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気もそぞろな「ロスタイム」

こんにちは!水曜日担当のカンノです!

今日は「ロスタイム」について、少し長くなるのですが、お付き合いください。
すでにヒルタさんが、この「ロスタイムのコーナーキック」という名前に込められた意味を書いてくれているのですが、そこにサッカーファンとして肌で感じるものを加えていきます。


2020年も早いもので、もう年の瀬を感させます。

この「年の瀬」という言葉、年末に慌ただしく過ごすことを指して使用されます。
語源は、むかしの日本の商習慣にあるようです。江戸時代などは、商品代金を後払いにする掛け代金を、年末に支払ったり、回収したりすることが多く忙しかったのです。その慌ただしい様子と年の流れを、河川の浅く流れのはやい部分である「瀬」でなぞり、例えることで表しています。


サッカーの試合にも、流れがはやく、帳尻をあわせるようにあわただしく、観客は心もちをそぞろにする時間があります。それが「ロスタイム」です。

ロスタイムとはどんなものか。
サッカーの試合は前半45分と後半45分、あわせて90分です。その90分の中でプレー以外で使われた時間、例えばボールがピッチ外に出ている時間・怪我人の治療のために使った時間など、を合計したものがロスタイムです。90分が終わったときに、その時間をロスタイムとして、「90+ロスタイム(分)」として足すのです。

スコアが拮抗している試合のロスタイムには、得点をめぐる攻防が、それまでの時間と比べて激しく、感情を揺さぶるものになります。
勝っているチームは守り切るために、ポジションを捨てて自陣まで戻り、ボールに食らいつき、身体を投げ出す。
負けているチームは追いつき、勝ち越すために、たくさんの選手がゴールまえになだれ込み、そこに向けてボールを送り込む。
とくに、コーナーキックは、そんなロスタイムの攻防の象徴です。それまでのポジションや役割毎の分担はなくなり、選手と、スタッフと、ファンと、スタジアム全体がひとつになります。

ぼくたち、サッカーファンがそんなときに感じるのは、勝ち負けに対する切実さとともに、「なにか起きるんじゃないか」という期待感です。あるいは、期待というほどの確からしさもないかもしれない、ざわつきです。


(英語版ショートドキュメンタリーもあるので興味があればぜひ見てみてください:https://youtu.be/458CiSLm1vc


この試合は、サッカー選手なら誰もが優勝を夢見るヨーロッパ最高峰の大会の決勝戦です。ほとんどの時間帯で、負けている赤のチームは必死に攻め続けます。
そんな試合で、ロスタイムで、負けが勝ちにひっくりかえります。
サッカーファンは、なによりも「なにかが起きる」物語に魅了されているのです。

「後半ロスタイムのコーナーキック」という名前にも、これから岡崎市ではじまるかもしれない物語への期待が込められています。

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「ロスタイム」という言葉には、どこかもの哀しさがあるよう思えます。
それはたぶん、「ロス」という言葉の感覚である語感のせいだけではなく、「ロスタイム」という言葉がいまは使われていないから、かもしれません。

日本サッカー協会の競技規則では、ロスタイムは使用されておらず、「アディショナルタイム」という言葉が代わりに使用されています。実況中継などでも、「アディショナルタイム」が使用されます。海外では、「インジュリータイム」などが一般的です。

ロスタイムという言葉は、いわば公式の場では使われず、知っている人が徐々に少なくなっていく、消えゆく言葉なのです。
「後半ロスタイムのコーナーキック」という言葉が、このページの名前案として出たとき、ぼくは「終わりに向かうこと」と「なにかが起きること」が隣り合っている、この響きに心地よさを感じました。
それは、その名前とスタジアムにいる感覚と重ねていたのかもしれません。

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今週はこれまでです。
読んでいただき、ありがとうございました!
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それでは、また土曜日のヒルタさんの投稿でお会いしましょう!!

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