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ムダ毛との20年戦争~毛狩りの歴史~

はじめに

物心が付いた時にはムダ毛に皮膚を不法占拠されていたタイプの人間、
よしきちです。

タイトルを見た時、貴方はこんな風に思ったのではないでしょうか? 

『ムダ毛ぇ?そんなの大抵の女性なら戦ってますことよ?』

 

『いやいや、戦争は言い過ぎではないのかね?』

 

そんな風に思うのも無理はありません。 

でもそのムダ毛の濃さが成人男性並みだったら……? 
 その毛が腕、足、脇どころではなく全身にそれが及んでいたら? 

ぜん‐しん【全身】 
からだ全体。からだ中。総身 (そうみ) 。「―泥まみれ」「―の力をこめる」

goo辞書

  

毛が太過ぎて剃刀では太刀打ち出来ない状況だったら?

無慈悲

 

皆さんの息を呑む音が聞こえましたので、
私の戦いの歴史をご紹介していきます。 

戦いの夜明け~毛狩りのはじまりとピンセット~


空しい闘いの歴史。その始まり1990年代まで遡る。

199X年。
当時小学生のよしきちであったが、この時点で黒き悪魔【ムダ毛】はすぐ傍まで忍び寄ってきていた。 

成長期とともに、既に手足が蝕まれていたのである。 

小学生と言うのは、手足を衣服から出す生き物である。
手足が出る、即ち毛が見える。 


だがしかし。田舎の小学生だったよしきち
太陽が出ている間は全て活動時間とばかりに外で過ごしていたのだ。

 

大体原始人と同じ感じと言えば解りやすいだろう。 

 

田舎の小学生

 

外に居続けた為に、夏の間に2度脱皮できるくらい真っ黒だった。
そして日に焼けるとムダ毛は金色に輝き、薄く見える。

ムダ毛との本格的な戦いが始まる前の、比較的平穏な時代である。

 

事態が動いたのは中学入学後。
空前の美白ブームが訪れた。  

 

火傷レベルの日焼け事件の後当時の友人達と
『イカより白く』のスローガンの下、美白倶楽部を結成。


イカって思ったより白くないですよね

日焼けを捨て、美白を取った。
その結果どうなったか。

――今までさほど気にならなかった毛が、
一気に自己主張を始めた。
その毛は、異様に濃かった。


なんということでしょう。そしてなんでしょうこれは。
女子中学生には重荷過ぎる黒き衣
どうしたらいいんでしょう。
しかし、2000年問題で騒いでいたあの時代。
相談すべきグーグル先生もいやしない。

リア友に相談するのも恥ずかしい。
相談したところで多分誰も解決できない。 


悩めるJCである私のムダ毛軍はただ徒らに兵の数が多いだけでなく

逞しきその姿(黒い!)
強靭な体(太い!)
成長性A(早い!)

を兼ね備えた、何処に出しても見劣りしない一流の兵士たち。

いらすとやさんのイラストでは
毛量が足らなかったので足した


剃刀で剃ってツルツルにしても、次の日にはブツブツと黒い塊が出来る最悪の狂人集団。
そのため一匹一匹、必死こいて毛抜きでムダ毛を抜いていた。

手で、毛抜きで大草原を除草する。果てしないこの労力。
何故女子中学生の私がこんな苦労を?
他の皆はせいぜい剃刀で剃るくらいでハッピーに生きてるじゃないか。
受験勉強が嫌過ぎてルービックキューブを弄繰り回していたのも毛のせいだ。

中学校を卒業し、全く良い思い出の無い高専入学後も毛抜き人生は続いた。 


年下のギャルに勧められるままに除毛クリームを試してみるも、やはり下馬評は覆せず。
クリームみたいな生易しいものは毛軍の圧倒的なパワーの前には可愛いひよこちゃんみたいなもの。
溶かした毛は、音を置き去りにするレベルの速さで蘇ってきた。そして、肌荒れだけが残った。


仕方なく、また手で一本ずつ毛を抜く。
私には僅かな休息も許されないと言うのか。
毛、頼むから永遠に眠ってくれ。

結局20歳になるまで毛を抜くことに翻弄され、前述の通り黒い青春を送った。

大人なのでお金を使って脱毛してみよう!~脱毛器、レーザー脱毛編~ 


20歳。 

社会人になり、毎日会社に行って働くだけで結構安定した収入が毎月振り込まれるようになった。
高専時代、留学生でクラスメイトのタイ人から「金の話やめろ!」と怒られた学生時代とは雲泥の差。

その後は社会人人生と共に収入に合わせてさまざまな脱毛方法を試すこととなる。

まずは稲の収穫かな?レベルでバリバリバリと音を立てながら毛を引っこ抜く脱毛器を買った。


これはもう物理的に引っこ抜く。原始的手法で、毛を巻き込むように掴んで毟り取るやつ。
完全に田んぼで見るあれをモデルにしてるやつ。

これの小型軽量版



原始的なだけあって、痛い。シンプルな暴力。
こいつを使って脇の毛を引っこ抜くとどうなるか。 


一般的な女性であれば聞いたことのない低音で呻くだろう
男性ならば、ありもしない罪状を認めてしまうに違いない。それくらい痛みを伴うこの脱毛器。 


ところがどっこい。長年毛を毟ってきた私にとっては輪ゴムが軽く当たった程度にしか感じぬ。掛かってこい!

暗い部屋で1人、テレビは点けたまま、1本1本ムダ毛を抜いていた頃。
あの頃から考えればこのバリバリ音も軽やかな文明開花の音である。 


むしろ愉快になってきた。
さあ収穫の時間だ!得る物なんて何もないけど! 


そんな脱毛器ライフを送りつつも、新たにレーザー脱毛にも手を出した。
当時の値段はそこそこ高額だっため、2箇所に絞り脇と膝下を焼き払う。 



往復2時間。
まじめに通い続け、年季が開けた時、以前に比べ確実に毛は減った。
手ごたえを感じた時には「YES!YES!YES!」と両拳を突上げた。 

でもそれも束の間のこと。

奴らは何度でも蘇ってきた。 


先述した通り、以前よりも毛が減った膝下と脇だが、居なくなったわけではなかった。

毛軍の中でもエリートが集まるこの2箇所の底力。
時間が経つに連れ、ニョキニョキと黒き悪魔が姿を見せ始める。 


「そんな獲物じゃ俺たちを殺れねえよ!」と言われている気がしてきた。 


死滅してくれ頼むから。 


さあ、もう一度レーザー脱毛に通うのは骨が折れる
苦労して通ってまた生えてきたら心も折れる。
さらに言えば2箇所だけでなく全身焼き尽くしたい。
もっと手軽に安く脱毛できないものか?

考えに考え、その時に購入したのが家庭用のレーザー脱毛器。 

確かこんなの

脱毛に通うよりは安いがそれでもかなり値は張った。
でも欲しかったから買っちゃった!イェイ!
大人になるってこう言うことさ!

レーザー銃のようなブツを片手で持ち、小さな円の照射口を、ドット絵でも描くが如くひたすら肌に押し当てる。

上手いこと照射されれば「ピロン♪」と軽快な音が鳴り、当て方が悪いと照射失敗。「ブー!」と妙にイラッとする音が鳴る。 

これの繰り返しだ。毛は多い。先は長い。
無の境地で自分の肌に丸く平べったい突起を押し付ける。 



ピロン♪  ブー!  ピロン♪ ピロン♪ ブー! ピロン♪
 ブー! ブー! ピロ……
 


まるで写経をしているような内心。 
ひたすら繰り返す動きに感情が失せた顔面。
静かな部屋に響く装置の冷却音。
思った以上にすぐ切れてしまう充電。
充電が溜まるのを半裸で待ちぼうけて放心。

なんか嫌な歌詞みたいになってきた。


傍から見ても修行のようなこの光景。
これを続けていけば、いずれ悟れるのでは?そう思ったが悟れなかった。 
散滅すべし!毛根!!この気持ちが無くなら無い限り悟る日など来ない。 



その後、毛根を死滅させる前に脱毛器が先に動かなくなった。  


無理をさせていた自覚はあるが保障期間過ぎたらすぐ壊れるの法律で禁止してほしい。
結局、毛軍の強さに人類はまた敗北し、辛酸を舐めたのだ。 

それから数年。 

相も変わらずバリバリ音をたてて毛を引っこ抜いていたある日。
ついに精神に限界がきた。 


「……人の手で、全身脱毛しよう」 


脱毛が昔に比べ安くなったこともあり、やっとここまで辿り着いたのである。

思い立ったら即吉日。
良き友人であるGoogle先生にアドバイス頂き、口コミも良く自宅から通いやすい。なにより勧誘がしつこくないと評価されるレーザー脱毛店を見つけ、即時契約。本気の全身脱毛が始まった。 



これがまあ、痛い。
毛が濃いところほど痛いと言うが、脇・膝のしぶとい生き残りとVIOはでっけえ輪ゴムでバチン!とやられるより痛い。

それでも「ふふふ……この痛み…毛根も苦しみよるわ!」と耐えた。痛い。
痛みすら力に変えてくれる!と我が身を奮い立たせる。痛い。

脱毛後、熱を持った箇所のお冷やしで冷やされて氷の世界を味わっても耐えた。むしろこっちの方が辛かった。  


\痛い!冷たい!痛い!/

寒いより痛い


冷たいはK点を越すと痛いのだと知った28の昼。

そんなこんなで12回は通っただろうか。
確かに毛が薄くなった。
以前のムダ毛ファサ子状態から考えれば、全身まんべんなく薄くなった。 


腕なんてあの頃の大草原から考えられない。
焼畑農業さながらだ。足もかなり開拓され、もう生き物は住めそうに無い。
二回転脱毛してる膝下なんてツルツルだ。でも絶滅させることは叶わない。まだダメか。

金額のこともあり、延長を申し込むかどうかのところで仕事も忙しくなり、脱毛熱は少し冷めたので一旦休戦とした。

果てしない闇の向こうに WOW WOW
医療レーザー脱毛 


レーザー脱毛を終えてから数年の月日が流れた! 

 
奴らが、帰ってきた。


そろりそろりと舞い戻るように姿見せた黒い毛よ。

特に脇と、膝。おまえらは不死身か。
一番手塩にかけてあれだけ何度も焼き払ってやったのに何故蘇るのか。
あと顎とか口元。私は性別を超越したくないの!生えてこないで!

ファッキンクソ毛根。

確実に減りはしたが全身にまだ残りし毛よ。
「この薄さなら気にならないよ~」そんな風に言われたりもしたが、黙って頂こう。
こちとら20年戦争の真っただ中である。
ゴールはここじゃない。まだ終わりじゃない。 


全てを無に返さないと気が済まぬ。
ええい!1本たりとも逃すか!焼き尽くしてくれる!と
私の中の第六天魔王が叫ぶ。

魔王の城

そんな最中、色々あって奇跡的に出来た彼氏が漫画のキャラかよレベルでハイスペックだったことに舞い上がり、最終手段に手を出した。 

医療用レーザー脱毛様の登場である。

 
※因みに前述の男とは自然消滅した。最期のLINEでの会話は「ラーメン博物館」情報の誤送信だ。もう恋なんてしない※ 

「Google Is Your Friend」とばかりにインターネットとスクラムを組み、見つけた家から通いたやすい某クリニック。 

『資格を持った医療従事者が対応!』
『医療レーザー脱毛は毛根部を破壊する医療行為』
などと力強い言葉が並んでいて、これだ!これしかない!と
諭吉を三十数人握りしめて駆け込んだ。
 


医療レーザー脱毛。照射パワーが違うよね。マジで。 


痛みが伴うのは前以って聞かされていた。
『でも大丈夫、冷却装置を備えているので照射時には速やかな冷却効果が!』とも。 


でもね。私くらい毛軍が強いとね。
パワー全開で挑まれるんだよ。ホント。 


つまり、照射の熱に対してお冷しが追いつかな…… 

 

「うわあああああああ!!!火事だああああ!!!」

心象風景


めっちゃくちゃに熱い!痛い!熱い!
子供の頃読んだかちかち山のタヌキの気持ちが今なら解る。
我が身が今燃えている。
背中が、尻が、ギラギラと燃えている。焼き討ちに合ったレベルで熱い。

もしや、保護用アイマスクで見えないのを良いことに、さっきまでニコヤカに話しかけてきたお姉さんに、焼きごてを押し付けられているのかもしれない。 

何も見えない以上「そうだ」とも「そうじゃない」とも言えない。
シュレーディンガーの焼きごてだ。


この令和に熱々なものを押し付けてじゅっと焼く、そんな原始的な方法で毛根を焼いている?

肌も一緒に焼けてないこれ?もしかしてこのままソテーにされるのでは?
そんな疑問が頭の中を駆け巡る。疑惑が走る。

お姉さん「熱さ大丈夫ですかぁ~?」
私「……大丈夫ですッ!!!」

いいや、これは男塾名物油風呂と同じだ。
脱毛への不屈の精神が試されている。 


絶対に毛根を駆逐してやるという、覚悟。 


『覚悟はいいか?オレはできてる』



熱さと痛みに歯を食いしばって耐えた結果、背面の脱毛が終わり仰向けになった時にベッドが汗でビッシャビシャになっていることに気が付く。
背中が冷たい。自分の出した脂汗で。
恐怖した時、人類は脂汗を出すのを実感した。背中と尻と太腿が冷たい。

照射されてる腹は熱い。ものすごい熱い。
そんな感じで通い続けること4回。中々の成果を出してきた。 

特にVIOが本当にすっきりさっぱりしてきた。
私は無毛地帯として生きていくんや!

しかし。あと1回でコースは終わりというところで今のコロナ騒ぎ。
まあ、彼氏が居るわけでもなし。人に見せる機会も無し。
急ぎでもないし、しばらく待ちますか!ガハハハ! 



そんな風に流暢に構えていたらまた生えてきた。
一度死亡確認されたはずのIラインの毛が、
フェイスラインと鼻の下の毛が。

なんどだって甦るさ

え、不死鳥!? 



それに脇と膝、おまえらいい加減にしろよ。
やっちゃいけないことの線引き考えろ。 



OK、あと1回では到底無理なのは解った。
ここまできたら毛軍に勝つまで戦ってやる。やってやる。
俺のターン!諭吉を犠牲にして脱毛を3回分プラスする!

フェイスシェイバーの要らない顔を、
ピンセットも剃刀も要らない体を手に入れるまで!
冒険は終わらない!!!

戦いはまだ始まったばかりだ!!!!
(よしきち先生の資金繰りにご期待ください)


サポート頂けると飼い猫のおやつが増えます。ありがとうございます。