#20 初の入院での恥ずかしい失態…
前日もしっかり眠れた。
いよいよ生まれて初めての入院がスタートする。
手続きも終わり、ナースステーションの前のちょっとしたスペースで待機する。
パック専門のドリンク自動販売機や今は使用禁止になっている図書棚。何脚か置いてあるソファーに二人で浅めに座った。
コロナの影響で家族もお見舞い、面会は全面禁止、病室までは入れないのだ。
入院は約2週間。結婚してこんなに離れるのは初めてだし、愛犬モハもさぞ寂しいだろうな。
ゆうちゃんは心配なのか入念に入院のしおり的な冊子を見ている。
ゆ「コインランドリーは10階だって」
岡「そうなんだ」
ゆ「2日に1回は洗濯しなよ」
岡「そんなに?パンツとかはいっぱい持って来たよ」
ゆ「清潔を保たなきゃ」
パンツは1週間分持って来ている。
というか持たされた。
そんなに洗濯に行かなくても保てると思った。
ゆ「通話はこのスペースだって、病室はダメみたい。」
岡「寝てる人もいるだろうしね、ここならいいんだね」
ゆ「消灯は・・・」
おーーーーい!もういいよ!
冊子を全部読み上げちゃう勢い。
後で読むよぉ!
ゆ「テレビの有料カードはここに売ってるんだね」
ドリンク自動販売機の斜向かいに小さく細長い自動販売機があった。
ゆ「これ一応買っておいた方がいいんじゃない?」
とゆうちゃんは冊子を見ながら言う。
そこに間を空けず小声で答える。
岡「いや、なんで入院してるに。ましてや4人部屋だよ。見るわけないでしょ」
ゆ「ん?なんで?見ないの?」
岡「見ないよ、そんなとこまで心配しなくていいよ」
ゆ「携帯で見る感じ?」
岡「いやだから見ないって」
ゆ「ニュースとかは?」
ん?あれ?話が噛み合わない。なんだ?
ゆうちゃんが持っている冊子に目をやる
間違えたぁぁぁ!!!!!!!!!
ビジネスホテルとかの感覚で喋ってしまった。
カード販売機が似てるから…
仕事柄、たまに地方に行く時があるから…
完全にホテルで売っている大人な番組を
見る用のカードだと・・・
エロスのやつだと・・・
ペイチャンネルカードだと…
あのカードは本来、映画やアニメも見れるのだが…
カードを購入する男性の殆どは映画やアニメは見ない。
アダルト一択だ。
しかし、そんなの冷静に考えれば病院にあるわけがない。恥ずかし間違え。
バレてる?バレてない?
ゆ「まぁいらないならいいけど、洗濯のとき便利だと思うよ」
岡「ん?あ、その・・やっぱ買っておこうかな・・・」
看「岡安さーん、お部屋にご案内します。ご家族の方はここまでとなります。」
入院用の大きな荷物を背負い、耳の赤さを気にしながらゆうちゃんとはそこで別れた。
しこりが残った別れだった。
うまい…?
こんなのいらないか…
つづく