無職転生は教養小説|面白い漫画の90%は自己形成・成長小説の要素がある
最近のお気に入りは
アニメで今やってる無職転生
主人公は34歳の引きこもり
デブで不細工なんですけれども
養ってくれた・面倒見てくれた両親が死んで
葬式も出なかったんですね
お葬式も出ずにですね
部屋でパソコンでエロゲして
一人でなんかシャカシャカやってたところ
いきなり部屋に親類とか兄弟が
ドカドカと乗り込んできて
ボコボコに殴られて
パソコンはバットで割られて
家から追い出されてしまうと
そのまま交通事故に遭って
死んでしまうけれども
目が覚めたら異世界で
赤ん坊として生まれていた
異世界転生モノなんですけども
なろう小説として発表されて
『転生したらスライムだった件』
が出るまで
ずっと 6年間だったか7年間
1位だった作品
世界転生モノの走りと
言われてるやつなんですけど
まぁ面白い
放送中のアニメは4話までで
主人公はまだ7歳なんですけども
アニメで初めて知ったんですけども
本当にオタクとして申し訳ないです
あまりに
こんな地味な話で何でこんなに面白いんだ
っていう風に思ってたらですね
そっから漫画が出てるので読んでみて
次に原作小説が出てるので
原作小説も読んでみたんですけども
かなり面白いです
心がこんなに動く
感動して面白いっていうのは
Bildungsroman だからだと思う
Bildungsroman っていうのは
ウィキペディアの定義によると
って Wiki には書いてます
どういうことかって言うと
それまで人間の規範はキリスト教
しかなかった時代がドイツは長かった
アルプスの少女ハイジの原作にある―
ドイツの村とか
フランクフルトなど都市部でも
人々が何を信じていいのかわかんない
揺らいでるところに
ハイジという女の子がやってきて
アニメとは違って 原作ではハイジは―
実に美しい声で聖書を読むのが
得意な少女って設定
聖書を読むのを聞くことによって
村の人も街の人もみんな心が洗われて
やがて健全なドイツを立ち直らせていくという
ちょっとそれ本当にハイジですか!?
このドイツから高畑勲が
上手くキリスト教を抜いたのが
今僕らが知ってる『アルプスの少女ハイジ』
その時代の話なんですよね
だからその
キリスト教なしでどうドイツを
立て直せばいいか分からない時代に
啓蒙時代に Bildungsroman が誕生した
無職転生の漫画面白いんですけども
大体 面白い漫画の90%は
Bildungsroman
成長小説の要素がある
無職転生はその中でも
主人公の内面がすごい分かりやすい
独り言でできていて
元々はなろう小説だから当たり前
周りのキャラも ステレオタイプなんだけど
ストレオタイプに少しずつ
ひねりが加えられてるからわかりやすい
ものすごく読みやすい
だから このわかりやすい文体の代わりに
登場人物がステレオタイプを
ちょっとひねってて
主人公がすぐ内面をペラペラ喋るから
薄っぺらか?って言うとそうではない
その代わりにとんでもない
長い文章量を割いて
主人公の1年ごとの成長を書いている
だから面白いんですけども
僕はアニメの進行が待ちきれず
今の単行本の3巻の頭あたりまで
読んでるんですけども
アニメね でも上手いです
アニメの演出すごく上手い
原作の多すぎるエピソードを
思い切って削って
画でわかる要素だけで説明してる
だから セリフに頼らず
モンタージュという
映像表現とセリフとのギャップで
見せてるところがあって
例えば アニメの最新の第4話
『緊急家族会議』って回がある
メイドのリーリャという女の子の
何を考えてるのかが
セリフ(モノローグ)で話されてる部分と
リーリャの回想の映像で描いてる部分に
ほんのちょっとした差がある
この差で その差とかズレを見せることで
そのとき主人公のお父さんがどう思って
リーリャが何を思っていたのかが
本当は何があったのかっていうのを
まるで芥川龍之介の『藪の中』のように
多方向から光を照らすことで
描くことに成功してる
割と映画的な演出をやってます
テレビアニメなのに
ちょっとびっくりしました
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