域。食品が最大カテゴリというのは以外な印象。単純に購買頻度の観点でこうなっているのかな、という考察。

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中国におけるCtoC市場のフェーズ分析の図。第1フェーズ(デジタル化)第2フェーズ(デジタル化加速)、第3フェーズ(モバイル化)、第4フェーズ(オンライン→オフラインへの浸透)となっている。中国では、米国と異なりオンラインが発展→オフライン進出となっている。

番外編~アメリカ

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米国のEC市場は60兆円程度、EC化率で11%程度と中国に比べて両数値とも伸びしろがありそう。成長率も10%前後を見込みまだまだ成長市場。

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米国のカテゴリー別EC市場であるが、日本とほぼ同じEC化率のカテゴリ別の傾向。日米での商材ごとのEC化率の差分、その背景を分析することで、新しいアイデアが浮かびそう。

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米国のECのプレイヤー順位。amazonの一強であることは鮮明。スタートアップ的企業でいうと、ebay、wayfairのみど他は大手小売のECチャネルが強いという印象。

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ECで注文して、店舗で受取というクリック・アンド・コレクトという形態が急成長している模様。規模も5兆円程度とそれなりに大きい。オンオフ横断での買い物体験を掲げる我々ヤフーとしてもウォッチしたい動向。

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米国でもソーシャルコマース(SNS経由のEC売上)がトレンドになっている模様。検索/web→SNS/アプリにタッチポイントが変化するマクロトレンドに根ざした世界的な潮流。

番外編~インド

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出典:Statista

日本の10倍の人口を誇るインドは現段階では日本の半分程度のEC市場規模の約5兆円。今後急成長する見込みになっているようで、非常に楽しみな市場

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出典:S&P Global

FlipkartとAmazonの2強状態。GAFAもBATもインドには積極投資をしており、非常に面白い。

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出典:ジェトロ

電子機器と、アパレルの構成比が極端に高い。日本だと、電子機器、アパレル共に18%の構成比なので、インドにおいてもこの2つの商材以外のEC化が今後どんどん進んでいきそう

最後に

 改めて本レポートは短時間でEC市場を俯瞰するのには役立つと思いました。YJキャピタルでもEC領域に積極的に出資しておりますので、EC領域で企業中/検討中の方はお気軽に大久保までご連絡ください。ツイッターはこちら。

おまけ

 こんなブログも書いているので、よろしければ!







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