見出し画像

MFA取得までの道 #4-1 デザイン思考(概要)

皆様、ご機嫌いかがでしょうか?京都芸術大学大学院 学祭デザインコース(IDS)に入学して半年が経ちました。あっという間に秋です🍂今年は例年になく暑い秋ですよね。気候変動を痛感します。
さて、秋期になってオンライン会議が解禁になりました😆!!今まで、テキストベースでのやり取りがメインでしたが、実際に顔を見て話すのはいいですね。課題は大変ですが・・・

今は『リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著:LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略(東洋経済新報社)』の輪読をして、それに基づきデザイン思考を用いて100年時代の社会デザインの提案をするという課題に取り組んでいます。

前々から、デザイン思考、デザイン思考と言っていましたが正直漠然とした理解しかありませんでした😅一人前のデザイン思考家になるため、自分なりにデザイン思考のプロセスと実践方法についてまとめてみました。



今回参考にした本

大学院での講義も振り返っていきますが、それ以外にも数冊本を読んでそれらも参考にしました。正直、講義だけではうまく噛み砕けませんでした😭ここが大学と大学院の大きな違いで、なんでも教えてくれるのではなく自分で学びにいく姿勢が大事なんでしょうね。

自分が読んだ(Audibleで聴いた)順番に記載していこうと思います。

『早川克美 著:私たちのデザイン1 デザインへのまなざしー豊に生きるための思考術(芸術学舎)』
京都芸術大学学祭デザイン領域の教授である早川先生が書かれた本です。自分はこの本をデザイン思考の基盤にしています。デザイナーへのインタビューでは各々の「デザイン」に関する考えが紹介されています。デザインの捉え方が1人1人違うのですが、一貫していうるのは当たり前を根本から見直す視点です。デザインについての実践的なことが書かれていて面白い!また、デザイン思考のプロセスを円環図で表現しているのはかなり良かったです。

『石川俊祐 著:HELLOW ,DESIN 日本人とデザイン(幻冬社)』
Audibleで聴いたので内容の詳細は書くことができません😅比較的初学者にもわかりやすくデザイン思考について説明してくれていました。IDEOでの著者の取り組みの紹介やデザイン思考をIDEOが発信したことやスタンフォード大学 d-schoolでのことが述べられていました。

『松本勝 著:デザイン思考2.0 人生と仕事を変える「発想術」(小学館新書)』
新書であるため比較的読みやすく、Audibleでも配信されていました。デザイン思考のプロセスのうち、問題提起と創造・視覚化に重点を置いて内容が記載されています。「needs」と「wants」の違い、「問い」と「課題」の違いなど実践していく上ではっきりさせないといけない定義の違いを記載してくれている部分は役に立つと思います!

『小田ビンチ(シナリオ・記事)、坂本勲(まんが)、田村大(監修):まんがでわかるデザイン思考(小学館)』
とりあえず初学者はこの本から入るとわかりやすい!!勉強してから購入しましたが、まんがで視覚的に記載されているので内容もすーっと入ってきます。少しですが理論や実践などについても触れられています。これだけでは不十分ですが、1時間以内に全て読めるのでおさらいやデザイン思考の概観を掴むにはgoodです。

『ティム・ブラウン 著:デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方 アップデート版(早川書房)』
デザイン思考を発信したIDEOのCEOである著者が書いた本です。上で紹介した本もこのIDEOの言葉を引用していることが多くあり、おそらくデザイン思考のバイブルとなる本でしょうか?ただ、内容は理論的でやや抽象的な部分もあって理解しにくい部分もあります。IDEOのマインドセットなども記載されているので、デザイン思考を深く学ぶには欠かせない1冊だと思います。(第2章の観察と洞察については観察の章に洞察が、洞察の章に観察が記載されている気がする・・・)

『ジャスパー・ウ 著:実践スタンフォード式デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決(インプレス)」
実際にスタンフォード大学d-schoolで学んだ経験を書式化しています。ツールキットも紹介されているため、何をしたら良いかも具体的に書かれています。ブレストやプロトタイプ評価などは参考になりました。個人的にはツールキットは便利かもしれませんが、その裏の理論を学ぶには少し物足りないかなと。。。

読んではいませんが・・・『奥出直人 著:デザイン思考の道具箱 イノベーションを生む会社の作り方(早川書房)』も参考になるかなと思っています。積読しておきます。。。

前置きが少し長くなりましたが、デザイン思考についてこれから記載していこうと思います。

デザイン思考とは?

そもそもデザインとは?

デザイン思考を論じる前に、そもそもデザインとはなんなのか?を考える必要があります。皆さんはどのように考えていますか?美しく整えられ洗練されたもので、アーティスティックな人が行う活動というイメージがありませんか?
実はデザインとはもっと身近なもので、人間が創ったもの全てがデザインであると言えます。デザインという言葉は名詞で使われていることが多いですが、動詞機能も持ち合わせています。Japnaknowlegeを検索してみると、「構想、計画、設計、意匠などのさまざまな意味を含み、これらの総合として、またいずれかに力点を置いたものとして用いられる。」と記載してあります。
この動詞機能にも着目すると、デザインとは人間が意図を持ってモノやコトを生み出すプロセス全体と言えます。これに”美”という観点も含まれるとなお良いです。いくら意図を持ってデザインされても美しさ(機能美も含む)がないと使いたくないですからね。

デザイン思考とは?

さて、ついにデザイン思考に入ります。
デザイン思考とは、デザイナーが問題解決に対して行なっていたアプローチをビジネスに応用するために理論化したものであると考えます。これはイノベーションを起こすアプローチとして注目されています(が、なかなか普及していない。これについては最後に自分の所感を記載します)。イノベーションとは新結合と表現することができ、今まで組み合わさってこなかったものが組み合わさることで起こります。『デイル・ドーテン 著:仕事は楽しいかね?(きこ書房)』でアイデアを出すための方法論が描かれていますが、「一番匂いのきついもの同士の組み合わせが、一番良い肥料になる」とはこのことなんだ!と思いました。
このデザイン思考では基本的な人間のニーズに重点を置くことが特徴です。それはデザイン思考のプロセスである”共感”が他の思考法にない考え方であることが大きいでしょう。そして、デザイン思考はCan(これはできそうか?)ではなくWill(こうありたい!)で考えます。理想の状態から逆算思考で物事を考えるのも特徴と言えるでしょう。
さらに、デザイン思考はチームで行なっていくと良いと言われています。IDEO(デザイン思考を世に打ち出した会社)では「いかなる個人よりも全員の方が賢い」という理念があったようです。確かにアイデアを出すには多様性が重要で、それこそ新結合(イノベーション)に繋がりますよね。「有能で、楽観的で、協力的なデザイン思考家が集まると、化学変化が起き、予期せぬ作用や反応が生まれる場合がある」と言われています。そう言った面でIDSはデザイン思考家を養成する大学院なので、退院(IDSを卒業することをこう呼びます)した後も繋がっていける関係性を作っていきたいです。

デザイン思考の特徴をまとめると・・・

  • 基本的な人間のニーズを見つけ、そこにアプローチしていく。

  • 理想の状態を考え、そこに向け解決策を創造していく。

  • チームで行うとよりイノベーティブな発想が生まれる。

しかし、注意点もあります。デザイン思考はあくまで”考え方”であって問題を解決する方法ではないということです。問題を解決するためには実際に自分の手と足と頭を使って行動していく必要があります。加えて、デザイン思考のプロセスはなかなか骨が折れるものがありますが、繰り返し練習することでしかできるようになっていきません!!自分もこれは肝に銘じておきます😅

デザイン思考のプロセス


『早川克美 著:私たちのデザイン1 デザインへのまなざし』 より図を一部改変

これらのプロセス1つ1つについては追ってnote記事を書いていきます。一旦全体像だけ、こんなもんなんだとイメージしてもらえればと思います。

  1. 観察・共感・洞察

  2. 問題定義

  3. 創造・視覚化

  4. プロトタイプ

  5. テスト・評価と改良

基本的にこの流れで進んでいきますが、特に4↔︎5は行ったり来たりするのが良さそうです。ある本には全てのプロセスを行ったり来たりすると書いてあるものもありましたが、基本的にはこの流れで進んでいくのが使いやすいのかなと思いました。

IDSでのオリエンテーションで”楽苦しい”2年間と言われ、入院(IDSに入学すること)をしました。デザイン思考も同様のようで、1.観察・共感・洞察の段階は楽観的に楽しく始まるようですが、2.問題提議の部分ではデータ整理やパターン探しが必要になり、テンションが下がります。しかし、そこから4.プロトタイプに向けて、アイデアが形になってくるとこれまでの努力が目に見えるため、テンションは最高潮をむかるようです😆!!
それを知って、デザイン思考を実践していくと挫けることなく頑張れると思いますのでご承知くささい🙇

デザイン思考のプロセスとテンションを組み合わせるとこんな感じの図ですwwwクオリティ低い🙇

調整するべき3つのバランス

最後に、デザイン思考家が求められるバランスの要素を記載しておこうと思います。それは以下の3つの要素です。

  • 技術的実現性:現実または将来に実現可能な技術であるか?

  • 経済的実現性:コスト的に実現・存続可能なモノ・コトであるか?

  • 有用性:人間の欲求を捉えており、ポジティブな感情を生み出すか?

これらのバランスをとりながら、デザイン思考を進めていく必要があります。有能なデザイナーならこれら全ての制約を解決してくようですが・・・
特に重要視すべきは”有用性”で、そもそもデザイン思考は人間の基本的なニーズに重点を置いています。これを中心に残り2つのバランスを鑑みながら思考を進めていく必要があります。ただし、この3つはプロジェクトごとに重みづけが全く違います。そのため、実際にデザイン思考を進めながら個別にバランス取る必要があるので、一概にどんなバランスが良いか定義するのは難しいです。

所感

長々、記載してきました。お付き合いいただいた方はありがとうございました🙇
ここまで述べた上でデザイン思考が実装されにくいのは、紙面の上で終わることではないからだと思います。ロジカルシンキングやシステムシンキングは考え方自体は紙面上で終わり(ぶっきらぼうに言ってごめんなさい。)ますが、デザイン思考は一番最初の段階から手と足と頭を動かす必要があります。また、チームで行うことも強調されていましたがデザイン思考という共通の概念を持ってチームビルディングをするのは難しいんじゃないでしょうか?
と、いうことでデザイン思考を実践したい人はIDSの門を叩いてみることをお勧めします(笑)!!半年間やって結構大変ですが、何よりチームで色々取り組めるのが楽しいですね😆!!自分が出会ったことのないような人と触れ合うことができるので、世界が広がります!!

まとめ

  • デザイナーが問題解決に対して行なっていたアプローチをビジネスに応用するために理論化したものである。

  • デザインとは”美”の観点をもち、人間が意図を持ってモノやコトを生み出すプロセス全体である。

  • デザイン思考は5つのプロセスを経て進んでいく。

  • チームでデザイン思考を行うことが、イノベーションをうむ可能性を高くする。

  • デザイン思考は繰り返し実践することでしか、できるようにはならない。

  • デザイン思考を強く学びたいなら、京都芸術大学大学院学祭デザイン領域にすすむべし。


いいなと思ったら応援しよう!