電車の中のおばあちゃんと赤ちゃんのママ

電車に乗っていたときの話。赤ちゃんを前抱っこした若いママさんが乗ってきた。向いの席に座っていたおばあちゃんが和らい表情でママさんと赤ちゃんを見ていた。すると、「あらあら、足を出して。寒いんじゃあないの。これを使って。」と言って、おばあちゃんは自分のバッグからタオル地のハンカチを取り出してママさんに差し出した。「ごめんなさいね。1つしか持ってなくて。これで足をくるんであげて。」と言った。ママさんは、「ご親切にありがとうございます。でも、この子は天然カイロなので、あったかいので。」と言って、丁寧にお断りをした。まだ若いママさんなのに、相手の気持ちをちゃんと引き取ったうえで断っていたのに私は密かに感心した。そして、「この子、汗をかいているのではだしのほうが体の熱を出すことが出来るんです。」とママさんが言うと、おばあちゃんは、「ほんと、汗をかいてるわね。ごめんなさいね。余計なことを言って。」とタオルを引っ込めた。またまた、ママさんは「いいえ、ご親切に言っていただいて、ありがとうございます。」とお礼を言って、「ねえ、うれしいね。」と赤ちゃんにいうと、おばあちゃんは二人を見ながら顔がにんまりとなっていた。

おばあちゃんのママさんへの声の掛け方はまるで本当の孫娘にかけているようで温かさがにじみ出ていた。

そうこうしていると、電車が駅について、ママさんは席を立った。そして、もう一度おばあちゃんに「ご親切に声をかけていただいてありがとうございまし。」と言って、ドアの方に向かって行った。
二人の優しい会話を聞いていて、こちらの心が温かくなってきた。いい場面に出会えて今日は得をした気分になった。


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