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#11 上司に中絶手術を報告した結果。

2020年9月8日。

数日前に、職場の上司に妊娠してること、中絶手術をする予定があると報告した。手術は今月末、術後の体調によっては長めにお休みをいただきたい、とも。

最終判断のリミットが19日。ちょうど連休も挟んでしまうので、連休明けに唐突に言うと、上司もビックリするだろう。先に心づもりを持ってもらった方が良いんじゃないかと考えてのことだった。

上司に中絶手術を報告した結果

私が独身なのを知っているので、ビックリしたと同時に、『いのちの問題なのに、自分たちの都合だけで軽く決めんな』と。

ごもっともすぎて、何も言えなかった。
パートナーと頭をフル回転させて、色々考えて決めたこととはいえ、結局は『なぜそれなら避妊しなかったのか』に立ち返る。当たり前のことだけど、妊娠している......その現実が目の前にある以上、その立ち返りの後に自分たちがどうするのかが問題だとも感じながら、話を聞いていた。

一方で、上司はパートナーに対する怒りのようなものを感じていたようだ。私が語るパートナーを『無責任な男』と感じたらしい。まるで、娘を心配する父親のようだ。上司は金八先生にも負けないくらい情に厚い人なのだ。

私の中では、仕事の延長上にある業務報告という認識。話すにしても結論を伝えるだけだから、多くても20分くらいで十分だと思っていた。が、その後、仕事も絡めた話もあり、気づいたら1時間半が過ぎていた。私以上に私のことを心配してのことだった。感謝しかない。

部下を『家族』と考えている上司に思うこと

上司は、部下を『家族のような存在だ』と、ことあるごとに言う。そういう家族がどんな存在なのか、私はよくわかっていない。

もちろん、絶縁しているとはいえ、私にも親はいるし、幼い頃は家族として成立する関係だっただろう。自分たちの利得しか考えない親、すべて自己責任の世界。テレビとかで見る『家族がみんな仲良し』みたいのはない。

私が毒親育ちだからだろうと思う。
家族としての結束は世間体で成立している家庭。偽善的で表面的で、ペラペラに薄い関係だ。

そんな環境に長くいたのもあり、情で動く人に出会ったことはない。基本的に警戒心が強く、相手が誰であろうとも信用すべきでないと思っているから、親しくなるまでにかなり時間がかかる。

こういうふうに書くと痛いヤツだと思われるかもしれないけど、これも長年培ってきたものの結果。少しずつ改心を繰り返して、ようやくマシになってきた......というところだ。

だから、上司がここまでしてくれたことが嬉しくもあり、新鮮でもある。
家庭によって家族間の関係は色々あるにしても、私はアラフォーになった今、家族がどういうものなのかを学んでいるような気がする。

感謝しかない。
上司と話したおかげで、パートナーと話し直そうと思えたし、少し気持ちがラクにもなった。正解はひとつじゃない。納得できる結論に一歩進めたような気もする。

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