デグーのメス2匹を同じケージで飼うことについて
血の繋がりがないデグー同士を同じケージで多頭飼育する件については、
一般的に
「オス同士は同じケージに入れると縄張り争いでケンカしやすい。多頭飼育するならメス同士のほうがハードルは低い」
といわれていて、確かにそういう面が強い生き物なのだろうとは思うけれど、もちろん例外はあるよということで……。
〜M家むかし話〜
むかしむかし、M家では「みつ」という名前のメスのデグーが飼われていました。
みつは飼い主であるニンゲンたちに甘えるのが大好きですが、ニンゲンたちは2人揃って出かけてしまうことも多く、その間、みつは静かな家にひとりぼっちです。
デグーはもともと群れで暮らす生き物ですから、みつは寂しくなり、アンニュイな表情をすることが多くなりました。
そんなみつを心配したニンゲンたちが、もう1匹のデグーを連れてきました。
その子は小麦色の毛をした、穏和な顔つきの、まだ小さなメスです。
「こむぎ」と名付けられたその子は、M家の環境に慣れてきた頃からみつと同じケージで暮らしはじめ、2匹はすぐに仲良くなりました。
毎日同じハンモックで重なって寝たり、毛繕いしあったり、遊んだりしました。
もう寂しくないみつは元気を取り戻し、ニンゲンもそんな2匹の様子を見て安心していました。
しかし元来みつは縄張り意識も自己主張も人一倍強い、ボス猿的な性格です。
みつが発情期を迎えたころ、ある日突然、こむをライバルとみなしたのか攻撃したがるようになりました。
『ここはアタイの縄張りだよ!』
あまつさえ、みつはニンゲン(♂)にも度々おしっこを引っかけマーキングをするようになったのです。
獣医さんには「ああ、デグーのオスはよくそういうことしますよ。え、メス!? メスは普通そういうことはあんまりしません」と言われて、ニンゲンたちは大層恥ずかしい思いをしました。(※間違いなくメスであることは再確認済み)
ですがニンゲン(♀)に対してはほとんどマーキングしないので、みつはニンゲン(♂)を自分のカレシだと思っているのかもしれません。
そうして、ブゥブゥ怒りながらこむを追いかけようとするみつの様子に、ニンゲンたちは慌ててこむを別ケージに引っ越しさせました。
それから3年が経ちましたが、こむはそんな目に遭っても、今でも変わらずみつを慕っていて、ケージ越しにピルピル歌ってあげています。
しかしみつのほうも相変わらず、ケージ越しのこむにブゥブゥと威嚇するのでした。
おわり。
結論:もちろんメス同士でも相性や性格により変わる。
まぁでも考えてみれば、当然っちゃ当然だよなと。
私だって、もしいきなり自分の家に見知らぬ女性を連れてこられて「今日から一緒に住んでね♡ 女性同士だから仲良くできるよね?」とか言われたら困る。とても。
もちろん個々の相性や性格次第ではずっと仲良く暮らせるだろうし、そうしてるお家も実際たくさんあると思う。
だけど我が家のように突然それが不可になるケースもあるので、そういう時のために常に予備のケージは1個置いておくのがオススメ。
そんなわけで、仲良く同居することは残念ながらなくなったとはいえ、みつ・こむ共に相手が隣のケージにいることで寂しくはなさそうなので(さらに3匹目の「まめ」も増えたし)、うちはこれで良かったと思う。
威嚇される側のデグーがそれを気に病む繊細なタイプだったらまた別なのかもしれないけれど、こむは穏やかなわりにマイペースで、みつにブゥブゥ言われても全く気にせず受け流している様子なので助かっている。