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未来をボクらの手の中へ

「ベビーカー、担ぎますよ」

声を掛けた先、お母さんは眠る赤子を抱っこし、折りたたんだベビーカーと荷物を両手に。更に眠たそうな幼児を連れ、階段前で途方に暮れていた。

きっと彼女は初めて降りたであろう、私が利用する最寄り駅にはエレベーター・エスカレーターはおろかスロープすら無い。これは由々しき問題だ。

車いすの人、妊婦さん、お年寄り、子連れのお父さん・お母さん、怪我人。
みんなに優しくない造りだなあ、なんて思いながらベビーカーを担ぎ、眠そうな幼児をちやほやしてなんとか歩いて貰った。

その後改札でお礼を言われて「いえいえ~」なんて去ったものの、帰りはどうしたのか気になって仕方なかった覚えがある。

それから3年、駅は何も変わらないままだ。

予算の都合もあるだろうけれど、階段だけの駅を、歩道が無く自転車が散乱する駅前を今後ずっと利用し続けるのは厳しい物がある。

うーん。この町でずっとは暮らせないなあ、とぼんやり考えてしまう。

じゃあ、暮らしたいまちってなんだ?どんなまちなら良いんだろう。
この先暮らしていきたい、理想のまちとは?を想像しながら考えてみた。


1.バリアフリーで歩きやすい


先述の通りバリアフリーは今後必須になっていくと思う。
私も含めどんどん高齢化が進むのだ。
車いすになることも、杖をつくこともあるだろう。

そんな時、駅や施設に階段しかなかったら……。ああ!絶望しかない。
それだけじゃあない。妊婦さんや怪我人、乳幼児連れの人。みんなの絶望顔が浮かんでくる。皆一様に「嘘だろ……」と言っている。

なんとか頑張ればどうにかなるので、人を呼んで助けて貰いにくい。でも階段は辛いなあ。そんな人達が気負いなく利用できる駅や施設。できれば歩きやすい道。

この辺が整備されたまちなら皆嬉しいと思う。


2.車が無くても公共交通で移動できる


移動と言えば車。
家族連れには車が楽ちん。
自分の行きたい場所に行けるし時間も自由。

そんな車ですが、年齢を重ねると運転が辛くなっていく。
実際に、私の周りでは免許の返納をする高齢者が増えた。

「目がよく見えないし、運転に自信がないから」

自分できっちり線引きを出来るのは本当に素敵なこと。が、しかしその後も人生は続くのである。
ちょっとそこまでなら歩いて行けるけれど、以前なら車で行っていた場所はどうしたら良いのか?

それを解決するのが公共交通。高齢者の外出機会は勿論、通勤、通学、買い物などの生活の足になる。子連れでも安心して利用できる公共交通機関。

そんな素敵なものがあったら「そこに移住しようかな」と思うきっかけにもなるだろう。


3.駅前に大きな図書館と本屋さん


私が子供の頃、羨んで仕方なかったものがある。
それは大きな図書館と本屋さんという存在だ。

本が好きな人間に取って、駅前に図書館と本屋があるというのは夢の、最高に幸せな暮らしなのである。
そして気軽に本を読める環境なら、年代を問わず「駅で時間があるし何か読んでみようかな」と足を運ぶだろう。なんて理想的。

図書館で気に入った本を本屋さんで買ったり、本屋で気になった本を図書館で試し読みしてみたり。駅へ本を返しに行くついでに買い物もしようかな、なんてことにもなり経済も回る。良い循環。

本を読むのは人生の潤いであり、学び続けることができるということ。若々しい感性を保つには必要不可欠なものだと思うのだ。
いくつになっても頭は柔らかくしておきたいし、皆そうなれば元気なまちにもつながっていく。

良い事づくめなので是非そんなまちに住みたい。


4.元気な商店街とお茶が飲める場所


人は誰かとお喋りしたい生き物だ。
挨拶されて嫌な顔をする人はまずいない。
地元の商店街が元気だったら?
なんということでしょう。たくさんの人と接することができるではないですか。
さよなら『今日誰とも喋ってない……』日々よ。

さあ商店街が元気だとどうなるか?まず歩くだけで楽しい。
活気がある場所は人を惹きつける。地元民だけでなく、観光客も立ち寄って更に活性化する。わいわい、がやがや。私が子供だったらこんなところで育ちたい。

野菜はあの店か、この店。精肉店はここがお気に入り。魚はこの時間ならこっちの店、なんて感じで馴染みの店が増えるのもきっと楽しい。

更にさらに。商店街の中に様々な世代の人が気軽に、気楽に使えるカフェがいくつもあったら。賑やかめなお店、静かめなお店、小さいお店、大きいお店……といくつか選択肢があればどうだろうか。

駅前で借りた、買った本をゆっくり読みながらお茶するのも良し。子供を連れてご飯を食べるのも良し、学生が学校帰りにお喋りするのも良し。

そのお店で地元の食材を使った料理を提供すれば、観光客も立ち寄るはず。
「地元のならでは、な物が食べたい」と旅先でいつも思う私が言うんだから間違いない。


5.みんなが集まる自然豊かな公園


人は自然を求める生き物。だと思っている。
だからこそ緑豊かな場所で自然光を浴びると気持ちが良いし、伸びの一つもしたくなるのだ。おまけに深呼吸もするだろう。

まちの中に、大きくて、自然が多くて、歩きやすい公園があったらどんなに良いだろう。
ランニングもウォーキングも日向ぼっこもピクニックも出来る。
みんな好き好きに自分の時間を過ごし、ゆったり出来る大きな公園。

きっとそこには老若男女問わず様々な人が集まり、自然を満喫しては

「気持ちいい!ここに住んでて良かった!」

とニコニコ笑顔になることだろう。

月に何度かはサンドイッチフェスとか朝ごはんフェスとかカレーフェス……フリーマーケットみたいな催しものがあったら尚良いな。


以上、5個。
暮らしたい未来のまちについて考えてみたわけですが、もう一つ注文があるとすれば。

魚の美味しいところがいいなあ、と思うのでした。




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よしきち
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