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#42 完熟の桃のイメージで・・・
放射線治療も残り少なくなってきた頃。
岡安の首周りの皮膚に少しづつ異変が起きていた。
【放射線による皮膚炎】
がん治療のために放射線をあてることによって皮膚が炎症を起こす事があります。体の外から放射線をあてる場合、放射線は皮膚を通ってがんまで届くため、がんの細胞だけでなく、皮膚にも影響が起こります。
皮膚は何層にもなっていて、一定の周期で生まれ変わります。
皮膚の細胞は形を変えながら皮膚表面に押し上げられ、最後はアカとなって自然に剥がれ落ちていきます。
しかし、放射線を受けた時、生まれたばかりの1番下の皮膚の層もダメージを受けてしまうため、皮膚の細胞が減ってしまい、皮膚が薄くなってしまいます。
さらに、皮膚の水分を保つ機能(バリア機能)が低くなるため、皮膚が乾燥したり、炎症を起こしたりします。
岡安診療所調べより
現在の岡安の首周りの皮膚は日焼け程度の赤みがかった感じだが、この頃からの適切なケアで跡が残るか綺麗になるか分かれるらしい。
という事で
看護師さんが凄く丁寧にそのケアの仕方を教えてくれた。
・処方されたクリームを欠かさず塗る事。
・むやみやたらに首を触らない
・首元に干渉しない服を着る
・首回りは常に清潔にする事
特にお風呂での首の洗い方はすごく詳しく教えてくれた。
看「まずは低刺激のソープを使って下さい。できれば赤ちゃん用のがベストですね。それで泡だてネットを使って泡を作るんですけど」
岡「泡だてネットは持ってないですね。」
看「なるほど、じゃあ素手でもいいので、とにかく
ふんわふわの泡を作ってください。その泡を首に置くイメージでそっと洗って下さい。そうじゃないと皮膚が捲れちゃうので。それでシャワーも直接当てず、手でお湯をかけて洗い流すんですけど」
岡「なるほど、ちょっとやってみます」
看「洗い方はそうだなぁ、あの完熟の桃って食べた事あります?」
岡「あ・・・あります。」
看「あの完熟の桃の皮のイメージですね。ちょっと触ると捲れちゃう。そのデリケートで繊細な完熟桃の皮を洗う感覚で首を洗って下さい。放射線も後少しなので頑張ってください」
岡「…はぃ、ありがとうございます」
と返事はしたが戸惑った。
完熟の桃は多分食べた事はあったが、洗った事がなかった。
というより普通は桃の皮は剥いちゃうよな〜
剥いちゃうイメージはダメだよな〜
うーぅなんか想像しただけでイタタター。
剥かないイメージは難しいなぁ~
なんてしばらく考えていると、
さっきの看護師さんが再びゆっくりとカーテンを開けて来た。
看「岡安さん」
岡「あ、はい」
看「あの、さっきの桃の例えなんですけど。我ながらなかなか良いの言ったなって思いまして」
岡「えっあ・・・そうですか」
看「今後も岡安さんと同じ治療で悩んでる方に説明する時この桃の例え使わせていただきますね。では」
ゆっくりカーテンが閉まった。完熟桃の皮を例えの許諾を何故岡安に?笑
つづく