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エキゾチックアニマルのセカンドオピニオンの重要性 ②食欲の急激な減退

②食欲の急激な減退

A先生に処方された薬を与え始めてから、首が傾いたりする頻度は減ったように思う。
けれど、それからちょうど1週間ほど経ったある日、新たな異変が起きた。

チモシーを食べないどころか、毎朝数粒あげているペレットも、この日は午後になってもまったく手をつけようとせず、じーっとしている。部屋んぽさせようとしても出てこない。
ケージ内で時々場所を移動するものの、移動してはまたじーっとする……の繰り返し。


病院に連れていくべきかとも考えたけれど、好物の乾燥野菜を差し出すと受け取って食べたので、前庭疾患による目眩とかが起こってるのかなと思い、しばらく安静にさせておくことに(私の判断ミス②)。

ただ、やはり気になったので、こむがあまり具合がよくなさそうな旨を夫に連絡すると、夫は仕事帰りにペット用ヒーター(うさ暖。過去にも使っていたものの、汚れてボロくなったので処分していた)を買ってきてくれた。

季節は秋で、日中はまだ結構暑く、でも夜はちょっと肌寒かったりもするころ。
なるべくデグーたちに寒暖差を感じさせないように、毎日時間帯によって冷房と暖房を使い分けてはいたものの、季節の変わり目のために人間でも自律神経が狂っていたから、デグーの体には一層負荷は大きかっただろう。
こむは早速ヒーターの上に寝転び、そこからほとんど動かない。

食事と水分を摂らなくなってから半日以上経過し、目に見えて元気が落ちてきた。少し呼吸も荒いように見える。
ペレットやおやつをお湯でふやかしたものを与えるものの、食べない。
フルーツは糖分が高いので今まで与えたことはなかったけれど、少しでも食べてほしくて、生のバナナやみかんを小さく切って少量与えてみる。それでも一切食べようとしない。

危機感が強くなり、日中に病院に連れていかなかったことを悔やみながら、翌日の朝イチで再び病院に行くことにした。


そして翌朝、こむを心配して会社を休んでくれた夫とともに、すぐに病院へ。
昨晩からここまで、こむは乾燥野菜のカケラを少し口にしたくらいで、ほとんど何も食べていない。

昨日からの経緯をA先生に話すものの、やはり「原因は特定できない、検査も何もできない」というようなことを繰り返し言われるだけ。
その時のA先生の発言をまとめると、以下のような感じ。

「呼吸が荒いのは呼吸器に異常があるのかもしれないけれど、それは腫瘍のせいかもしれないし、寄生虫とかのせいかもしれない。特定は不可能」

「デグーは一日食べないだけで死ぬことはあり得るし、草食動物を診る獣医なら誰でも、そうなっても驚かないだろう」

「野菜ジュースを強制給餌して。ただしこの荒い呼吸の状態だと、強制給餌を嫌がって暴れることでそのまま死ぬ可能性はある」


そう言われて内服薬だけは処方されたものの、他に何か手を打とうとする様子もなく、なんだか諦めムードのA先生を前に、こむを助ける手段はないのかと絶望的な気分に。


こむを一旦家に連れて帰ってケージに入れてから、夫とペットショップへ向かう。
何か一つでも食べてくれるものがないかと、水分補給ゼリーやビタドロップ、ラクトバイトなどを片っ端から買って帰り与えてみるも、やはりどれも食べない。

強制給餌をしようとしてもものすごく嫌がり、「それが原因で死ぬかも」とA先生が言ったとおり、苦しそうに呼吸している。
つまり
a. こむはこのまま食事を摂れずに死ぬ
b. こむは強制給餌を嫌がって暴れ、呼吸困難により死ぬ
のどちらかしかないのだろうかと考えた。

いずれにせよ死んでしまうなら、一生の最期に無理やり食べさせて嫌な思いをさせながら死なせるよりは、せめて静かに死なせてあげたい。
私はそう思ったし、夫も同じ考えだったので、強制給餌はストップした。
(※強制給餌そのものを否定する気はありません。この時この状況では、我が家では強制給餌は選ばなかったというだけです)

こむが死んでしまいそうなことへの覚悟を決めなければと思ったものの、覚悟が決まるというよりは、「そうなることを受け入れざるを得ないと理解する」と言ったほうが正確で、気持ちの面では納得できるはずもなかった。

ただ、衰弱したこむの様子を観察している中で、気になること2つがあった。

1つ目は、A先生への不信感。
ネットでデグーの食欲不振について調べると、「デグーが食欲不振の場合、胃にガスが溜まっている可能性がある。デグーは胃にガスが溜まって胃拡張になりやすく、それによって食欲不振になったり水を飲まなくなったりする」という旨の文章が散見される。

そのガスというのが、こむにも当てはまるのかどうかは、獣医でもない私には判断できない。
でも獣医であるはずのA先生はガスの存在を疑うどころか、まったく水を飲んでいないこむに、点滴ひとつ打とうとしなかった。

【デグー診察可能】と謳ってはいるけれど、実際はA先生はデグーにはあまり詳しくなさそうだし、そもそもデグーに打てるようなサイズの点滴器具を病院に置いてすらいないのでは……と疑念が湧いた。


気になったことの2つ目は、こむ自身の様子。
食べ物を差し出すと、こむは全く食べようとしないわけではなく、ちょっと口に運ぼうとしてみたりしていた。けれど体の不調によりどうしても食べられないので結局やめてしまう、というふうに見えた。

実際には食べることはできていないとしても、食べようとする意思があるのなら、こむ自身はまだまだ生きる気があるはず。
そう考えたとき、A先生への不信感もあいまって、「セカンドオピニオンに診てもらう必要がある」と思った。


診察対象にデグーを挙げている病院は家の近くにまだ2〜3軒ほどあるものの、ネットのクチコミをチェックすると、A先生に対して私が思ったのと同じく
「診てはくれたけど、ここの先生はエキゾチックアニマルにはあまり詳しくなさそう」
という旨の書き込みがあったりする。
単純に患者数を増やしたいという理由で、さほど詳しくもない動物を「診察可能」と謳っている病院は少なくないのかも……と勘繰ってしまった。
病院は飼い主が選ぶしかないのだから、大事な家族を守るためには、あまり病院の「(自称)診察可能」を鵜呑みにするのも危険かもしれない。


そんなわけで、デグーをしっかり専門的に診察できそうな病院を求めて検索すると、車で40分程度で行ける距離のところに、小動物に詳しい先生がいるというP病院が見つかった。
さほど近くはないけれど、車で比較的行きやすい範囲に見つかっただけでも幸いだった。

とはいえ時刻はもう夕方を過ぎ、P病院の診察時間の終了間際だったのでその日のうちに受診することはできず、電話で事情を説明すると
「明日の11:30に予約が取れるので来てください。ただ、2日間飲まず食わずということだと緊急性が高いので、もし明日の朝に具合が悪化しているようなら、それより早い時間に来てもらっても大丈夫です」
と言ってもらえた。

親切な対応に少しだけ安心したものの、こむは果たして明日の朝まで無事でいてくれるのか? と不安になった。
もし容体が急変したら……もし間に合わなかったら……と思うと居ても立ってもいられず、せめて点滴だけでもしてもらおうと、夜間往診専門のU先生を呼ぶことに。

(「③デグーをきちんと診察できる獣医」に続きます)


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