#19 時代にあわせて旅をする
僕は普段はサラリーマンをしている身ですが、独身なこともあり、長期の休み、ゴールデンウィークや夏季休暇は、大体ひとり旅で海外のどこかを放浪しています。
ですが、コロナ禍であるこの1年と半年、海外旅行なんてとても出来ませんし、国内旅行だってちょっと憚られるような状態ですよね。
というわけで、僕が最近やってみているのが、
車中泊ひとり旅
です。
車にバックパックと寝袋とマットを積んで、道の駅なんかの24時間開放されている駐車場でひと晩過ごし、温泉入って現地の野菜なんかを買って帰ってくるという笑。
友人たちには、「ノマドランドの先駆者」「ついにいくところまでいってしまった」と嘲笑されたり心配されたりしているんですが、旅はできるし、ステイホームならぬステイカー状態だし、ほぼ誰とも接しないし、ほぼ誰とも喋らないし、独りだし泣、まさにコロナ禍が生んだ旅スタイルだと思っています。
とはいえ、もともと車中泊旅を好む人はそれなりにいたと思いますし、いざやってみると道の駅などではキャンピングカーもよく見かけます。そういう新しい世界を垣間見ている状態なのです。
で、これ、やってみると案外悪くないんですよ。
特に、駐車場に車を停め、後部座席をフラットに倒し寝袋を用意し、ビールをプシュッといくときの、秘密基地感とでもいいましょうか。
子供の頃、押し入れに布団と漫画と電気を引っ張り入れた時のあのワクワク感、誰しもがあったのではないかと思います。
ここは大人の秘密基地や……!!
そして何もかもが気軽なんです。
旅というものは、自分の足で切り拓いてなんぼ、と思っている僕でも、実はこの気軽な車中泊は結構悪くない。
今は、当日ふと思い立って家の近くの駐車場からシェアリングカーを借りれる時代です。なので、明日行こうかなというようなノリでサッと出来てしまうので、週末の趣味がひとつ増えた感じがします(もちろん独身だから出来るというのはおおいにあります)。
コロナ禍にならなければ、こんな旅の仕方、絶対していないでしょう。こんな時代になってしまったからこそできる新しい体験というものを積極的に享受するべきだと思う典型例だと思いました。
このコロナ禍では、バーチャル旅行なんてものも出てきました。
いやいや、何言うてまんねん旅行は現地に行ってナンボやろ、と言うかもしれません。僕も、断然現地を歩いて回る派の人間です。ですが、リアルでナンボというものが、良い部分悪い部分ひっくるめてZOOMなどに代表されるオンラインコミュニケーションにリプレイスする場面なんてここ1,2年で腐るほど見てきましたよね。
「営業の打ち合わせ」なんてものは最たる例だと思います。
「飲み会」これもそうですよね。
それから「オンラインでのショッピング」。
あとは「音楽ライブ」。これも、もちろん現地の方がいいのは間違いないのですが、オンラインで開催することで、さらなる多くの参加者を生むことができているのも確かです。
「旅行」というジャンルにも確実にこの波が来ています。JALやANAでも現地での模擬体験を行うオンラインツアーを催行していますよね。
参加者は自宅からPCやタブレットの画面を通して、搭乗から始まり、現地の風景の動画を見たり、ガイドの説明を受けるようなものが今後もっとメジャーなものになっていくのでしょう。
「旅の試着」とはよく言ったものです。
もっとミニマムな面白い例では、香川県の琴平バスさんのオンラインバスツアーをご存知でしょうか??
出発にあわせて車に座っているであろう時間はシートベルト着用の上で基本的にずっと座っていてもらい、実際に休憩時間なども用意している…… という。時間もオンタイムというオンラインツアーです。
事前に旅のしおりや料理が送られてくるのはわかるのですが、「段ボールで作られたシートベルト」も送られてくるらしく笑、そのゆるさもまた面白いですよね。
今は導入期ですが、今後2~3年後に訪れるであろう5G全盛期には、これまでとは比べ物にならないレベルで誰もが超低遅延・大量通信を行う時代になります。
遠隔地で行われているイベント配信や、現地の動画、現地コンダクターの説明といったものを双方向に、多面的な映像で何不自由なく高クオリティで視聴できるようになるでしょうし、思いもよらない発想のサービスが出てくるかもしれません。
上に書いたように、旅行というものも、「実際行った方がいいに決まってる」ものだと思います。
ですが、このコロナ禍を通して、「本来BESTであろう体験」と「家で気楽に享受できるBETTERな体験」を天秤にかけるという方法を僕たちは学んでしまいました。
また、例えば高齢者や障碍者といった、行きたくてもハードルが高い方にとってのニーズも強く掬うことができると思います。
そんな時代や状況に合わせた新しい旅行スタイルというものが、オンライン、オフライン問わず出てきている変化の時代なのだなというのを、旅行好きな僕も感じている次第です。