成果と結果の違い:行動目標への適用
「成果と結果の違い」の記事では、それぞれの持つ役割をもとに、私たちが目指せるのは成果であり、結果は、他者や環境など自分以外の影響を受けるものであることを考慮しました。では、「成果と結果の違い」の理解をもとに、私たちが目標管理に採用できる視点があるとすれば、それはどのようなものでしょうか。
この度は、一般的な「結果の評価を促す目標」に「行動を評価する目標」を組み合わせることの価値について、ビジネス環境をもとに考慮してみたいと思います。
行動目標の策定
行動目標は、具体的な行動やプロセスに焦点を当てることで、結果を評価する目標の達成をサポートします。例えば、プロジェクトの完了率を向上させるために、次のような行動目標を設定できます。
1. 定期的な進捗の確認と共有会
プロジェクトの進行状況をチーム全体で共有し、必要な調整を迅速に行う視点を確認、養います。
手順例)
進捗会議のスケジュール設定
週次または月次で、定期的に進捗を確認できるミーティングを設定し、全メンバーが参加できるようにします。
報告フォーマットの統一
プロジェクトの進捗を明確に伝えるために、統一された報告フォーマットを使用し、必要なデータやKPIを含めます。
アクションプランの明確化
会議で認識された取り組み課題に対する具体的なアクションプランを設定し、誰が何をいつまでに行うかを明確にします。
2. リスク管理プランの作成と更新
想定される事象や発生したエラーをもとに、プロジェクトにおける潜在的なリスクを特定し、計画的に対策を講じます。
手順例)
リスクアセスメントの実施
プロジェクト開始時および、定期的にリスクアセスメント(リスクの評価)を実施し、新たなリスクが発生していないかを確認します。
リスク対策の策定
各リスクに対して、回避、転嫁、受容、軽減のいずれかの戦略を用いて対応策を策定します。
リスク管理責任者の指定
各リスクに対して管理責任者を指定し、対策の進行状況を監視します。
3. ステークホルダーとのレビューミーティングの開催
プロジェクトの関係者と定期的にコミュニケーションを取り、期待値の管理を実施します。
手順例)
定期的なレビューミーティングの設定
プロジェクトの主要なステークホルダーと定期的にミーティングを開催し、プロジェクトの進捗や変更点を共有します。
フィードバックの積極的な収集
ミーティング時には、ステークホルダーからのフィードバックを積極的に求めます。状況の報告や共有に留めず、共に考え、発言してもらうことが重要です。ステークホルダーの期待値を確認し、プロジェクト計画や進め方に反映します。
変更管理プロセスの適用
ステークホルダーの要求により、計画に変更の必要が生じる場合、変更がプロジェクトの目標や結果に与える影響を考慮し、承認を得ます。これに際しては、以下のような変更管理プロセスの視点を採用できます。このプロセスは、プロジェクトの安定性を保ちつつ、効果的に変更を取り入れるために重要です。
変更管理プロセスの例:
1)変更点の識別
プロジェクトに影響を与える可能性のある変更を識別します。
2)変更の明文化
変更の必要性や詳細を文書化し、必要とされる関係者に理解や協力を促します。
3)影響の評価
変更がプロジェクトに及ぼす影響を評価します。
4)変更の承認または、拒否
関係者や責任者が変更を承認、または拒否します。
5)変更の実施
承認された変更をプロジェクトに適用し、実施します。
6)レビューと評価
変更が目的に適合しているかどうかを評価し、必要に応じ調整を行います。
おわりに
この度は、一般的な「結果の評価を促す目標」に「行動を評価する目標」を組み合わせる視点と、その価値について考慮しました。「結果目標」の達成に向けた、各ステップにおける具体的な「行動目標」を持つことが、プロジェクトの成果にも重要な役割を担うことになります。
行動目標の設定と実行により、プロジェクトの「結果目標」の成功率の向上を図ります。プロジェクトの成功を左右するのは、計画の質とその実行能力です。明確で実行可能な行動目標を設定することは、チーム全体のモチベーションを高め、目標達成へ向けた取り組みを着実に進行する上でも有用です。
追記事項として。行動目標の策定に際しては、現在の「結果目標」の達成に際した行動に、その先にあるビジネス機会にも生かす視点を採用することも有効です。例えば、進捗やタスク管理、報告FMTや運用の仕組みの作成においては、中長期的に活用していく視野をもとに、その作りや構成を検討できるかもしれません。❀