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#12 フィリピンの山奥にヨーロッパ

あんなに慌ただしかった移動日といったらありません。

その時僕は、前の町から早朝発の乗り合いバンで6時間かけてやってきたフィリピンのバギオという街で立ち往生していました。

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目的としてはさらにここから6時間バスを走らせた先にあるビガンという町に行く予定で、即移動したとしても夜到着になってしまうので、すぐにでもバスターミナルに行きたかったのです。


行きたかったんですが、金が無いのです。

いや正確に言うと日本円は沢山あったのですが、フィリピンペソがほとんど無くなっていたのです。

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◇◇◇

両替難民

バギオ自体は結構大きい街なので、さっさとATMか銀行で両替していこうと思っていた僕が甘かった。高校生のカップルくらい甘かった。

目につくATMはすべて海外ATM対応しておらず、街の銀行は長蛇の列を並んだ果てに一切日本円を受け付けてくれないか、年末時期でそもそも閉まっているかでした。

嗚呼…… Mr.Fuckzawa……
今俺はこんなに金持ちなのに金が無い。

貴方は日本では誰もが平伏す絶大なる存在ですが、今このバギオではただのオッサンの絵が描いてある紙以外に外ならない。使えなければ価値はない、貨幣価値経済の本質がここにある。

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しかしここが首都マニラならまだしも、上の地図にもあるように、なけなしの金でここからさらに山奥のビガンまで行ってしまって両替できなかった時はジ・エンドです。帰ってこれません。とにかくこのバギオで両替をしないと。

街ゆく人に両替できる場所はないか聞き、銀行の場所を教えられては、日本円は無理だと言われ、僕の隠れマゾ気質が目覚めかけていた時、「SMモールで両替できるよ!」と教えてもらいました。

SMだと??
まさに今の僕にふさわしい名前のモール。

もうこれがダメなら諦めてフィリピンのホームレスになろう…… そう思い、バックパックを背負い76セッションロードという坂道を延々とひーひー言いながら坂の上にあるSMモールに向かいました。

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(Googleストリートビューで見ることが出来ました。この時は死にかけていて写真を撮る余裕がなかった笑)

バギオは、日本でいえば軽井沢のような避暑地なのですが、今バギオで一番汗だくな自信があります。

◇◇◇

からがらバス移動

SMモールの1階には、対面の両替カウンターがあり、「JPY」の文字を見た時に泣きそうになりました。突如光り輝く福澤先生の価値が復権し、僕は一気に金持ちバックパッカーに変貌しました。

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しかし、安心している暇はありません。

地球の歩き方に載っている、Partas社のビガン行き長距離バスの最終便の時間が刻刻と迫っていたのです。バックパックを背負いまたぜえぜえ言いながらターミナルまで走ります。

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多くの人でごった返すバスターミナルに必死の形相で走り込み、出発ジャストの時間に滑り込み、Partas社のチケットカウンターの場所を聞き、急ぎ向かって、「ビ、ビガン行きのチケットをください!」

良かった……!
ギリギリ間に合「行っちゃったよ」

わなかったーーー!!
行っちゃってたーー!!

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何でだよ。
いつもなら何時間だってアジアのバスは遅れるじゃないか。何で今日だけオンタイムだよ。

困りました。
金がいくらあっても最終便のバスに乗るための時間は買えません。


ん?

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え?
気のせいか??

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あった!!

via VIGAN 書いてある!!!

ビガン経由便ならまだあるということか!!

CATHY trans社!ありがとう!!!


なんとかバスに乗ることが出来ましたが、そこからさらに6時間。長い旅路です。

23時半になんとか目的地ビガンに到着したのですが、ターミナル横の閉店直前の食堂で唯一残っていたビーフンを食べました。

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そのすっかり冷えて固くなっていたビーフンは、朝から何も食べていなかったこともあり非常に美味しく僕の身体に染み渡りました。そして食べたそばから腹を壊し、命からがら宿に向かったのでした。

◇◇◇

ビガン歴史地区

そんなこんなの苦行のような旅路の果てに辿り着いたものでしたので、とにかくゆっくりしたろう……と考えていたビガンですが、フィリピンのルソン島の山奥くんだりにこんな素敵な街があったとは。

スペイン統治時代の面影を今も色濃く残す歴史都市。ここは本当にあのフィリピンですかと問いかけたくなるようなところでした。

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予想外すぎる、こんな心落ち着く場所だとは。

海沿いにありますので、スペイン統治時代から貿易で栄えた町なんだそうですね。太平洋戦争下でも戦禍を免れて、今もこのような歴史的なコロニアル様式の街並みが残っています。

世界遺産にも登録されていますので、経済効果からか観光地としてしっかり整備されている印象です。

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観光客用の馬車まで走ってるし、フィリピンの島の山奥くんだりにこんなヨーロッパみたいな場所があるとは……!

そんなビガン歴史地区。
多くの人にとっては、セブ島以外に印象のないフィリピンかもしれませんが、首都マニラからならバスでなんとたったの10時間。

いかがでしょうか??(誰も行かない)

◇◇◇

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日本人にとってフィリピンって、セブ島以外の印象ってあんまり無いよねって話。



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東京オカザキッチン|飯と旅
感謝の極みです。どうもありがとうございます。