未だに怒りを思い出すギャラリーの話
まえがき
怒りの感情は丁寧に扱いたい。
そう常々思っているが、数年前のとある出来事に対して怒りが収まらない。
この記事は、誰かにこれを理解してもらいたい、この感情に共感してもらいたい、と思って執筆したものではない。読んでいただいた方に、不快な感情をあたえる可能性があるかもしれない。
しかし、放っておけば収まると思っていた怒りがなかなか処理できないので、不特定多数の目に触れるインターネットの海に放り出せば、少しは折り合いがつくと思ったのだ。今回の記事は、いわゆる備忘録である。
インターネットはとかく扱いが難しい。特に、意見が分かれやすい事柄に関して。
できる限り丁寧に、実際にあった出来事、考えたことを綴ろうと思いますが、不快な方は途中でブラウザバックしてください。
正論を武器にして振りかざす人たちが、深く記憶から抜けない
「今日は展示の最終日で混んでいるので、同じことをすると別の作家さんもきっと嫌がります」
「次からギャラリーに用があるときは、空いている時に来てください」
当時私は、近所のギャラリーに絵を展示してもらえないかを交渉しに行った。
学生の時の展示を除くと、誰も知り合いのいない場所でそのような行動をとることは初めてだった。
事前にオーナーさんに連絡をとり、「開いている時にいつでも来てください」とのことだったので、その言葉を鵜呑みにして足を運んだら、展示をしていた作家に『マナー』を伝えられた。
死ぬほど緊張しながらオーナーさんと話した直後だったので、あまりにもショックだった。
ああ、これから繋がろうとしている界隈の人に嫌われてしまったと、ひどく落胆した。
だが、日数が経てば経つほど、「ギャラリーのマナーってなんなんだ?」と考えるようになった。
どこでそんなものを教わるんだ?どこにそんな事項が書いてあったんだ?と、インターネットを徘徊してもよく分からなかった。
あいさつをする、作品に触れない、飲食をしない、大声を出さない、撮影の可否を確認する。鑑賞者側のマナーは思いつくが、同業者は?
「あー、作家は作家に嫌われながらギャラリー展示権を得るものなのか…」
そう思いもしたが、「それじゃあ、ギャラリー界隈ってめっちゃ新規参入しにくいやん」
と思ってしまった。
それから、同じギャラリーの空いている日に何度か足を運んだが、作家も在廊している手前、何も買わずに出ていくことが怖くて無理に作品を買ってしまった。それが辛く、そのギャラリーには二度と足を運ばなくなった。
どんな界隈でもそうだが、新規参入のしにくい界隈は、新陳代謝が進まない。そういった界隈の行く末は、まあ考えなくてもわかる。
あの時の作家の言い分も、正しいといえば正しい。
だが、その正しさは置いておいて、私が一人の鑑賞者として認識されなかったことに激しく怒りを覚えた。
過去に、Xで「クリエイターEXPOで、クリエイター志望の相手をしたくない」と言っていた方が居た。(URLは伏せます)
クリエイターEXPOはビジネス色が濃いので、クライアント以外の相手を手短に済ませたい気持ちは分かる。
作家は作品鑑賞も好きな方がほとんどだと思う。
作家は、他の作家の作品をたくさん見ることで成熟すると言っても過言ではない、というのが持論だ。
展示には、膨大な時間とお金がかかる。
それは、作家の端くれである私にも痛いほど分かる。
だが、同業者を邪険に扱う界隈に、未来はないと思う。
同業者は、倒して外に放り出すものではない筈だ。
もちろん、「弟子にしてください!」とか、「教えてください!」とか、そういうことではない。
同業者も鑑賞者であり、クライアントや購入者になる可能性があり、印象が良ければ知り合いのクライアントに紹介をする可能性があるということを言いたい。
まとめ
「絵をパクっている!」と、炎上した絵描きはごまんといるが、絵はそもそも0から1で生み出すことは不可能なのだ。たくさんの作品を鑑賞し、インプットを自分なりに糸のように紡いで、織り上げ、世に出すことが基本中の基本である。他の作家から全く影響を受けずに大成した絵描きは居ない。
そのような積み重ねに、他人が石を投げて壊すことはあまりにも無知で、無礼である。
「これはやりすぎ」というパターンもあるかもしれないが、それを不特定多数の前で指摘する行為は、本当に見ていられない。大勢の社員の前で怒鳴り散らすパワハラ行為となにも変わりない。
このような記事を書いたからには、私も今一度、襟を正そうと思う。
せめて私はこれから同業者と共に、界隈の成長を目指す絵描きでありたいと心から思う。
<おまけ>
コミティアにも参加しましたが、コミティアはすごく楽しかったです。新規参入にも優しい土壌ができていて、運営さんや参加者さんがとても素晴らしいです。
これからはギャラリーじゃなくてコミティアにしよう…と思ったのが私の感想でした。
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