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NOVAをちびちび読んだ。
「無脊椎動物の想像力と創造性について」坂永雄一
なんか……すごくなった蜘蛛によってたいへんなことになってしまった京都の話だ。いろんな蜘蛛がでてきて、蜘蛛や、蜘蛛の糸によるこんな性質によってすごいことになってますよというのがわかりやすく描かれていてよかった。
「欺瞞」野崎まど
なんか……1ページほどの恋にオチたっぽい女子のモノローグポエムから解像度が一気にさがり、よくわからないこむずかしい話がはじまる。話をおっていくとある地点でなるほどそういうことかと思えるようになっており、なるほどそういうことかと思った。講談社ノベルスの倉阪鬼一郎を読んだ野崎まどといった感じでよかった。
北山猛邦「踊るジョーカー」をちびちび読んだ。
「毒入りバレンタインチョコ事件」
バレンタイン、とある大学の研究室でチョコレートを食べた女子が病院にはこばれる。これまで百万回は描かれただろう、「どうやって対象の相手だけに毒を盛れたのか」がメインだけど、北山猛邦らしい調理がたのしい。わっはっは。と思っていると思わぬ不意打ちをくらう、かもしれない。
「雪だるまが殺しにやってくる」
婚約者候補に雪だるまを作らせる女……どうやらなにやらいちばんうまく雪だるまを作らせた男と結婚するらしい。
あいかわらずのトリック系だけれど、犯人当てぽいフォーマットで、読者には(それなりに)自明であろう音野と白瀬にまで、犯人除外論理をはたらかせているところが好ましい。やはり変なシチュエーションや変なトリックとひかえめな音野はマッチするように思う。どや顔の探偵に変なトリックを明かされても反感しかわかないが、音野におずおずと、こうだと思うよ、とお出しされると、たしかにみんなに言うには変な真相かもしれないけれど、きみがたどりついた真相なんだ、がんばれ!と応援したくなるからかもしれない。
王道の私立探偵もので、王道に、本格く事件を描いているだけでおもしろく、キャラにはまれると、さらに、とてもたのしいんだなあとびっくりした一冊だった。とてもよかった。
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