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【ジャングル・ブック2 感想】
『ジャングル・ブック2』を観た。
前作を観た時は「この終わり方に続き物が必要なのか…?」と疑問だったが、いざ観てみると良作だと感じたので語ってみたい。
モーグリは社会性を手に入れた!
1→2になった最大の変化は、やはりモーグリの成長だ。
人間の村で多くの人と接してきた彼は、「社会性」を手に入れた。
モーグリは女の子(シャンティ)に悪戯を仕掛けたり、音楽で子供達をノせたりしている。
これは社会性が無ければできないことで、明らかにモーグリは1と比べて成長した。
また、ヴィランズと勝負する物語終盤では、仲間と協力して戦った。
前作ではバルーの助け+偶然によって勝利したモーグリだが、今作では明らかに他者と意思疎通した上で共闘できている。
これもまた、モーグリの社会性を表すシーンといえるだろう。
それでも子供なものは子供のモーグリ
それでもモーグリは子供だ。完全に大人になった訳ではない。
いうなれば、前作までは完全に子供だった。
それに対し今作は、子供から大人になるまでの葛藤を描いた物語だ。
モーグリはシャンティと喧嘩した後、なんやかんやでジャングルに帰ってしまう。
そこでバルーと再会するのだが、モーグリは会って早々バルーにジャングルに戻りたかった想いをぶちまける。
「人間の村は規律ばかり」「人間はジャングルを怖がっている」「ずっとジャングルにいたい」などなど。
しかし、いざシャンティや村のみんなを見ると途端に村へ帰りたい気持ちが顔を出す。
もちろんそんな事は言えない。言ったら「ジャングルにいたい」という話が嘘になるし、そもそも自分の気持ちを上手く言語化することもできない。
この「一時の感情でポジションを取ってしまったがゆえに、後々立場を悪くする」というのは、子供にありがちなミスだろう。
そして様々な苦難や問題を乗り越えて迎えたラストシーン。
いざシャンティと村に帰れる機会が訪れても、モーグリはシャンティについて行こうとはしない。
その場に留まり、バルーの顔を見るばかりだ。
そんな彼に、バルーは優しく話しかける。
「ああ、分かってるさ。…行け、モーグリ」
自らの行動を他者に委ねるしかないモーグリ。
モーグリの意を汲んで、彼の望む言葉を投げかけるバルー。
子供に優しく接する保護者といった構図で、『ジャングル・ブック2』一番の名シーンといえるだろう。
ディズニーの成長もまた感じる
1から2まで38年もの歳月が経っているだけあって、映像は比べるまでもなく綺麗だ。
だが、ディズニー特有のキャッチーな音楽、動物たちが織りなすミュージカルなど、変わらないディズニーのDNAも感じさせる。
OVAシリーズはナメちゃいけないな…と改めて思った作品だった。