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#27 ロビーに響き渡る『岡安』

退院当日。
帰り支度、途中で放射線、次回の入院の日取り決め、と少しバタバタしたが忙しかが、初めての入院生活が一旦終わる。

広いロビーに並んだカラフルなパステルカラーソファーに座り、色々なお会計を待っていた。

目の前にある大きなテレビから流れるニュースを
ぼんやり見ながら、この何週間の出来事をプレイバックした。

喉の違和感から始まり、あっという間に検査、治療も決まって入院、1回目の抗がん剤治療も無事に終わった。


副作用も思ったよりも出なくて安心した。


最初は少し迷った。
このままで治療を始めていいのか?
手術をした方が治るんじゃないか?
でも自分の意志や勘、病院の方針などを信じて、
始まれば迷いは一気に消えて治療に専念出来た。

よし、引き続き頑張ろう。


すると、
いきなりテレビから大きな声が聞こえてきた!

「明日の組見は岡安の将来を左右する大事な仕事だす!」



ロビーに響き渡るこの『岡安』に

ビクッ!


え?何?どうした!岡安
病院カウンターからの呼び出しの『岡安』ではない。
テレビモニターからの『岡安


岡安の将来を左右する?何をテレビでやってるんだ?
よく見ると1ch、NHKだ。
その後も幾度と『岡安』というワードが連続した。


NHKだと『爆笑オンエアバトル』でお世話になったが、
出場した時でもそんなに『岡安』を連呼した事はなかった!


いったい何が起きているんだ!

実はNHKの「連続テレビ小説」『おちょやん』が放送中だった。

おちょやん
主人公の竹井千代ちゃん(杉咲花)はお父さんの竹井テルヲ(トータス松本)が作った借金のために奉公に出されました。奉公先が大阪道頓堀に構える芝居茶屋『岡安
厳しさの中にも優しさが溢れ出る『岡安』のみんなに可愛いがってもらいながら成長していく千代ちゃん。
その後、千代ちゃんはこの時好きになったお芝居の世界へと進んでいくのです。



その茶屋の将来を左右する大事な仕事の回、シーンだったようだ。



いやーびっくりしたぁ。
この放送がもし3週間前の先生からの告知の直後だったら


『岡安の将来を左右する』


なんてリンクしすぎて…


でも、こっちの岡安の将来はガッツリ決まってる!
何にも左右されない将来!

この病院でしっかり治します!

そして絶対に復帰します!


こちらの岡安は『だんない!』です!
(おちょやんでちょいちょい出てくるワード笑)
※【だんない】→あまり心配ないよって意味

とにかく気張ります。
ご心配、ほんまおおきに。

                      つづく

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