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#14 中絶から出産を決めた理由。
2020年9月18日。
今日から1週間くらい前になるけど......、パートナーと話し合いをして、出産することにした。
最初の頃は『出産なんて』みたいに拒絶反応が強すぎたし、パートナーとの話し合いでも中絶ベースで話していたんだけど、私もパートナーも、周りの人に色々と相談してみたら心境に変化があって、こういう決断になった。
私の人生には『妊娠』も『出産』も『子育て』も『家族』も選択肢にはなかった。だからこそ、なんで出産を選んだのか書いてみようと思う。
出産を断固拒否していた理由
それは、自分が育った生活が影響している。
経済的には裕福なほうだっただろう......というのは、大人になってから何となく認識するようになった。つい最近かなとも思う。
けれど、家にいるときは、怒られているか、自分の考えを言ったら『お前がおかしい』と全力で否定されるか、きょうだいと比較されて『バカなやつ』とばかり見下されているか......のどれか。一人の人間として扱われた記憶は、ない。今になって、所有物だったのかなとも思う。
とはいえ、それを卑屈に思ってても何も変わらないし、何も始まらないから、自分の世界を作ろうと思った。生活に支障のない範囲で自由に過ごして、色々な人に出会って、新しい価値観を吸収する。特に直近の5年くらいはそれを目指していた節があるし、それがあったから以前よりは思考の幅が広がったような気がしている。
が、どうしても変えられなかったのは家族に対する考え方だ。家族に対して良い思い出が皆無なのもあり、『家族とは』なんて哲学的なことを考えてみるけれど、私の中では『あってもなくても意味のない薄っぺらいもの』という思いがあり、それを払拭できなかった。
何より、『自分と同じ環境で育つかもしれない人間を、これ以上、増やしてはいけない』そんな思いしかなかった。私は自分の親を毒親だと思っている。その人のもとでしか育っていないから、ほかの家庭では普通なのかもしれない親も関係は知らないのだ。知らないことがこれだけの恐怖を生むものとは思ってもみなかったけれど。
中絶から出産を決めた理由
いちばん大きいのは、『パートナーと一緒だったら絶対に大丈夫』という自信だ。
自信......といってもまったく根拠はないし、これから先に起こるであろう未知数の出来事に、自信もへったくりもないんだけど。話し合ってひとつずつクリアしていけるんじゃないかなとは思っている。これは自信というよりも、彼に対する信頼があるからかもしれないとも思う。人を信頼するって大事よね。
あと、相談に乗ってくれた人の後押し。これもかなり大きい。
思ってること、この5年、どんな思いでがんばってきて、何を感じ、何を得てきたのかを話してみて、その人に『(毒親のことも含めて)これだけがんばって乗り越えてきたんだから、何があっても大丈夫だよ』と言ってくれて。それがすごい嬉しかったし、今までやってきたことが間違いじゃなかったんだって思えた。
誰かに認めてもらう経験があんまりなかったぶん、泣きそうになったのは言うまでもない。
ここからは推測も含むけど、結局はどんだけ努力していたとしても、それを誰かに理解してもらったり受け止めてもらったりして、はじめて大きな決断ができるんじゃないか......と思う。私の場合は、それがパートナーに対する信頼だったり、相談した人からの承認だったってことだ。
未知数だらけの今後をどう生き抜くか
今、まったくの想定外の人生をあゆみ始めようとしているわけで、さっそくさっき母子手帳をゲットしたところで『出産後の方が本当の戦いだな......』と実感しているところだ。ヤバいと思う気持ちがゼロになることはないだろう。
一方で、何とかなるだろうって思いもある。
それは、パートナーという心強い味方がいることだ。私の家庭環境ではなかった存在ができる、その安心感はかなり大きい。
そして、『絶対にあんな親にはならない』と強く感じている。
子供がいたとしても、やりたいことは何がなんでもやりたいし、諦めるとか途中でやめちゃうとか、そんなことをするつもりもさらさらない。私なりに、子供に自分の生き様を見せたいし、そこから何かを感じ取ってもらいたいなと思う。
自分と同じ思いは絶対に絶対にさせない。
家族だからといって一緒くたにしたくもないし、されたくもないから。