「林海綺律」の構成について
こんにちは。崩壊3rdに生かされているオタクです。昨日の崩壊3rdオンラインコンサート「林海綺律」、ご覧になりましたか?私は鑑賞後にコンサートの構成について喋り倒す不審人物になりました。
長ったらしい前語りは蹴っ飛ばすことにして、「林海綺律」の構成について個人的な解釈を垂れ流していきます。
【前提】
・「林海綺律」はゼーレとゼーレが主役
・本コンサートは人間性を探す旅を表現している
以上の2点を前提として解釈をしていきます。
1.姉から妹たちへの祝福
1つ目の演目はCYBERANGEL。ゼーレのためのOPアクトはやっぱりブローニャだ。自慢の妹たちの晴れ舞台にはやっぱり彼女と重装ウサギ19cが欠かせない。Angel Refactoringでトラロックをぶち抜き自分の道を切り開いた偉大な姉が、今度は妹たちに最高の道を贈るために疾走する。これ以上の適役は他に居るはずもない。いやぁ、既に200点の演出。しかしこれで終わらないのがmiHoYoである
2.月明かりの下で艦長たちも見守っている
星の海を航行するハイペリオンが荘厳な面持ちで登場し、AI・ハイペリオンΛのテーマソングが流れる。ハイペリオンはみんな(艦長も含む)の帰る場所である。そしてAI・ハイペリオンΛは我々と共にキアナ達の物語を見守り続け、心を動かされ、終焉との戦いに参戦した人物である。まさにこの2者は艦長の分身とも言える存在なのだ。艦長達もこのコンサートに欠かせない一員であるというメッセージが込められている。そう、崩壊3rdは共に歩んできた艦長がいなくては完成しないのだ
3.道の途中にいる者
記事冒頭でこのコンサートは「人間性を探す道」を表現していると述べたことを覚えているだろうか?人は、祝福され見守られながら「自分だけの人間性の華」を見つける。ここで登場するのは全てその道の途中にある者だ。
いつも力み過ぎて空回りするB級戦乙女のスーサナ。彼女は素裳との交流とキャットタウンでの冒険を経て、ようやく求道のための1歩を踏み出した。自然体で飾らないひたむきな少女はこれからどのような「華」を咲かせるのだろうか
コンサートを見守る艦長たちもまた、道の途中にいる。崩壊3rdの物語を見届けた彼らは、まるで雲のように集まったり散ったり、あの大好きな物語を振り返りながら前に進んでいく。これ以上の言葉は不要だろう
シャニアテの聖痕空間の結晶であるミステル・シャニアテ、人工知能でありながら確かな自我と感情を持つプロメテウス17号。人間に非ざる彼らもまた、自分自身の人間性を探している
4.伝承と祝福
人の最も美しい性質は"伝承"である。人間はこれまで数多の知識と経験と思考を積み重ね、祝福を贈り、後世に生きる者がそれを伝承してきた。その様はまるで花が枯れ、種を結び、新たな大地で芽吹き花開くようだ。人の歴史も人生も、そうして繋がれ受け継がれてきた。この伝承と祝福の物語に相応しいのは当然、彼ら以外にいないだろう。
火を追う十三英傑。彼らの存在無くして崩壊3rdは語れない。まさしく崩壊3rd全体を通して描かれた人間性の美しさの全てを象徴するのが彼らだ。偉大なる先達の姿を目に焼き付けよう。
どうか あたしの矢を 花を それからあたしの愛を
新生の種にして 枯れた大地に持っていって
そして永久に無瑕の 人間性の華を咲かせましょう
かつて強風の中で美しく力強く咲いた花は枯れ、種を結ぶ。種は新たな大地に落ちて芽吹き、それはやがて唯一無二の華を咲かせる。それが英傑達から新しい世代への伝承と祝福の物語だ。
5.主役(人間性の華を咲かせた者)
これ以上ないほどに舞台は整った。ならば主役に登場いただこう
彼女たちの名前はゼーレ。量子の海での漂流を超え、支配劇場を超え、終焉を超え、自分達の道を探し続けた。そして彼女たちは新たに「華」を咲かせた。だからこそ英傑達からゼーレ達へという構成は完璧なのだ。
彼女たちのパートはぜひダンスの表現に注目してほしい。
地に伏した白ゼーレが起き上がり、手を頭上へ高く伸ばす。黒ゼーレが同じように頭上へ手を伸ばす。しかし手は虚空を切るばかりだ。人形に囲まれ、心を蝕まれ、怒り、惑う。
そして最後、彼女たちは地面に触れて"ゼーレ"を取り戻す。地面とは言わば、分離不可能な起源だ。存在の根拠だ。地面がなくなれば存在が崩壊する。存在の根拠の境で鏡像のごとく重なり合う。まさに2人の関係そのものだ。なんて完璧なのだろう。なんと行き届いた演出なのだろう
6.既に華を咲かせ、次の世代を見守る者
新たな華が生まれた。ならばこれからは次の世代の者が自分だけの華を見つけられるよう見守らなくてはならない。これもまた伝承であり祝福である
○雷電芽衣
彼女はかつて、キアナを救うために世界を唾棄した。しかしヒーロー達との出会いと別れによって世界と人間の美しさを知り、唯一無二の真我を見つけ出した。そんな彼女は天命で教師となり8年後の後崩壊書では新世代を見守り導く者になった。新たに「人間性の華」を咲かせた彼女たちの次を務めるのは、芽衣先輩が相応しいだろう。
ここで脇道に逸れるが、筆者は後崩壊書のことを導き手が居なくなった後の(かつての子どもが大人になった後の)世界であると解釈している。劇的な希望も魔法もない、導く言葉もない。ただ決意と身1つで何度も何度も戦い続けないといけない世界。そんな世界で子ども達を守り続ける戦士たちに、最大限の敬意を贈りたい。
○フカ/華/識の律者
かつての戦士は大切なものを失いながら使命を果たし続け、「フカ」としての道を見つけた。自分の存在に惑い存在意義を求めた律者は自分だけの在り方を見つけた。彼女たちは紛れもなくヒーローであり、ずっと火種を守り続けた英雄である。
○キアナ・カスラナ
彼女の物語については他でもない艦長達がよく知っているだろう。父を探す旅に出た彼女は、言葉を尽くせぬほどの試練を乗り越えた。そして今、彼女は月でみんなを見守っている。
7.イカロスの試練
次はケビン。あの気高きヒーローだ。
ケビンはこの構成で絶対にこの位置でなければならない。ここまでの展開はケビンの人生と彼が遺した火種の軌跡を辿る旅でもあるから。そして新世代で「人間性の華」が咲いているのを見届けたケビンは、彼らが終焉を乗り越えて未来を作るための試練を与える。
一人の運命はその性格にある。記憶体のケビンと同様に、現実のケビンは聖痕計画の実行者として、超えるべき試練として、自分の命を銃口に押し込めた。
彼は墜落するために飛んだ。誰も到達できない場所まで飛び上がり、そして墜落する。その姿を見た誰かに、「君達ならば僕よりも高い場所にたどり着けるはずだ」と示すために。その姿は未来で生まれる新芽たちにもきっと届くだろう。
8.試練を超え終焉を超え、未来へ
そして新世代のヒーロー達は試練を超え終焉を超え、新しい未来を築く。なぜなら彼らは自分だけの真我を見つけ、墜落するイカロスの姿を見届けたのだから。ならばより高く飛び、より良い未来を紡がなければならない。その未来でまた新たな種が芽吹くだろう。
Cyber Angelで幕を開けた本コンサートでは、一貫して人間性を巡る旅と伝承が描かれていた。道を探し、迷い、真我を見つける。ある者は後続を見守る存在となり、ある者はあえて墜落するイカロスとなる。そして全ての試練を乗り越えた先で未来を紡ぎ、未来の大地で新たな命が芽吹く。まるで閉幕を迎えた物語が始まりへと還るように。そうしてこの旅は途切れることなく循環する。それが人間性の美しさであり、本コンサートを通してmiHoYoが伝えたかったメッセージではないだろうか。
かつての友は去り、美しい昨日もやがて消え去る。けれど道はまだ続いている。ならば歩き出そう。崩壊3rdの物語を見届けた者として、このコンサート「林海綺律」を見届けた者として。
もし胸に言い難い言葉を抱えているなら、メロディに乗せればいい。
引用元: https://youtu.be/4lNSu78FbJk?si=n4SXDeg51fNOica3