『はみ出した刹那』
2021年12月21日、bandcampに発表した自身初のフルアルバム「はみ出した刹那」
-収録曲-
1. みなもと
2. タッチ (Original by ナンバーガール) *
3. 日々
4. 失敗がいっぱい (Original by 小沢健二) *
5. 冬の滑走路
6. カーテンの唄 (Original by ヒトリバンケット) *
7. いつもあなたに
8. 青春狂走曲 (Original by サニーデイ・サービス) *
9. 歌をひとつ
10. 雨の日と月曜日 (Original by Carpenters) *
11. 生まれ
*•••bonus cover tracks
2020年に歌い残しておきたかった、ちょうどその当時の気分を反映した全11曲、自分の曲とカバー曲を交互にならべてみました。
そうして結果的に、もしかしたら意図的に、自己と他者・過去と現在・2020年と2021年を行ったり来たりするようなアルバムになりました。
成果を数字で表そうとすると全然だけれども、それでも出せて良かったというのが何より
聞いてくれたみなさま、ありがとうございます。
表向きにはアルバムのこと以外まるで発信をしてこなかったので、ここら辺でカッコ閉じして一旦線を引いておこうと思います。
ということで、まとめにかかります↓
-制作記録・メモ-
わりとありのままに書いたつもりのnote連載がこちら↑(途中から更新が少なくなりフェードアウトすることも含め失敗がいっぱいの記録)
2020年7月29日から録音開始、まずは全11曲分のギターと歌を敢えて1本のマイクで同時録音していく、それはギターと歌を切り離せないでいる自分をそのままパッケージするというある種ドキュメント的な試みで
当初の目標としては約20日間でそのベーシック録音を終了できればとスタートするものの、結局それを終えたのが10月16日
そこからなるべく最小限の色付けで音を足してゆく作業へ、エレキギター・コーラス・シェイカー・バンジョー・ボンゴ・シンセサイザー・ピアノ・ドラム打ち込みと途切れながらも年を跨ぎ2021年5月まで続く、、
そしてようやっとのミックス・マスタリング作業が2021年6月〜12月
以上が大まかな流れで、基本全てひとりで部屋に籠っての手探り作業は思いの外延びてしまい、今何年何月何時代?みたいな気分になりながらも完成を迎えました。
ゲストとして参加してもらったのは、家に録音作業に来ていたナランチャ(彼にはジャケットアートワークの案もいただきました)と妻のふたりのみ、言ってみればコロな禍でも特に変わらず顔を合わせていた2人です。それぞれ頬を叩いて鳴らす音(tr.4 失敗がいっぱい)と口笛(tr.8 青春狂走曲)で、生身の体から出てくる音を足してもらいました。
そう、テーマとして大きいのは「生身感」「恥」、あとは「経年」やタイトル通り「はみ出してしまう」ことに対する肯定かな
その辺りのことはインタビュー形式の対談と動画撮影を田中陽介氏にお願いして作ってもらった、こちらで語っております。
セルフライナーノーツみたいなのもちらっと頭に浮かんだけれど、ほぼ自分ひとりで作ったものを自分語りするのはあまりに窮屈だと思い、こういう形で託しました↓
-対談動画-
【放談】はアルバム全体とアルバムというフォーマットについて、【曲紹介】は1曲ずつ紐解いての紹介を、ヨースケくんの視点で色々と聞いてもらいました。
アルバムを出してこうやってある解釈に出会えて幸せだ、まだまだ感想・叱咤・激励なんでもいつでも募集中です。
ヨースケくんに依頼したのは、まず頼んでもいないのにアルバムを買って聴いてくれ更に連絡までくれたから、そして10年ほど前にヨースケくんがインタビューみたいなものできたら面白そうですね、という話をしてくれていたからで、とても感謝です。
撮影・編集・ロケーション(アバンギャルド古書店 藤井寺 アサノヤブックス)・オープニングBGMへのギター入れまで彼に頼り、良い記録・記念となるものが残せました。
私は撮ってもらった映像のどこを使うかの選定、オープニングBGMの作成、曲紹介で流れる曲の切り貼りで携わりました。
オープニングBGMは「渚に手」と「あああ」という曲を短く収めたもの
「渚に手」をヨースケくんが選んでくれてバッチリ映像にハマる感じにしてくれたことでスイッチが入り、どちらも2バージョン手を加えて仕上げました。「あああ」に関してはお蔵入りになっていたデモで、こうやって日の目を見ることになり嬉しい
この曲はライブでも何度か歌っていて、もともとはこのアルバムのオープニングでもある「みなもと」への導入になるものとして作っていたので、ここに持って来れたのには実は意味があります。
-「みなもと」について、今-
その「みなもと」ですが、各種配信・サブスク対応で改めてリリースしました!折角なのでリマスタリングを施して、色々なところで聞いたりダウンロードしていただけますのでよろしければどうぞ
このタイミングで「みなもと」について今思うことを書き残しておきます。
これを書いているタイミングは2022年7月11日、その前日は参院選投開票日、その前の事件も含めこれから何やら不気味な先に進んでいく気配を感じずにはいられなく、なかなかにぐらっと揺らいでおりました。さてさて、
こうやってはじまるこの曲、前半部分「はじめて〜」は頭にこびりついているかのような個人的な体験・視点を描写していて、それに対して後半部分「もとに〜」はどこか社会に対して歌っているところがあります。
「もとに戻るのではなく新しい時代を作る」と力強く言われても私はオロオロと困ってしまう、そんな目線を含んだ曲なんじゃないかなと今そう思う
ちょっと大きく書いたけれど、ごくごくパーソナルな想いと社会に対する思いが交錯してできた曲から始まるこのアルバムが、もう戻れないことは充分に分かっていながらもこのまま行けば何か大事なものが零れ落ちていってしまうんじゃないか、そんな不安定さをどうにか留めておくようなものとして機能していたらいいな、と、
-おわりに-
わりとそんなムードを反映した曲が多いんじゃないかな、「はみ出した刹那」
最後は「生まれ」という祝福の曲で終わります、この曲についてナランチャが喋ってくれたことがやけに印象的だったので、それを書いておしまいに向かいます。
「はみ出した刹那」って「生まれる瞬間」を言い表していますよね、って
(こちらのツイキャスラジオ配信(19:20辺り〜)でその辺りのことを喋っています)
これは作った本人が全く意図していなかったことで、自分の意識の内側と外側がつながったような瞬間で良い意味で驚きを覚えました。
更に付け加えると「はみ出した刹那」って、生まれる(喜ばしい)瞬間とも捉えられるし、逆に奈落の底に落ちていく瞬間とも捉えられるな、と、そしてそのどちらにも救いようがあるはず、みたいなことをふと思いつきました。
それでは、まとまったような、そうでもないような、分からないままではありますが、この辺でお開きに
どんな形であれ音楽が響く余裕のある世の中でありますように、と願う夜です。ありがとうございました。
-おまけ-
「みなもと」と歌詞がどこか似ていてちょっと驚いた今年発表の1曲
丘本:「もとに戻ろう」 坂本さん:「昔に戻ろうか」
丘本:「旅に出た」 坂本さん:「旅に出ようよ」
丘本:「頭を大きくもたげ」坂本さん:「頭を抱えて」
丘本:「体に深く覚えて」 坂本さん:「体を支えて」
だからどうした?って感じだと思いますが、シンクロニシティを勝手に感じずにはいられなかったので書き残させてもらいます。
「はみ出した刹那」と同じ方法、つまりマイク1本で歌とギターを録音してみました。今歌い残しておきたかったのは吉田一郎さんのノスタルジックなこの曲、梅雨はやけに早く明けるし時代はますます変革を迎えそうなこの頃に
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