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70代の母の家の片付けが成功した理由

こんにちは。mocaです。
【母の日】ということで、私の母の話。

実家の片付けって、親世代の価値観との違いでなかなか進みませんよね。
親に健康的で安全に暮らして欲しいからこそ、いらないモノを減らして実家をきれいにして欲しいのに、なかなかモノを処分しない親にイライラしたり、ぶつかってしまう人も多いのではないでしょうか。


母と私の片付けられない歴

私も、いまでこそ整理収納アドバイザーとして書籍を出させていただいたり、自宅の撮影や取材も受けるようになりましたが、元々は片付けが超苦手でした。

 思えば、昔から母とは片付けで何度もぶつかってきました。
母も私と同様、もともと片付けのセンスが残念なタイプで、見えなくなれば片付いたことにしてしまう人でした。細かいものは適当に100均のカゴにいれてしまい、ゴチャっとした場所には布をかけて隠し、便利グッズや大きなプラスチック収納、スチールの引き出しなど、あとあと処分が大変な大型の収納もどんどん買ってしまいます。

 それでもきれいにしたい気持ちは人一倍。帰省するたびに、通販や実演販売で買った海外製の謎の洗剤や、水でゴミを濾過する(?)外国製のどデカい掃除機、ヘッドが色々取り替えられるモップなど、
実家にはすぐ壊れて放置されていたり、使わなくなった掃除用品も大量にありました。苦手な片付けや掃除道具や収納用品でなんとかしようとするパターンです。(私もそうでした…)

 こどもの頃はいつも私が「片付けなさい!」と怒られて、
大人になってからは逆に、帰省のたびに実家のひどい荒れようを見ては、私がやるせなさや憤りを感じて不満を表していました。片付いていない家で過ごすと負の感情が先立つのかもしれませんね・・・。

私も母もそれなりに片付けや掃除はしていても、どうしてもスッキリキレイが続かない。だから掃除や片付けは、他人が来る時や休みの日などに時間をかけてやるものだとずっと思っていました。

これは十年くらい前の、私も片付けられない頃の話です。
帰省した際に母に片付けて欲しくて、当時とても話題になっていたお片付け法の話になりました。「ときめくものだけ残してあとは捨てると片付くらしいね〜」と伝えてみたところ、母は「そんなこと言ったら、一番最初に自分を捨てないといけなくなっちゃうわ〜ハハハ!」と一笑に付したんですよね。
あ〜、全然モノ捨てる気ないんだな〜ハハハ!と思ったのと同時に、母は今の自分自身に満足してないってことなのかな…?とも思ったのを覚えています。

2020年秋、母の片付け力が覚醒

 昨年秋から、母はなんと72歳にして自宅マンションの片付けをたったひとりで数ヶ月でほぼ完遂し、春には水回りやリビングの壁紙リフォームまで発注。工事も完了。今やすっかりきれいな家で快適に暮らしているんですよ!びっくり!なんで?!と思われますよね。

そんな母に、エッセオンラインから取材が。
母の頑張りとインタビューをぜひ見てください。こちらに記事が公開されています。(部屋の写真は母が撮影提供。取材はオンラインで行われました)

まさかまさか、あの母が、母の住む家がすっかり片付いてしまうとは…。エッセオンラインの記事に掲載するために、母の家の画像をLINEに送ってもらった時は、あまりにスッキリきれいな母宅に私も妹も驚愕!!

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(床もワックスでピカピカ!)

あまりにスッキリした母のマンションの画像がどんどん届くLINEで、私の子どもや妹の子どもたち(母にとっては孫)も含めて「スゴイ!スゴイ!」「めっちゃきれい!」とワイワイ盛り上がっていたら、

「そんなに皆んなで『きれいになった、きれいになった』って言われたら、なんだか前はひどい汚部屋だったみたい…。素直に喜べない…😖」

と母に拗ねられました(笑)。いや、みんな前の家知ってるからこその反応なんですが…もはや母はにとってはきれいな空間のほうがあたりまえなんですね。

1年前、緊急事態宣言が出た中で始めたのが、【札幌】に住む母と【東京】在住の私、【大阪】在住の妹の3人のグループLINEでした。そのやりとりの中で母の家がどんどん片付いていく様子は、こどもから見ても本当に驚きの連続でした。

そしてなにより、母の片付けをみている中で、整理収納アドバイザーとしても、ひとりの娘としても、一番大切なことに気づくことができました。

親の片付けにこどもができること

母が子供にしてほしいことは、自宅の片付けを手伝ってもらうことでも、片付けのアドバイスでもなかったということ。「ただ褒める」「応援する」「一緒にがんばる」それだけだったんです。

正直なところ、私は去年の夏までは「70代まで片付けが苦手なまま暮らしてきた母が、モノだらけのマンションをスッキリ片付けるのは無理だろうな」と思っていました。「母が亡くなったら、あのマンションにあるものは、お金がかかっても業者に処分してもらうしかないな…」と、うっすら思っていたほど。

なぜか、私が勝手に「母には無理。」と決めつけてしまっていたことにも気付かされました

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(すっかり片付いた母のマンションのリビング)

記事中で母も語っています。
「あなたの家にはモノが多すぎると言われても『だって全部使ってるし』って思ってたんです。」

お片付けの中でもモノを減らす作業は「モノが使える状態であっても、いまの自分が使わないなら手放していこう」という価値観に変われるかどうかがかなりの肝です。でもそれは他人が簡単に変えられるわけではありません。

本を読んだくらいでは変わりません。テレビでビフォアアフターを見てもかわりません。ただただ、片付けを通して自分の中で徐々に変わっていくものなんですよね。

壊れていないモノを捨てようと思ったことがなかった母が、いかにその価値観を変化させていったのかは後ほど詳しくお伝えするとして、まずは母の家がきれいになった様子をご覧ください。

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母が「私がここには座らないから必要ない」と処分したソファとコーヒーテーブル

あまりに毎日いろんなモノを処分しているので、マンションの管理人さんが大型のゴミの移動は手伝ってくれるようになったそうです。

母は家の中のモノが減ると埃や汚れが気になり始めたと言って、掃除機をコードレスに買い替え、こまめに掃除するようになりました。そしてこのタイミングで水漏れが発生した洗面所をリフォームしたと!

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新品の洗面台!

さらにその流れで、タイル貼りの古いお風呂もリフォーム。今まで「どうせ自分しか入らないし…」と不便を感じながらもそのまま使っていたようですが、これから先もずっと我慢して使い続けるの?という自問もあったそう。

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かなり大掛かりな工事
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母はピンクが好きなようです

水回りが一気にきれいになったマンション。QOLが一気に向上したはずです。
母に「リフォームのお祝いは何がいい?」と聞いたら、私が自宅で使っているお風呂のポンプと同じモノが欲しいと言われたのでプレゼントしました。

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リフォームの大工さんにお願いしてつけてもらったそう

どうしてここに取り付けたのか不思議だったので聞いてみたら、「ここ最近はお風呂であったまったらお湯を抜きながら頭と体を洗って、最後に浴槽を洗ってあがるから。」だそうです。なるほど合理的。なんだか欧米っぽいですね。母のマンションは母の城ですから、母が使いやすい場所に取り付けるのが一番です。

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壁紙も剥がしてスッキリ一新
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昔はチェストの上にもなんだかわからないものがいっぱいで埃まみれだったのに…!

そもそもリフォームするにも、業者の方の作業のためには相当片付いていないと無理だったはず。本当に頑張ったんだな…と思います。

母の片付けはまだ続くそうで、寝室もモリモリ片付けているとのこと。不要品の処分と掃除が習慣化すると、いつでもきれいな空間で自分が快適に過ごすことができるようになりますね。母も不要品の片付けを通じて、いまの自分の暮らしといまの自分自身をより大切にできるようになりました。

なぜグループLINEから
母の片付けが始まったのか?

さて、母はどうやってあの親世代特有のモノを捨てない価値観から今の自分の生活を重視する価値観へと変化したのでしょうか。

また、こんなにすんなり親が片付けをしてくれるなんて、さぞかし親子関係も良好なのだろうと思われる方もいらっしゃると思います。

ところがどっこい私と母はとにかくいろいろありまして、私は絶縁を覚悟していたほど親子関係としては壊れかけており、ここ10年の間に母に会ったのは数回程度。必要最低限の連絡しかしていないような状態でした。

ですが、昨年春の緊急事態宣言が出た後、「この有事に、ひとり暮らしの高齢の親とまともに連絡も取らないというのはさすがに家族としてどうなのか…」と悩んだ末、昨年春に思い切って始めてみたのが、私と妹と母の家族グループLINEだったんです。
(※ちなみに母⇆妹、妹⇆私の関係は良好なので、妹が間に入ったグループLINEだったのが功を奏しました

始めの頃はみんなで毎朝の「おはよ〜」と天気の話程度の生存確認のようなLINEでした。そのうちそのLINEに夏頃から母がポツポツと、「叔母ちゃん(80代の一人暮らし)の認知症がひどくなってしまった」「施設に入るために、叔母ちゃんのマンションを売るための片付けを手伝っている」と報告がくるようになりました。

片付けは2ヶ月がかりで相当大変だったようで、片付けの報告があるたびに妹と応援していました。

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この様子からの・・・
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これ!

2ヶ月に及ぶ叔母(80代)の片付けを手伝って、ぐったり消耗した母ですが、徐々に「自分の家も片付けないと」というマインドに変化していった様子。

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他人のものなら「これはいらないでしょう」と言えるのに、やはり自分のモノだと処分する踏ん切りがつかない様子。あれだけ叔母のものを処分しても、自分のものとなると全く手が進まない母。

モノの処分ではなく、模様替えや掃除でなんとかしようとしている様子がしばらく続きました。

そこで初めて、私が不要品の処分ができるようになった「お片付けノート」の方法を書いた本と、お片付けノートのシートを3枚プリントしてそっと送ってみたのでした。

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お片付けノートは、私が8年ほど前のある日、たまたま目についたメモ帳に、その日捨てたものとその理由を書き出していくだけで、あっという間に片付けられるようになってしまったという、嘘のような本当の経験からうまれた片付け法です。

片付けのモチベーションが上がっている今の母になら、この方法がきっと効くはず…!と思いながらも「本当に実践してくれるだろうか?でも私のアドバイスなんて聞きたくもないだろうしなぁ…。」とドキドキもしていました。

自著とシートを送ってから、1週間ほど経って母から届いたLINE。

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なんと!!母が自宅の不要品の処分を始めていました!

その後もこのLINEグループのやりとりで、母が自宅の片付けの様子を報告してくれるようになったんです。妹や私も一緒に自分の家の片付けの話題で盛り上がり、母とは同じ目標を持って頑張るお片付け仲間として、どんどん関係が再構築されていきました。

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どれだけ親との関係が良好でも、ひとたび実家を一緒に片付け始めると険悪な雰囲気になってしまう…という親子も多いと思います。不思議なものでその逆もあるということを実感しました。

あえて手伝いもアドバイスも一切しなかったので、喧嘩になることもありませんでした。だからこそ母は自分のペースでやりたいように片付けを楽しく進めていけたのだと思います。

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初めにも書きましたが、母が子供にしてほしいことは、自宅の片付けを手伝ってもらうことでも、片付けのアドバイスでもないということ。

「ただ褒める」「応援する」「一緒にがんばる」それだけだったんです。

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「これはレアケースだ」とか、「うちの親には絶対に無理…」と思われるかもしれません。すごくわかります。なぜなら私もその諦めていた一人だったから。

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でも今は、「母に片付けさせたい」とか「母には片付けられないだろう」と考えていたこと自体、母に対してとても失礼だったな…と思っています。
家族だろうと、それぞれの価値観で生きている大人同士。世帯を分けたらもうそこは他人の家。実家でも、そこにあるものは全部人のものです。

親と「片付け仲間」になる

「こどもに迷惑をかけたくない」という考えはきっと共通の親心。

親世代の片付けで大事なことは、こどもが介入して急いで終わらせることではなく、「片付けはじめるきっかけ作り」と「不要品に自分で気づいてもらうこと」。そして「ゆっくりでも自分でできる範囲で進めてもらうこと」だと思います。まずは親が自分で行うのがポイントです。

こどもからの働きかけとしておすすめなのは、まず自分の片付けの様子を家族のグループLINEで淡々と報告すること。

自宅の掃除のビフォーアフター画像でも、処分したものの画像でも良いので、「汚れてたし使わないから処分した〜。スッキリ!」と伝える。一方的で良いんです。

親世代からはモノを捨てたと言うと「勿体無い」「まだきれいなのに」「私が使う」などと返ってくることもあるかもしれませんが、「いや、そういうのが一番片付かない原因だから…」などの正論で言い返さず、スルーして孫やペットの動画を送って話題を変えちゃうのが良いと思います。

その後も淡々と報告してみてください。親が「私もやってみようかしら」と思うまで。(結果として親が始めてくれなかったとしても自分の家は片付きますので、やって損はありません)

人から「これ汚いよ」「いらないでしょ」「使ってないよね」と言われるほど、捨てたくない気持ちだけが強くなってしまいます。だからこそ、親本人が1つ1つのものと向き合う必要があります。

捨てる理由を書き出す『お片付けノート』は、それが不用品であると自分で気づいてもらうのに本当に簡単でおすすめな方法です。捨てる理由を書くたびに「これは汚いなぁ」「いらないな」「使ってないな」と考えるようになります。自分でそう思えたら初めてそれが【不要品】と納得できて、処分すべきモノに見えるんです。

お片付けノートって何?

その「お片付けノート」について、もうちょっと詳しく、と思われる方は、ぜひこちらの記事もどうぞ。やり方は全て公開しています。

本当に誰にでもできる簡単な片付け法です。片付けられない私がある日ふとはじめた偶然の産物。でもそれは片付けが習慣化するための理にかなった方法で、70代の母がひとりでモリモリ片付けを進めるきっかけにもなりました!

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私は「うちには好きなものと、使ってるものと、欲しくて買ったものしかないはずだけど、引越し前に多少はモノを減らさないとな〜」くらいのつもりで書き始めたら1週間もたたないうちに、

「え、待って。もしかして私の家…いらないものが多すぎるのでは…?」

と気づくことができました。その途端、いままで家の中にありながら息を潜めていた不要品たちがどんどん姿を表して主張してきたように感じ、まるで視力が上がったように、家の中の不要品がちゃんと「処分すべきモノ」に見えるようになったんです。

この視力を手に入れた後は、出てきた不要品をひとつひとつ「これは汚い」「これは使わない」「これは寄付する」と判断するスピードがあがり、みるみる家が片付いていきました。

(ありがたいことに書籍にもなりました)

📖「1日5分!お片付けノート」扶桑社

📖「お片付けノートで見えてくる!大事なのは捨てる理由でした」主婦の友社

自慢の母

うちは母子家庭だったのですが、こどものころ、母のことがとても自慢でした。

バリバリ仕事しておしゃれで明るくて、母が授業参観にくるとクラスメートが「誰のお母さん?!」「女優みたい!」ととどよめくくらい、きれいで華やかでカッコよかった母。

今回のお片付けで、エッセオンライン編集部の方からリモートインタビューを受けている際、画面越しでニコニコと答えている母は、よそ行きのおしゃれと、きれいなメイクをしていて若々しく、すごく楽しそうに話をしていて、『素敵なご婦人』という佇まいでした。「あぁそうだ、私はこういう母が自慢だったんだよなぁ」と思い出しました。

インタビューの最後、母はこう言っていました。

「みなさん、この年齢で片付けたなんてスゴイ、と褒めてくれますが、片付けられるようになるのに年齢は関係ないと思うんです。だから自分では全然すごいとは思ってないんですよね。誰でもできると思います。」

片付けは、いくつからでも、だれでも、できるようになる。
私もそう思います。

でもママ、それでも私は70代でこの片付けをやり遂げたあなたを素直に尊敬するし、誇らしく思います。今日もきっと家を片付けて、健やかな暮らしをしているあなたはやはり自慢の母で、いちばん身近なお片付け仲間です。ありがとう。私もこれからもがんばるよ。

みんなで元気に会える日を楽しみにしています。

         2021年5月9日 母の日に

母にインタビューという素敵な機会をいただきましたエッセオンライン編集部の皆様にも、この場を借りて感謝申し上げます。

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moca(お片付けノート考案)
お読みいただきありがとうございます!1日5分×3週間で片付けられる人になれる、簡単なメソッド「お片付けノート」を公開しています。【著書】「1日5分!お片付けノート」(扶桑社)「お片付けノートで見えてくる!大事なのは『捨てる理由』でした」(主婦の友社)