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『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』アニメシリーズ

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DP3SKQGR?tag=filmarks_web-22

原作:#浅野いにお
監督:#黒川智之
脚本:#吉田玲子
主題歌/挿入歌:#幾田りら、#あの
制作会社:#Productionh
上映日:2024年10月27日
出演者
#小山門出 :#幾田りら
#中川凰蘭 :#あの
#種﨑敦美
#島袋美由利
#大木咲絵子
#和氣あず未
#白石涼子

導入部

近年のエンターテインメントを総括する佐久間氏と東野氏の企画を視聴中に、未鑑賞であった『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を思い出し、視聴を決断した。本作品は、浅野いにおの独創的なビジョンがアニメという形でどのように具現化されたのか、確認する良い機会となった。

内容の要約

本作は、地球外生命体による侵略という典型的なSFテーマを基調としつつ、浅野いにお特有の内省的な視点が全編を通じて色濃く反映されている。地球外生命体が脅威というよりも象徴的な存在として描かれる一方で、門出と凰蘭を中心とした青少年の心の成長や人間関係の機微が物語の中核を成している。特筆すべきは、劇場版とは異なるシリーズ版の結末であり、16年後のもう一つの世界線を描くことにより、原作の多層的なテーマをより深く掘り下げている点である。

感想・考察

本作の評価すべき点として、青春期の心理描写や人間関係の複雑さを深く掘り下げた構成が挙げられる。一方で、全18話という長尺構成は冗長さを感じさせ、物語のテンポにおいて課題が残る。120分程度に凝縮すれば、よりシャープでインパクトのある作品になった可能性が高い。さらに、視聴者にとって内面的葛藤を描く浅野いにおの作風が必ずしも普遍的な受容性を持つとは限らず、ストレスを感じる者もいるだろう。

シリーズ版の意義は、劇場版では未描写だったエピソードやキャラクターの背景に焦点を当てたことである。しかし、それらの追加要素が必ずしも全体の物語の一貫性を高めているとは言えず、全体的な構成力には改善の余地が残されていると感じた。

結論

門出と凰蘭の関係性の描写や、SF的要素の意匠には一定の価値が見出せるものの、全体的な完成度や視聴体験の効率性を考慮すると課題が多い作品である。特に、物語のテンポの悪さや冗長さが体験を損ねる大きな要因となっている。

これに対し、藤本タツキ氏による『ルックバック』は短尺ながらも圧倒的な密度を持つ物語を提供し、心理描写やテーマの深みにおいて際立った完成度を示している。映画版『ルックバック』は、原作の本質を忠実に再現しつつ、さらなる情緒的な感動を引き出す演出が施されており、「このマンガがすごい!2022」でも高い評価を得ている。

『ルックバック』は40分という限られた時間で視聴者に強烈な印象を残し、物語の効率性と感情的な訴求力の両面で優れている。一方で、『デデデデ』は長尺を活かした群像劇的な要素があるものの、その冗長さが観客の集中を削ぐ要因となり得る。

これらを比較すると、『ルックバック』はより洗練されたストーリーテリングと明快な構成力を持ち、時間を有効に活用したい観客にとって最適な選択肢となる。一方、『デデデデ』は青春群像劇の多様な側面を描きたいという意図が明確であり、長尺物語を好む視聴者には魅力を提供する作品である。

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