#42 完熟の桃のイメージで・・・
放射線治療も残り少なくなってきた頃。
岡安の首周りの皮膚に少しづつ異変が起きていた。
現在の岡安の首周りの皮膚は日焼け程度の赤みがかった感じだが、この頃からの適切なケアで跡が残るか綺麗になるか分かれるらしい。
という事で
看護師さんが凄く丁寧にそのケアの仕方を教えてくれた。
特にお風呂での首の洗い方はすごく詳しく教えてくれた。
看「まずは低刺激のソープを使って下さい。できれば赤ちゃん用のがベストですね。それで泡だてネットを使って泡を作るんですけど」
岡「泡だてネットは持ってないですね。」
看「なるほど、じゃあ素手でもいいので、とにかく
ふんわふわの泡を作ってください。その泡を首に置くイメージでそっと洗って下さい。そうじゃないと皮膚が捲れちゃうので。それでシャワーも直接当てず、手でお湯をかけて洗い流すんですけど」
岡「なるほど、ちょっとやってみます」
看「洗い方はそうだなぁ、あの完熟の桃って食べた事あります?」
岡「あ・・・あります。」
看「あの完熟の桃の皮のイメージですね。ちょっと触ると捲れちゃう。そのデリケートで繊細な完熟桃の皮を洗う感覚で首を洗って下さい。放射線も後少しなので頑張ってください」
岡「…はぃ、ありがとうございます」
と返事はしたが戸惑った。
完熟の桃は多分食べた事はあったが、洗った事がなかった。
というより普通は桃の皮は剥いちゃうよな〜
剥いちゃうイメージはダメだよな〜
うーぅなんか想像しただけでイタタター。
剥かないイメージは難しいなぁ~
なんてしばらく考えていると、
さっきの看護師さんが再びゆっくりとカーテンを開けて来た。
看「岡安さん」
岡「あ、はい」
看「あの、さっきの桃の例えなんですけど。我ながらなかなか良いの言ったなって思いまして」
岡「えっあ・・・そうですか」
看「今後も岡安さんと同じ治療で悩んでる方に説明する時この桃の例え使わせていただきますね。では」
ゆっくりカーテンが閉まった。完熟桃の皮を例えの許諾を何故岡安に?笑
つづく
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