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#26 退院前日に出た病院のチャーハン

色々検査をして免疫力の低下などもなく、
日常生活に特に問題がないと診断してもらい、
ついに明日退院が決まった朝。
いつもと違う昼食メニューが献立表に記されていた。

炒飯!!!!



えーーーーー!うそーーーーー!


なんという事だ!
いつも白飯におかずが何品かなのに、まさかの炒飯。
岡安の大好物だ。
これは2週間の入院で初めて。

しかも明日から一時退院。
タイミング的にはまるで退院祝いだ!
これは嬉しい。

朝ご飯を終え、薬を飲んで、
歯を磨きうがいの
いつもの口腔ケアルーティーンは軽くコンプ。


放射線治療も午前中に呼ばれテンポよく終わる。


そしてお待ちかね、お昼ご飯の時間がやって来た。
大きいカートに乗せられた昼食が各部屋へと運ばれて行く。


いよいよだ。
カーテンが元気よくシャーっと開く。


看「お昼ご飯です、お名前をお願いします」

岡「はい、岡安章介です」

看「はい、岡安さんですね、どうぞ」


いつもより元気に名前を言えた気がした。


看「明日一時退院なのでお祝いで岡安さんの大好きな炒飯を用意しましたよ」

そんな空耳が聞こえた気がした。


目の前には色々栄養を計算されたおかず、ほうじ茶、
フルーツ、この辺はいつも通りだ。

お皿こそいつものやつだったが、そこには明らかに違う
オーラを放つ金色の炒飯が鎮座する。

本当はレンゲでカチャカチャと音を鳴らして豪快にいきたいところだが用意がなかったのでMyプラスチック先割れスプーンで失礼する。


いただきまーーーーーす。


と一口。


パクッ



ん?




本当に申し訳ない。
塩分加減や栄養バランスを色々考慮されたのだから仕方ないんだろうけど…


不味い!!?

これは・・・炒飯じゃない。
油分を全く感じない、炒めてないんじゃないか飯。


no炒めご飯。


味的には一回普通に出来上がった炒飯を
ザルに移して水でしっかりと洗い、
余分な塩分油分を落とし、
最後に焼豚などをきれいに取り除き盛り付けたご飯。


そんな感じの味だった。薄い味。


んんん…


これは岡安が勝手にハードルを上げてしまったのが絶対にいけないのだ。

普段の病院ご飯は普通に美味しく頂いていたのだが、
今回はチャーハン。

町中華の炒飯を想像し、舌をスタンバイしてしまったのがいけない…してなければ普通に食べれたと思う…


大きな鉄鍋に熱したラード、
卵、出来ればでいいが冷めた白飯。

丸鶏から取ったガラスープ、
国産にんにく、細かく刻んだシャッキシャキのネギ、
こちらも細かいサイズのじっくり漬け込んだ焼豚。

最後に塩、胡椒、香り付け用の醤油やごま油。

これらは病院食に向いているわけがない。


半分くらい残した昼食の後、

岡安はいつもよりも長めの院内散歩に出かけた。

                     つづく

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