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世界最大の会計事務所を経て感じた、私が本当にやりたいこと

-これまでのご経歴について教えてください。
 なぜ起業・事業継承をされたんでしょうか?経緯を教えてください。

私は京都府出身で大学卒業後、会計士の専門学校に進みました。
試験範囲が広く、会計士としての知見を深めるには専門学校での時間は短く感じましたね。
その後、新卒で入社したのが、前職にあたる世界一の規模の会計事務所、監査法人トーマツと税理士法人トーマツです。
大手企業だけあって、専門的知識と豊富なプロジェクト経験をもつエキスパートが大勢いました。
監査業務や税務業務をメインに活動し、グローバル大企業に対する大型の節税や大型M&Aを経験しました。

正直、当時はマネー資本主義にネガティブな感情を抱くようになっていて、疲れていたんだと思います。
大型の節税ができない、ピュアに事業をされている中小企業に貢献したいと思うようになりました。
大企業ので重圧を感じながら「大型の節税や大型M&Aに携わるだけで、本当にやりたいことはやれているんだろうか。」と、自問自答する日々が続きます。
「目の前のクライアントに喜んでもらえる仕事をしたい」「地域やローカルに対してピュアに仕事をしていきたい」と、強く感じられ、思い切って独立しました。
必死に10年以上働き続けた結果、地盤はある程度固まっていたのです。

独立後、さまざまな弊害にぶつかりました。
中小企業支援の中で税理士という立場だと、会社の数字が見れたり社長の課題や本音が聞けたりします。
会社の懐にまで入りこむことができますが、社長は税理士を経営者と思っていません。
「税理士事務所を経営しているのに…」と、幾度か思いました。
経営者ではなく職人に映っていたのだと思います。
そんな社長を見て、私も好きなラーメンを通じて経営者になりたいと、沸々とやりたい気持ちが湧き出てきたのです。
より中小企業の社長に寄り添いたい、近づきたいと思っていました。

大学時代にラーメン横綱でバイトリーダーをしていたので、経験を活かして接客オペレーションや運用はできるはずと自負していました。
税理士業をやっていて良かったと思う日が訪れます。
天下一品の創業者とお会いすることができ、ラーメン好きということを伝えたら「やってみる??」と言われ始めることになりました。
「税理士業がラーメン屋?」と、最初は私も思いましたし、周りのスタッフも驚いたと思います。

-貴社が目指しているビジョン、実現したい世界観を教えてください。

クライアントに対しては、世界の平和を目指しています。
食は人を良くすると書くように、うまいものはどの国の人が食べても幸せになると思っています。
常連のお客様を重視しているので、外国から遥々来店されるお客様や芸能人の方々も、笑顔で対応します。
これは、従業員一同徹底していることです。
目先の利益を追いかけて鮮度を落とした食材の使用や、スープを薄めるようなマネをしてお客様を騙そうとしたことは一度もありません。その結果、Google評価では本店の次に高い4.0を獲得しました。
お客様からの正直な評価だと感じ、ありがたく受け止めています。
経営するうえで、ビジョンやコンセプトから反らすと売り上げや評価は傾きます。
食を通して、世界中の人々が幸せになることを願っています。

従業員とメンバーに対しては、持続的な経営を目指します。
従業員には幸せになってほしいので、仕事はもちろん大切ですが、プライベートも充実してほしいです。
働く従業員が幸せでいる限り、持続的な経営ができるのではないかと考えます。
そのため、副業・ダブルワークは許可します。副業・ダブルワークをすることで、ほかの企業での働き方を学ぶことができますし、スキルアップを図ることも可能です。
働く人の多様性を尊重することが、長く働くための秘訣だと考えます。
ただお金を稼ぎたいという気持ちよりも、今触れたように自分自身の成長を考えられる仲間が欲しいですね。
従業員同士が意見を出しあえたり、お互いを尊重し合えるような環境が望ましいです。
また、長期的に働いていただくためには不安を抱えながら働いてほしくないです。収入や企業の業績はアルバイトスタッフ含む全従業員が気になる点かと思います。
コロナがあった当初は、飲食店も集客が見込めず苦戦しました。従業員に少しでも安心して働いていただきたいと思い、給与は全額補償しました。
お金がすべてではないですが、働く従業員の生活を考えて報酬の面では神経を使いましたね。
全メンバーに会社の数字はすべて開示しています。経営者の目線で数値管理を行うことで、業績がどうなっているのか、どんな対応・行動を起こすべきなのかを考えてもらっています。
経営者の思考を学んでいただくことで、より質の高い仕事ができ、お客様に対する接し方が変わるのです。

安定的に攻める!

長期的な目線で経営しているので、目先の利益にはこだわっていません。
例えば、研修費は全額会社負担です。設備投資を積極的に行ってます。
また、顧問先に創業270年以上のカネ七畠山製茶さんがあるので、天下一品とコラボして抹茶ビールを開発しました。他店では飲むことのできないオリジナルビールで、抹茶の苦味とスーパードライの辛味がお客様から反響がありました。
他店と差別化ができる店だからこそ、長期的に常連のお客様を獲得できます。

完全週休2日制なので、従業員の心身を一番に考えています。心身が健康でなければ生産性は生まれません。
さらに生産性を上げるために、昔ながらのアンバー型組織ではなく、現場の従業員の自律性を尊重したティール組織を目指します。
企業と従業員のコンパスが同じ方向を向けば、良質な意見が飛び交います。先ほど触れた全部の数字を開示しているのもここにつながるのです。
圧倒的な権力者を配置せず、全メンバーが企業が考えていることをよく理解し、自分自身で目標を立てられる自律的な集団を目指します。
自主的に成長できる集団は、お客様満足度をより高めてくれると信じています。
そんな優秀な従業員から、コロナ禍でこんな声が聞こえてきました。
「頑張ったのに、利益が出てないんですね」と…
今後は、頑張りを可視化し従業員に還元できるように「チップ制度」を導入する予定です。

-ビジョン実現のために現在活動していること、今後活動予定でいらっしゃることを教えてください。

社会的インパクトを重視しています。
これまで述べたことをすべて実行に移すことと、世界平和のためにまずは京都府のまちづくりを検討中です。
例えば、京都市未来力会議への参加、京都信用金庫の総代の就任、デザイン ウィーク京都の監事を務めています。
今年、日経新聞と京都新聞と読売新聞に顔写真付きで乗りました(一番左が私です)。

各種セミナー講師のオファーは必ず受けています。
ノーベル平和賞をとられたムハマド・ユヌス先生とともにソーシャル企業認証制度を立ち上げました。昨年、日本青年会議所会頭を通じて岸田総理に提言済みです。(以下写真)

共感を軸にしたお客様とのマッチングを創造します。
これまで述べた、生み出される事業やサービスが生まれている状態が理想と考えます。
世界平和を考え、食を通じて人々が幸せになれるように日々ビジョン実現に向け模索しています。

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